最近、また世界一周記を少しずつ進めていますが
日記の中に書ききれなかったスリ事件について、今日は別途書かせていただきたいと思います。

こちらの事件の詳細も、もちろん日記に書いてあったのですが
当時の文章を読んで
「何をこんなに危機感もなくちょっとしたハプニンのように書いているの!」

と自分で自分に、なんというか怒りが湧いてきて…

 

どうせ書くのなら、これからいつか海外に行かれるかもしれない方が私と同じような目に遭わないように、
そして私と同じ失態をしないように、
啓発の意味も込めて大人になった今の見解も交えつつ、このブログに書きたいと思います。

 

 

宿への帰り路、私と旅の相方のちよみんは夜のランブラス通りを歩いていました。
夜といっても確か8時前後。

周りには家族連れも沢山いたし、賑やかな通りはほのぼのとした雰囲気だったので、確かに少し気が緩んでいたかもしれません。

おしゃべりしながら出店を見て歩いていると、目の前の方が急に
「Uwahha---!」

と言って、何か大きなビーズのようなものを床にまき散らしてしまいました。
慌てて拾い集める男性の隣にいたおばさんが
「Are you okay??」

といって落ちたものを拾ってあげていて、近くにいた私たちも拾い始めました。

しゃがんで玉を拾い集めようと手のカメラをポシェットに入れようとしたその時…

 

誰かがどんっ!!とわたしに体当たりしてきて
私はそのまま道に倒れ込んでしまいました。
「麻恵ちゃん、大丈夫!?」

とちよみんが駆け寄ってくれて、幸いどこも怪我はなかったのですが
はっ!と気が付くと…手のカメラが…なくなっていたのです。

慌てて周囲を見渡すと、私を振り返りながらすごい勢いで走っている男性がいて
直感で「あの人だ!」と思い、わたしは起き上がって追いかけました。

 

あの時、自分でも考えて行動していたわけではなかったのですが
デジカメはわたしの大事な仕事道具、動画の女王だから世界一周させてもらえているのに…
これがなくなったらこの旅をする意味がなくなってしまう!
しかももう一度デジカメを買うお金もない!!
と、それはもう切羽詰まって、無我夢中で気が付いたら身体が追いかけていたのです。

どのくらい走ったかよく覚えていませんが、50Mくらいだった気もするし、100Mくらいだった気もします。
なんと私は執念でその人に追いつくことができました。
相手はまさかそんなに長い間人混みの中を、私が追いかけてきていると思わなかったようで、仲間らしき人物と落ちあい、私のピンクのデジカメをまさに渡そうとしていました。


「Give it back !! It's mine !!」
と私が言うと、二人はびっくりしてこちらを振り返り、一瞬バツの悪そうな顔をしましたが、
「いやいや、何言ってるの?これは僕らのだよ~」
というようなことを言ってごまかしてきました。


その時、私は本当に怖いもの知らずで

その男性たちにつかつか歩み寄り
今度はデジカメを取り返し、オンにして自分たちの写真やビデオを確認して見せて
「It's mine !!」
と詰め寄りました。
相手が何か言い返そうとしたとき、私の後を追ってきたちよみんが
「大丈夫!?」
と追いついて、味方についてくれました。
なんとこんな時も…こんな時だからこそ、ビデオカメラを回しながら追いかけてきてくれていたのです。

 

スムーズな手口からして、きっと彼らは常習犯で

旅行者を食い物にしてこんなに素敵な国のイメージを壊すような犯行をいつもしているんだ、と思ったら怒りが込み上げてきて、
警察に突き出してやる、という正義感にかられていた自分でしたが
ふと周りを見ると、賑やかなランブラス通りからかなり離れた路地に入ってきてしまっていて閑散としている中で…


今ここで何か起きても、助けを呼べないかもしれない。
相手の仲間が周囲にどれだけいるかもわからない。
もしかしたら、ボールを落とした人もグルだったのかもしれない。

そんなことを考えたら、急に背筋が冷やりとしました。
今度は私たちが逃げる番です。

とりあえずデジカメは取り戻したので
ちよみんのビデオカメラ撮影に相手が怯んでいる隙に、二人で逃げよう!と今度は来た道を猛ダッシュしたのでした。

 

あの路地に仲間が沢山待ち伏せしていたら
あの時後ろから襲撃されていたら

 

今考えると、なんて無鉄砲なことをしたんだろう、と恐ろしくなります。
実際に、世界一周から帰ってきてから、同じように盗難事件で取り返そうとして返り討ちに遭い怪我を負わされた方のお話や、危険な目に遭った方のお話を沢山聞きました。

あの時はデジカメのことで頭がいっぱいでしたが
本当に命より大事なものはありません。
お金では買えない、本当に尊いひとつだけの命なのです。

 

特に今は海外に住む在留邦人という立場になって
現地の大使館の方々や安全対策をされている皆さんがいかにご苦労されているかを知り、

いち日本人として絶対に危険なことに自ら足を踏み入れるべきではないと心底思いますし
 

自分の帰りを待ってくれている家族や友人のことを思えば、デジカメはスペインに捧げてやる、くらいの気持ちで手放せばよかったのです。

 

この事件のことを、帰国後は武勇伝のように面白おかしく友人に話したりしていました。

そんな自分のことも今はとても恥ずかしいです。
若気の至りとはいえ命の重みもわからずに、無鉄砲をした自分を叱り飛ばしたい気持ちです。

 

今はなかなか海外旅行に行く機会もなくなっていると思いますが、もしスリや盗難にあっても捜索は警察に任せて絶対に個人的に深追いをしないこと、
犯罪グループの中にはそれぞれの役割があり、何か目の前でハプニングが起きた時は、そのパニックでできる隙をついて次の犯罪が起こる可能性があります。
いつも以上に冷静に、自分と周囲の身を守らなければなりません。

 

今読み返すと反省しかないこの出来事ですが💦
こうして恥をさらすことで、皆様の渡航の際の危機意識を高めることに少しでも貢献できたら幸いです<m(__)m>