趣味と仕事の間

2021.10.20

鈴木 友之

 

アレ? 何かもの足りない? どう思う? 私は妻に問いかける。妻は小皿に注いだ出汁を一口含んで、もう少し塩を足してみたら、と一言。そうかな~、と言いながら1つまみ、2つまみ塩を足す。1年半前くらいから毎月曜の夕食は私の当番。それが今では、当番以外の時でもテレビや新聞・ネットなどで興味をもった料理を自分でも試すようになった。もともとのアバウトな性格で、調味料を計量カップで測ったりしない。200CCのコップ使った目分量で測ったり。加えて塩は、基礎疾患のため控えるように医者から言われており、少なめに入れ、その分、他の調味料でカバーしようとしている。薄味にも慣れてきているが、それでも仕上げの決めが難しい。

 

もともとは、義父がお世話になっていた老人ホームの介護スタッフの何人かが保育所に子供を預けており、子供の引き取り時間と夕食時間が近くて慌ただしい。その様子を見た妻が食後の洗いなどの手伝いボランティアを毎月曜に始めたことがきっかけで、私が夕食準備を引き受けた。始めたころは、アイデアがないと惣菜を買ってきて済ませたりしたが、だんだん面白くなって、毎回違うメニューを試みるようになった。妻も味に厳しい注文を付けずに美味しいという。褒めて育てる方針を感じつつも、新しいメニューへの意欲を感じて、テレビのクッキング番組などを見てアイデア探しの視点が増えた。

 

これは、趣味なのだろうか。それとも、給料は出ないけれど、専業主婦同様に仕事の一貫だろうか。自分にとっては、最初はボランティア的な仕事に思えていたが、いまでは、楽しんでいる自分がいる。スーパーの食品売り場に立って定番の食材を見れば料理のアイデアが浮かんでくる。珍しい食材を見れば、どう料理するのだろうかとその場でスマホからレシピをチェックする。そして、テレビの料理番組や新聞などの記事に目が止まる。料理したレシピはPDFにしてパソコンに保存、すでに50以上になっている。

 

定年後の過ごしかたの指南本には、かならず趣味を持つことと言う項目がある。趣味を持とうと思うと、やりたいことが見つからず、或いはお金ばかりがかかる時代で、本当に続けられるか考えて辛くなる。趣味と大上段に構えずに、最初からお金をかけて諸々準備したりせず、自然体で、来るもの拒まず、とにかくやってみるうちに、趣味にも変わっていくのではないだろうか。自分にとって料理は、自分が作りたいものを作り、ひと様、とは言っても今のコロナ環境では妻だけだが、喜ばれる趣味の範疇と思っている。

 

                                                        以上