中高年のセカンドキャリアと外部コネクション

                     2024年1月16日 大圖健弘

 

 個人がキャリアを選択する中において、個人の持っている外部コネクションが重要な役割を示すことは、色々なキャリア教育を受ける中で必ずと言っていいほど重要視されている。キャリアコンサルティングを行う中でも、キャリア選択を行うための職探しの一つの方法して「知り合いの紹介など自身の持っているコネクションを外部資源と認識し、活用する」ことはコンサルタントが相談者によくお話しすることの一つとなっている。

 一方、転職市場がかなり拡大してきた現在、転職サイトや、転職エージェントがかなり身近になってきており、人の紹介に頼らなくても活躍できる舞台を探し出すことがかなり容易にできるようになってきている。又、新規学卒者や若年層などの場合、自身の持っている人的コネクションといってもそんなに広範なものでもなく、勢い利用できる人的コネクションが親のコネであったりすることが多く、自立したい彼らにとって、人的コネネクションを活用したキャリア開発はむしろ忌避されるような手段であったかに思う。

 これに対し、中高年層がセカンドキャリア選択を行う場合、人的コネクションを活用したキャリア開発は非常に重要な手段になり無視出来ない手法である。なぜなら、高い年齢層になるほど、外部で公開されている就業機会は減ってしまいがちであり、同じ就業機会につこうとしても、例えば、面接においてより若い候補者に先を越され就業機会を逸したりするなど、なかなか、こうしたルートでの就業機会の獲得は難しくなってしまうからである。特に60歳以降でセカンドキャリアを求める場合などを考えると、余程個人が突出した経歴や、能力を有さないと外部で公開された就業機会で就業することは難しくなるし、逆にそのような能力や経歴を持っていれば、少ながらず、人的コネクションを通じた仕事の紹介も現れてくるからである。今、少し触れたように、こうした年齢になると、職業紹介機関等に頼るよりも人的コネクションを活用したキャリア開発の機会の方が、かなり有効になってくる。この年齢になると人は多分に職業経験を持ってきておりその中で、また、職業経験以外の経験の中でも多くの人との交流の歴史を積み重ねている。「いやいや自分は付き合いの幅が狭くて」と思っている人であっても、逆にその狭い付き合いの中で深い付き合いをしてきており、何かと相談できる人が存在することが多い。こうして、中高年になると、これまで考えていなかったかもしれない人的コネクションを活用したキャリア開発の方が、重要なキャリア開発手段に変わってくるのである。この人的コネクションの活用は、何も会社に就職する場合だけでなく、起業したり、自営業を継いだりする場合においても重要なファクターになる。

そして、こうした人的コネクションを基にしたキャリア開発の世界では、そのきっかけが人的関係によるものであるため、自身への信用度や、理解度が高いキャリア機会の提供になり、単に転職エージェントや転職サイトを活用したキャリア開発の場合より、次の仕事に入りやすかったり、仕事がしやすかったりするといったメリットもある。勿論、その反対に紹介してくれた人物の信用を汚さないために、新しいキャリアで誠心誠意尽くす必要があるという制約条件があるわけだが、仕事をしやすいというメリットは、これまでにない利点であると考えられる。こうしたことから中高年でセカンドキャリアを目指す方には、是非、人的コネクションを活用したキャリア機会の確保をお勧めする次第である。

 この機会を確保するためには、日頃から、仕事の中で多くの人と良好な関係を築いていくことが重要である。中高年齢層に至った方とお話しさせていただくと、「なかなか、これまで仕事を一緒にしてきた仲間を通じて、仕事を紹介してもらうことは、難しい。なぜなら、その場限りの付き合いで何年かするともう関係ない人になっていることが多いから。」といったお話を受けることが多い。確かに、仕事をしている中で、「自分がセカンドキャリアを目指すのに活用するために、人とつき合おう」と思っている人は少ないと思う。しかしそのような意識をしなくとも、真摯な付き合いをしていると、必ず、自分の人間性を理解し、自分のことを思ってくれる人物が、何人か存在するはずである。要は一つ一つの機会をないがしろにせず、真摯に向き合って仕事をしていくことが人的コネクションを築く中でも重要なことである。是非、そうしたことを胸に止めおきながら、キャリアを積んでいく方が増えることを祈っている。

 

                                 以  上