ここ数日、とても有り難い…

言葉通り有るはずのないような出来事があり、色々な感情で胸がいっぱいの状態が続いていました。

ダッカにある通称「山形病院」。
結婚する前から夫はお世話になり続け、20年で通算7回の入院を経験していますし、
かくいう私も何度も体調不良に陥り入院・通院でお世話になっており、
最近ではわんぱくな息子も病気をした時は治療していただいたり、怪我した部分を縫っていただいたり、
まさに家族ぐるみでお世話になり続けています。
私達家族だけではなく、ダッカに住んでいる在留邦人のほとんどがお世話になっているのではないでしょうか。


山形病院の魅力は、日本の山形で医療を学ばれたというラーマン先生の素晴らしい日本式医療と、そしてダッカの天使とわたしが尊敬している看護師・小林レイ子さんの患者さんの心に寄り添う温かい看護。
特に、体調が悪い時も現地の病院では病院食もスパイスだらけのカレーですが、山形病院では希望者に日本食の提供も行っています。
そのお料理が美味しくて美味しくて、、、


全てレイ子さんの手作りなのですが、誰かに作ってもらう日本食ってこんなに美味しいんだなあ、と病の心身に沁みる優しいお味で
お料理だけではなく、安全最優先の確実な治療をしてくださる山形病院は
「何かあってもレイ子さんとラーマン先生がいるから大丈夫」
と思えるから頑張れるほど、医療もまだまだ発展途上のこの国では心強い存在です。

また、山形病院は日本人の方々や一般のバングラデシュ人の方々への治療だけではなく、貧しい方々へのボランティア治療も長年行っていて、お金がなくて治療が受けられない方のために門戸を開き、ラーマン先生が指揮をとり日本式医療をこの国の方々へも提供されています。


実は少し前にエクマットラの男の子が靭帯を切ってしまい、手術できる病院を探していたのですが、団体の予算と合う病院がなかなか見つからず…
とても難しい手術でこの国では執刀できる医師も限られている中、信頼できない中でも安価な病院で行うか否か、悶々としていた中で、レイ子さんが山形病院内で奔走してくださり、ラーマン先生が「エクマットラの活動に医療という形で貢献したい」とおっしゃってくださり…
バングラデシュで最高峰の医療水準を持つ山形病院で手術していただけることになったのです。

それはラーマン先生からの、20年間というエクマットラの活動への応援の気持ちや、この国の未来の子どもたちのためにという想いを込めての決定だったと思うのですが、
偏にセラピー中もずっとその男の子を気にかけてケアしてくださった、思いやりに溢れたレイ子さんの優しさのおかげでもあり、エクマットラの子の手術を山形病院が引き受けてくださると聞いた時は、嬉しさと共に色々な感情が溢れてきて、涙が溢れてきました。


その男の子には両親がおらず、完全にわたしたちが親代わりです。
ただ、親代わり、と言いいつつ団体として何十人も子どもを育てている中で経済的にも限度があり、
一人の男の子に最善の治療を受けさせてあげられないもどかしさや無力さ
他の病院に視察に行った時に見た、手術後より悪化してしまった患者さんたちの表情や声の切なさ
今回私達は幸運にも信頼できる医師に手術をしていただけるけれど、この国の大半のひとはそれが叶わないという現状

そうした感情の諸々や、レイ子さんのご協力、ラーマン先生の偉大なお心、手術に至るまでの紆余曲折を彼にも共有した上で、


エクマットラの子はこうして機会をいただけて、本当に恵まれている。
そのことへの感謝を絶対に忘れないで

と、その男の子とも話をし、その子も涙ながらに頷いていました。

アラー(神様)のお導き、という言葉がイスラム教にはありますが、その言葉が自然と浮かぶくらい
本当に有り難い、有り難すぎる出来事でした。