ラジオ書き起こし「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」『なぜ人は幽霊が見えるのか』その6 | だからオイラはダメなんだ。
武田鉄矢のラジオ番組「今朝の三枚おろし」にて、興味深い本を紹介していたので、書き起こしてみる。

その本は、リチャード・ワイズマンの『なぜ人は幽霊が見えるのか』


4163749209超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか
リチャード・ワイズマン 木村 博江
文藝春秋 2012-02-11

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【6日目】

誤解されないように、俺の「神秘観」も話しとこうかな。
幽霊かどうか分かんない、それでも尚、この世には不思議な事があるよね。

イギリスの動物学者の人が体験した本当にあった話。
最期の一頭になってしまったアフリカゾウの話を書いてるの。アフリカゾウが海岸線で吠えてるんだって。それを見物に行った人がいたの。
んでね、吠えてるんだけど、よーく見るとね、沖のほうにクジラが現れたんだって。両者が向かい合ってるんだって。「陸上最大の動物」と「海上における最大の哺乳類」が、語り合ってるんじゃないか、って言うの。

で、次のページ捲ったら、ゾウが海岸線にいて海にクジラがいるって絵が描いてあるんです。
その絵を描いた人がね、日本の伊藤若冲なのよ。江戸時代の人が描いてるの。
つまり、現代のアフリカの浜辺で起こった情景を、江戸時代の画家が描いてる。
それはちょっとね、感動しちゃって。だから「過去が未来になってしまう」って事はあるんだなぁ、と。

皆さんもそういう話すると「面白い」と思ってくださる方と「嘘吐け武田」って方がいらっしゃると思いますが、決して不思議全般を全部否定してる訳ではありません。

私共は現代に於きまして、オウム事件という巨大な宗教事件、カルト事件を体験した訳です。実はオウム事件だけでなくて、カルトが引き起こした最悪な事件というのは、どこの国でもあるんですね。

その一つがアメリカで「人民寺院事件」という…凄いんだ、自殺者が。これは本当に悪魔としか言い様が無い、コイツの事は。
ジム・ジョーンズという奴がおりまして、1955年、24歳の頃から新興教団「人民寺院」というのを興しまして、貧困層やアルコール・薬物依存症などの人々を救うという様な、"善行"を持って信者を集めるんですね。最初は貧困層の方にチャリティーのお金を渡したり、アルコール中毒・薬物依存症の人達に、薬物と縁を切ろうという運動をやっているんですが、その内に彼自身が麻薬依存となりまして、1974年、人里離れたジャングルに理想郷を作る…「サティアン」ですね、オウム事件で言いますと。そう宣言しまして、信者をみんなそこへ移しちゃう訳です。

帰依した信者は10時間以上の労働を課されたり、夜は彼の説教を聞きに行かなければならない、更には、10キロも歩いて水を汲むというような重労働が課せられ、義務を違反した者には体罰が加えられた。あるいは体罰ではきかずに殺されたみたいな事があった訳で、全く類似したと言いますか、同じ形をしたカルトの教団なんですね。
これは読んでると思うけど、人間て愚かにも同じ過ちを繰り広げるもんだね。

1978年、アメリカの下院議員レオ・ライアン氏が、この理想郷のガイアナに赴きまして、強制で拘束されている脱走信者を助けようとする、それで連れ戻そうとした時に…凄いですね、銃撃戦になってるんですね。そこでレオさんは銃殺されてるんです。

ジョーンズは教団の崩壊を感じ、シアン化合物を信者全員に配り、ジュースに混ぜて全員で自殺を強制したという。しかも何台もビデオテープを回して、自分達が笑顔に溢れて死んでいくというビデオを作らせた、という…狂気ですな。
270名の子供と900人以上の人達がその命令を聞いて、もがき苦しみ自殺していくという惨状がビデオに残された訳であります。

凄まじい事件なんでありますけど、何故同じような事を繰り返すのか、探ってみましょうね。

【明日へ続く】

『象と鯨図屏風』伊藤若冲
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