※この旅行記は、2007年に世界一周旅行をした時の日記と写真を元に投稿しています。
再びバングラデシュのロックダウンにより通勤時間がなくなった分、一発奮起して旅行記ブログの再開をいたしました。
ロックダウン中も自宅で仕事はありますが、頑張って進めていこうと思いますので、またお付き合いいただければ嬉しいです。

過去の世界一周旅行記はこちらからご覧になれます。↓

 

 

 

四月二十六日
 

今日はガウディさんがデザインしたという公園「グエルパーク」へ。

 

 

ここからはバルセロナの街が一望できる。

ガウディ生涯の作品と言われているサグラダファミリアは、とりわけよく見ることができる。

生前ここからガウディさんは、自身の未完の傑作を眺めていたのだろうか。

 

グエル伯爵の理解を得て、ガウディが自然との調和による新しい形の芸術を目指したというこの公園は
入口のモニュメントや広場なども本当に個性的で、公園というよりもう立派なアミューズメントパークのよう。

緩やかな曲線が描く創造物の全てが、夢の世界へようこそ!と私たちを歓迎してくれる。
ディズニーランドへ行った時のワクワク感。
それがこのグエルパークにはある。


公園という日常の延長上にある場所でありつつも
しばし日常を忘れて童心に帰らせてくれる、
このままこの世界に迷い込んでみたい、
そんな風に思わせてくれる、不思議な魅力がここにはある。

 

こんな素敵なグエルパークが生活の中にあるバルセロナの人々はなんて幸せなのでしょう。

 

中にある建物は、まるでヘンゼルとグレーテルのお話に出てくるお菓子のお家みたい!

そしてガウディさんのワンダフルな建築と共に木々や草花が加わることで、ワクワク感に加えてほっこり感も感じさせてくれる。


楽しめて、癒される、そんなエンターテイメント性の高い公園だ。
 

 



 

 

 

 

グエル公園の中では、沢山のグループが記念撮影をしていた。
中にはチャーミーグリーンのCMに出てきそうな素敵なおじいちゃま、おばあちゃまたちの団体も。

どこから来たの?
スペインはどうだい?

と気軽に話しかけてくれる。
皆さんのことを聞いてみると、学生時代の仲間たちでの集まりがもう40年も続いていて、こうして定期的にピクニックをしているそう。
なんて素敵な人生!

 

自分でも驚くほどふと唐突に、

優しかったおじいちゃんおばあちゃんのことを思い出して泣きたい気持ちになった。
二人とももう会って話すことはできないけれど、空から私たちのことを見守ってくれているだろうか。
私が世界一周をしていると知ったら、心配するだろうか。
応援してくれるだろうか…。


もっともっと、色んなことを話しておけばよかった。
スペインのおじいちゃんおばあちゃんたちと手を振ってお別れしながら、帰ったらお墓参りに行こうと思う。






記念撮影と言えばヨーロッパに入ってから特に

どこを背景にしてもお洒落で画になる場所ばかりで、私たちはよく写真を撮っている。


今日はすごくアーティスティックな紫の壁のお家があり、そこでちよみんにポーズを取ってもらったら、木漏れ日の影も相まってもうハリウッドセレブなのではないかというカッコイイ写真が撮れた。

夜のフラメンコ鑑賞の前に、一度シャワーを浴びにホステルヒルに戻った時には、ちよみんが可愛い出窓で爽やかな写真を撮ってくれた。


色々な国で撮った二人でのツーショットも、その国の皆さんと撮った写真も、それぞれ撮り合った写真も、きっと一生の宝物になるんだろうな。
私たちもおばあちゃんになった時に、「こんなとこにも行ったねぇ~」なんて、写真を見返しながら語り合えたらいいな。

 

 


(こちらはご本人のお顔があまり写っていないのと、改めて見てもすごく素敵なため特別に載せさせてもらいました!)



旅を始めてから空や海を見る度に、日本にいる家族や友人を思い出す。
この空の向こうの友人たちは元気だろうか。
母は心配していないだろうか、と。
帰ったら話したいお土産話が沢山ありすぎて、忘れないようにこうして日記を書いているけれど

このスペインを発ったらあとはアメリカのみ。
旅の終わりが見えてきた。

ホステルヒルの窓からは青い空に飛行機雲が見えて、なんだか良い兆しのようで気持ちが明るくなった。


今まで以上に、一日一日を胸に刻もう、とその伸びやかな雲を見て誓う。

 

 

 

 

地元の方々から勧めらたフラメンコの会場は、まさにスペイン酒場というかんじ。
異国の言葉が良い感じの喧騒に聞こえて
今から始まる舞踏ショーへの期待に胸が膨らむ。

 

 

 

 

スペインギターの哀愁漂う音色と共に…
照明が落ち、ダンサーの女性がステージへ。
ショーの始まりと共に歓声が上がり盛り上がる会場。

とても密で、空気の濃度が濃くなっていく空間。

 

そして…驚いたのは
踊りという手法から感じ取れるひとつの感情。
これは、この感じは
プラド美術館でも感じたものだ。

腹の底から湧き上がるような
許すことをせずに溜め込んだもの

それらを放出していくような
そう、「怒り」という感情。

わたしは日本で色々な舞台を見てきたけれど
こんな風に「怒り」をベースに構築するような表現に出会ったことがなかった。
けれど確かに、喜びや悲しみが何かを表現するベースとなり得るのならば
怒りもきっと、あって然るべきだと思う。

色で表すなら「赤」と「黒」の世界。
音楽が激しくなるにつれて、踊りも激しさを増していく。

 

 


 

 

自分の中には中々見出せない種類のものとの出会いにより、始終ずっと目も心も奪われて見ていた。
終わった後は、ちよみんと「すごかったね。。。」と呆然としながら
スペイン特有の激しい熱風のようなステージの世界観から抜け出せなかった。

カーテンコールの時に、演者さんたちの表情が柔らかい笑顔になっていて
その笑顔を見て、やっと現実の世界に戻ってこられた気がした。

 

 



その国特有の根底に流れるものや歴史や文化が、絵画や音楽や踊りなど芸術にも深く影響し、表に現れてくる…まさに表現される。
だからその国それぞれの色があり、面白い。

昼間の突き抜けるような明るいスペインも好き。
夜の深く沈み込むような暗さを持つスペインも好き。

心身に刻まれて離れない情熱的なフラメンコのリズムを抱きしめながら眠る
そんな、スペインの夜。