※この旅行記は、2007年に世界一周旅行をした時の日記と写真を元に投稿しています。


再びバングラデシュのロックダウンにより通勤時間がなくなった分、一発奮起して旅行記ブログの再開をいたしました。
ロックダウン中も自宅で仕事はありますが、頑張って進めていこうと思いますので、またお付き合いいただければ嬉しいです。

過去の世界一周旅行記はこちらからご覧になれます。↓

 

 

 

四月二十七日

 

スペインの魅力を伝えるべく、動画更新やブログ更新を昨夜は頑張りつつ
アメリカについてからの宿が決まっていなかったので、今朝はインターネットで事前に口コミなどを調べながらお手頃価格で良さそうな宿を探してみる。
ニューヨークはやはり値段が高く、バックパッカー宿のようなところでも50$~80$くらいする。

 

明日にはアメリカに発つ私たち。
この街の守り神のような存在に感じるサグラダファミリアをきちんと見納め、今日はバルセロナのゴシック地区にあるカテドラルと呼ばれる大聖堂を見に行くことにする。

 

スペイン語では La Catedral de la Santa Creu i Santa Eulalia。
日本名ではサンタエウラリア大聖堂。

 

13世紀の終わりに建設が始まり、なんと150年の月日を経て1450年に完成したと言われるこのカテドラルは、教会の中でも最も格式が高いと言われている大聖堂である。

 

大聖堂の入り口に立つイエス・キリスト像
そして左右に立つ12使徒

正面のファザードにあるという76体の天使の彫刻
カタルーニャ・ゴシック様式と呼ばれる荘厳な中の造り
高い天井を支える束ね柱

聳え立つパイプオルガン
また大聖堂の裏にあるというロマネスク美術のユーモアさが詰まったガーゴイルという怪物の彫刻。。。

期待に胸を膨らませて歩いていったら、なんと工事中で入館はできないとのこと。
む、無念すぎる。。。

 

 

 

 

入れなかった残念無念さを抱えつつ、「150年」という月日を考える。

 

この立派な大聖堂の建設に携わった人の中でも、初期のメンバーは完成した姿を生きているうちには見られなかったということになる。
完成した姿をどれほど見たかったことか。

きっと完成した姿を何度も夢に描いただろう。


これはサグラダファミリアを見た時も、モンサンミッシェルを見た時も、ピラミッドを見た時も、タージマハルを見た時も同じことを思ったけれど

 

何か大きな、本当にすごいものを作ろうとしたら、長い年月がかかるもので
それは命のバトンのように、初代が終わったら次の世代へ、そしてまたひとつの世代が終わったら次の世代へと受け継がれていき…


そうした歴史の流れの中で、始めた人々は最終形を見ることができなくても、想いや夢を次の人々に託して
託された人々もそれを受け取り、形にしてこの世界に残してゆく。
そして、今まさに修復工事がなされているように、時代に合わせた形に少しずつ補強されたり変わっていきながら、存在していく。


偉大な建築を見る度に、建築という術を通じて、人間の生き様、生きる真理のようなものを考えさせられる。
そして、そんな哲学的なところまで考えさせられるのは、これが偉大な建築故なのだと、妙に納得させられるのである。

 

中に入れなかったものの、カテドラルからは素敵な思考の時間をもらい、

ランブラス通りを歩きながバルセロナの港へ向かう。

 

今日は日曜日ということもあり、ランブラス通りはいつもに増して祭日感満載。
アーティストやパフォーマーが道端で楽しいパフォーマンスをしている。
日本ではあまり見たことがない光景だけど、この街ではこれが日常の風景なのだろう。
こうして世界に出てみると、何かを表現することというのが本当に身近で、自然なことなのだと感じさせられる。
 

中には、本格的な透明人間さんも!
お金を入れると動いてくれるとのことで、私たちも入れてみるとロボットダンスのようなこれまた技術度の高い動き…!!
そのパフォーマンス水準の高さに感動して、更に追加で一緒に記念撮影もしてもらう。
それにしても、すごいアイディアと身体能力。。。

