卒業生のノヨンくん。
実は今年に入ってから、体調を崩して病に倒れてしまっていました。

エクマットラを卒業してから、自分自身で立つことの難しさ、外の世界の厳しさを知り、色々なことに疲れていたようです。

とても難しいことですが
エクマットラの中では、彼らが幼少期に周囲から注がれるべきだった温かさや愛情と共に
彼らを大切に思うが故の厳しさも、時には伝えなければいけません。
この過酷な現実、バングラデシュという社会で生き抜いていくために。

私はどちらかというと、母親的な視点からただただ甘やかしてしまいたくなってしまうのですが、
そういう意味で夫や創立メンバーたちが父親的な役割を担ってくれていると思います。

ノヨンも卒業前はエクマットラの中でフィールドワークをとても頑張ってくれていて、小さい子どもたちからも青空教室で「先生」と慕われていたのですが、
やはり社会に出てから「まだ何者でもない自分」「こんなはずじゃなかった」という理想と現実のギャップに悩まされたそうです。
 
きっとエクマットラの子に限らず、普通の家庭でも、日本でも、子どもが成長する過程で通る道だと思うのですが、そうした時に大切なのが側で支えたり見守る家族や友人の存在となります。
ノヨンの場合は本当に天涯孤独で家族がおらず、そうした葛藤の中で心身共に病気になってしまった時には本当に痩せてしまい、彼と話し合った結果アカデミーで療養することになりました。
 
 
 
 
 
それが約一か月前。
今回久しぶりに会ったら見違えるように健やかになっていて、彼の笑顔が嬉しかった。

大人の私でも、落ち込んでいる時、悩んでいる時、
このアカデミーの大自然と純粋で優しい人々に心癒され救われるので
きっと多感な年ごろの彼は、ここで多くの恵みをその心身に吸収したのでしょう。

外の世界で戦わなければならない現代社会の中では
誰にでも疲れた時、病んだ時、帰る場所が必要です。
 
路上から来る子どもたちにとってはここは未来に向かって羽ばたく希望が溢れた場所であり、
ここで育ち飛び立った子にとってはここは過去の優しさや愛情に触れる帰る場所でありたい、と思いました。