「黄金のベンガル」

という、バングラデシュの呼び方があります。

 

英語で言うと、Golden Bangladesh。

 

この言葉は、ノーベル文学賞を受賞したアジアの詩人であるタゴールにより、バングラデシュの国歌としてそのまま歌となっています。

 

 

わたしの黄金のベンガルよ

 わたしはあなたを愛しています

 

あなたの空 あなたの風は
 わたしの胸の中にある笛をいつも鳴らしてくれます…

 

 

というフレーズで始まる国歌には
マンゴーの香りの中に  実り多き田畑に
バニヤンの樹の根元に  そして流れる川の中に…

 

黄金の母なる「あなた」を感じ、わたしは死にたいくらい幸せです…と続く

わたしが知る中で最も母国愛に溢れた国歌でもあります。

 

そして、わたしも

「黄金のベンガル」…

誇り高さを感じるこの言葉が、大好きです。

 

 

残念ながら、首都のダッカに住んでいて

黄金のベンガルを感じることは、あまりありません。

 

でも、首都を離れて少し郊外へ行くと…

アカデミーに行くとき、工房へ通うとき。

 

 

 

 

わたしは、あの歌詞を思い出しながら

まさに揺れる黄金色の稲穂の風景や

マンゴーの木々、そこに沈んでく夕日…

そして、その情景の中に生きる、人々の瞳の中に宿る煌めき。

 

それらを目にして、黄金のベンガル、という言葉を感じて、胸がいっぱいになる瞬間があります。

 

 

 

 

 

それは理屈ではなく、豊かなベンガル文化や風土が混ざり合いこの国が培ってきたものなのでしょう。
 

そして、ありのままに生きる人間の姿。

生きるために、生きる。


額に汗を流しながら働く、そのシンプルな何も飾らない姿が

この情景と共に、とても美しいと思えるのです。

 

 

 

 

 

わたしは小さいころからきらきらとしたものが大好きでした。

そんなわたしがこの国に惹かれた理由も、外側からはわかりにくいけれど、バングラデシュが内側から放つ黄金の輝きに魅せられたからなのだと思います。

 

この国だけが持つ、黄金の誇り高い煌めきが、

発展や成長と共にこれ以上失われませんように。ずっと続きますように。

 

バングラデシュを愛するひとりとして、心からそう願っています。