 

 

 

 

賑やかな通りをしばらく歩くと、潮風の香りが。
晴れ晴れとした空の下、地中海が広がるバルセロナの港へ。

 

 

 

 

 

 

港には船が沢山停泊している、ヨーロッパの主要商業港と呼ばれるバルセロナの港。
ここから色々な世界に繋がってるんだなぁ…と実感。

港にはいつも、浪漫を感じます。

 

近付いてみると、その海の水の美しさにびっくりする。
水が透けていて沢山のお魚が見えた。

我れらが東京湾とは大違い…(泣)。

 

目に映る青が綺麗で、風が気持ちよくて、ちよみんと風に吹かれてゆっくりしているとどこからともなくスペインギターと歌声が聞こえてくる。
なんて素敵な気持ちのいい日曜日だろう。
ふと、「日曜日からの使者」という歌が頭をよぎる。

”このまま どこか遠く 連れてって くれないか きみは きみこそは 日曜日よりの使者…”

日本で仕事が忙しい時は、よくこの歌が頭を巡っていたっけ。
今は…まさに、日曜日よりの使者に誘われたように、こんなに遠いところまで来てしまった。

ふと、自分は日本に帰ってまた、きちんとした生活が送れるのだろうか、という考えが頭をよぎる…

 

それは日本に帰ってから、考えることにしよう。

ということで、スペイン最後の日、そしてヨーロッパ最後の日、
思い残すことのないよう、二人とも大好きなシーフードパエリアを港沿いの食堂でオーダーする。



 



 

海老にイカやタコにムール貝。

海の幸のエキスが沢山沁み込んでいて、バルセロナの港で食べたこのパエリアは本当に美味しかった。

 

 



お腹が満たされたところで、バルセロナにある小高い丘「モンジュイック」に向かう。
昔から都市を守り続けてきたというこの丘、今は市民の憩いの場となっているそう。


丘の上には1751年に建設されたモンジュイック城が建っている。
舞踏会が行われていそうな素敵なお城だけど、古代には軍事要塞として役目を果たしていたそう。



 

 

お城を越えて進むと、なんと中には1992年のバルセロナオリンピックの競技場が。

あの素晴らしい開会式の70Mの炎の矢の演出から始まり、
ここで数々の感動が生まれたのか…となんだか感動。


柔道・競泳・マラソンなど日本の選手もメダルを獲得し大活躍した記憶も新しい。

 



 

 





 

 

そして、このモンジュイックの丘に来てよかった!と思えたのが
見晴らし台。
ここからはバルセロナの街と地中海が一望でき、沈みゆく夕日も満喫できる。

 

沢山の人がこの場所に、一日の終わりを感じに

家族で、恋人同士で、友人同士で訪れていた。

夕日は世界中のどこで見ても美しい。
それでも、毎日記憶がアップデートされていく中でやっぱり今日、今この瞬間見ている夕日は特別に思えた。


ありがとうスペイン。

ありがとうバルセロナ。

本当に豊かな、人間らしい時間を、ありがとう。
この夕日の美しさに、美しさを感じられていることに、感謝が溢れる。


 

 

 

 

 

それから…夕日を眺めながら、街が暗闇に包まれるまで、ちよみんと色んなことを話した。
アジアから始まった私たちの旅、気が付けばもうヨーロッパも今日で最後。
 

なんだか感慨深いものが、お互いにあった。

 

全てをごちゃまぜにしたような混沌としたアジア。
そしてえ全てが仕切られたような整然としたヨーロッパ。

それぞれの歴史があり、それぞれの魅力があり、私たちは沢山のものを見て感じることができたね、と。
こんな時、母国語で思考を共有できる相手がいて本当に良かったと思う。

 

話し込んでいる途中で、地元の少年たちのサッカーボールが飛び込んできて、それを機に少しだけゲームに混ぜてもらう。

気ままな旅人でいられるのももう少し。
明日から始まるアメリカでの日々も、楽しいものになりますように。