セカンドキャリアと学び直し

 

2023年5月26日 大圖健弘

 

最近、世の中では「学び直し」の論議が盛んである。つい先日の報道でも「新しい資本主義実現会議」での議論で労働政策の基本に「学び直し」が挙げられたという報道があった。これまで、「学び直し」や「リスキリング」といわれても、全くその在り方について筆者にピンとくるものがなかった。筆者は基本的にはずっと人事労務関係の仕事を行ってきており、この中で会社業務に即応する形で、人事関係の通信教育やスクーリング等を受けてきており、「こんな内容のことが今でいう「学び直し」にあたるのかなあ」というくらいの認識であったかのように思う。

ところが、先日、ある知人の話を伺って。確かにセカンドキャリアを目指す場合、「学び直し」の支援を受けることは重要だなと感じることがあった。その方は、長く製造業の会社で営業の仕事についていらっしゃった方であった。聞くところによると、地方に単身赴任も長く、熱心な営業マンであったとのことだった。しかし、年齢も経て、さすがに家族とも一緒に暮らすことも重要と感じ、それまでの会社を中途退職し、少し充電期間をおいて、保育園の送迎バスの運転手として新しいキャリアを歩み始められたとのことだった。保育園や幼稚園のいわゆる園バスの運転は、多くのところでこうした中高年齢の方の力に頼っているところが多いようで、筆者の近くの幼稚園等でもこうした方々の運転の園バスをよくお見掛けする。又、たまに報道で見かける園バスの事故でも多くは中高年の運転の方が多いように感じる。話を戻して、この元営業マンの話である。この方は、さすがに営業マンで鳴らした方であったようで、人とのかかわり合いがうまく作れる方で、園長さんから「子供さんからの評判もよく、バスの運転だけではもったいないから保育士に挑戦してみないか」という誘いを受け、保育士試験に挑戦すべく勉強を始められたとのことであった。

筆者は、これこそ「学び直し」のいい見本だなと感じた。通常、今ある仕事から、ほかの仕事に移ろうとしてその専門知識を得るための「学び直し」はよく耳にする。セカンドキャリアとしてこれをやりたいと決めて、それに向かって「学び直し」をしてという順序でというのは確かにセカンドキャリアに進む王道だし多くの方もこうして進路を決めていかれている。しかし、この元営業マンのように自分が意図したこと以上のことに対し、自分の能力の評価を受け、「学び直し」のきっかけをつかむというのはなかなか難しいところである。ご本人とってみれば、思ってもない機会をつかみ新たな挑戦を行うということで、非常に意義深いセカンドキャリアになるのではないかと思う。

セカンドキャリアの挑戦というものはそれぞれ違いがあり必ずしもひとまとめにできないが是非、この方のように、自分が予想していない方向への挑戦ができる方が増えていったら夢があるのではないかと思う。

 

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