ジョブ型雇用の有効性と広がりへの課題
鈴木 友之
3月の日経記事でジョブ型雇用の導入を進める日立の話が紹介されていた。担当役員が説明する導入必要なポイントは事業内容の変化に伴い、事業のグローバル化とITなど新技術を活用した問題解決に、従来とは違う多様な人材が必要。そのためには、①求める能力を明確にする、②人材の流動性を高めて成長事業に配置し会社の生産性を高める、③女性、高齢者、転職志向の強い若者など多様な人材が活躍できるようにする、とあった。
近年のGAFAに象徴されるように、IT技術の急速な進展により可能になったビジネスのグローバル展開と拡大は、日本の従来のようなメンバーシップ型雇用で社内人材を育成するのでは間に合わない人材の多様性と時間軸の速さが求められている。
筆者がかつて中堅企業の人事に関わっていた時に取り組んだテーマに、人事制度を職能給型から職務給型に変えて、会社が求める人材要件を明確にして働く人一人ひとりの役割を明確にし、働き甲斐と生産性の向上を図ったことがある。働く人がどう頑張れば評価され報酬が高まるか明確にできた一方で、職務定義から上司部下一対一での評価・報酬制度まで浸透に3年余りかかった。特に、世間で話題になる春闘といった年功給とは別の働き方への意識変革には継続的な定着努力と時間が必要と実感した。
ジョブ型雇用への移行は、ベースアップといった年功給からの決別も意味する。従来型雇用の中で働く人の仕事への姿勢と流動性へ理解と覚悟が重要であり、そのためには一人ひとりのライフキャリアの計画と実行を支援する体制も一層重要になると感じている。