アジアで初めてノーベル文学賞を受賞したタゴール。
詩・音楽・戯曲・小説・絵画・哲学
多方面で才能を発揮した、まさに天才と呼ばれたひとでした。
今日はまた詩をひとつ、ご紹介したいと思います。
It is very simple to be happy,
but it is very difficult to be simple
幸せになることはとてもシンプルなことです。
しかし、シンプルでいることはとても難しい
幸せとは誰かと比べるものではなく、自分の中から見出すもの。
自分がいまあるものに満足し感謝できたら、こんなに素敵なことはありません。
そう思ってはいても
この現代で私たちは情報社会の中に生きていて、知りたくなくても知ってしまう現実や比べたくなくても比べざるをえない状況があり、なかなかシンプルでいること自体が困難な時代です。
気軽に世界とアクセスできて様々な情報を得られる分、「知る」ことで生まれる自らの「欲」とも向き合わなければいけません。
知らなければ幸せだったかもしれない。
そんなこともあるでしょう。
知ったからこそ手を伸ばして欲しくなってしまった。
そんなこともあるかもしれません。
限りなく奥深い欲望という心は自然と湧きあがるもので制御が難しいものですが、そんな時に思い出すのは「足るを知る」という老子の言葉です。
古代中国の思想家である老子は、「足るを知る者は富む」と言いました。
何事にも有難味と感謝を持ち、今自分が持っているものに満足するという意識をもつことで、精神的に豊かになり幸せに生きていける
ということを老子は説いています。
この場合の「富む」は金銭的なものだけではなく心の豊かさを表しています。
自分自身が満足してしまうことで成長が止まってしまう分野に関してはなかなか「足るを知る」塩梅が難しくはありますが、こと自らの物欲において、人間関係において、人生においては「足るを知る」ことが幸せに生きる秘訣なのかもしれません。
タゴールさんのお話から老子のお話となってしまいましたが、このように世界で言い伝えられている名言の多くは出所の場所や発言した人は違えど真理が共通している意味を持っていることが多く、また多くの方から共感や賛同を得ているからこそ今も生きている言葉なのだと思います。
この国では「足るを知る」ことがとても自然に身についている方が多いように感じます。
先進国の日本から来た多くの旅行者の方が、日本より貧しくても今あるものに感謝して幸せに笑顔で生きるバングラデシュの人々を目の当たりにし
幸せってなんだろう…
という言葉を口にするのも、私達が無意識に幸せの定義を作ってしまっているからなのかもしれません。
今あるものに感謝する、という姿勢は私がバングラデシュに来てからこの国の人々から学んだ大切なことであり、いつか言葉にしてお伝えしたいと思っていたので、タゴールさんと老子さんのお言葉をお借りして書かせていただきました。