介護福祉での「家族」

2021.9.21

鈴木 友之

 

先日、義父が他界した。自宅から車で15分のところにある老人ホームにお世話になってから1年10カ月、100歳を目の前にした穏やかな日々を過ごさせていただいた。

 

退所する日、介護士や看護師の方々とともに入居する20数名のお年寄りが、皆さん食堂に集まって、お別れの会を開いて下さった。義父を担当された介護士や看護師の方々が、それぞれに義父と接してきた中でのエピソードを交えた思い出や印象が語られた。聴く中で、義父の言葉や行動そして笑顔が鮮やかに浮かび上がった。何よりも介護に取り組まれる方々の人柄と介護への想いの深さを感じる感謝のひと時だった。

 

コロナ禍や気候変動、脱炭素、DX、国際情勢等により進む産業構造の大きな変化の中で、介護福祉関係は常にトップクラスの有効求人倍率に位置している。介護福祉のニーズが増す一方で、離職者も多いと聞く。10年近く前に、高校生の就職ガイダンス講師を務めて東北や信越地方の高校に出かけたとき、その土地のハローワークの職員の方とお話しする機会があった。ある地域では当時すでに高齢者比率が住民の4割近くにだった。地元に就職を希望する高校生の多くが介護福祉関係に進んでいたが、半数近くが離職すると聞いた。

 

人と接する仕事の中でも、お年寄りに接する介護の仕事では、向き不向きと気持ちの持ち方だけでない、介護する人とされる人という立場を越えて、対等の立場で「家族」のような関係が一層重要に思われる。義父がお世話になった施設では、入居しているお年寄りの方々も自発的に、調理補助や配膳などに参加して、「家族」という共同生活の場を形成していた。私の妻も、夕食後の後片付けと保育園のお迎え時間が迫る慌ただしい時間の補助に、ボランティアに行って「家族」の一員に加えていただいた。これからは、GIVEとTAKEのどちらかではなく、両者一体となったライフスタイルを実現する産業構造の進展も必要に思う。