四月十六日

夢のようなヴェネツィアで目覚めて、朝一番に思うことは…

昨日のパスタは、ほんっと~にしょっぱかった(泣)。
朝起きても、身体中の塩分が解体されていないかんじ。。。

しかしながら、動画の更新はネットのスピードが速くさくさくできて、昨夜はミラノの分まで更新が追いつき、また溜まっていたコメントやメッセージも読むことができてこのプロジェクトの手応えも感じられ、リアルタイムで動画を更新するという任務を果たしている達成感を抱きしめることができた。

 

それにしても…このアバッツィオは本当に素敵なホテルだ。
お部屋もロビーもスタッフさんも、とても優雅で上品で…
イケイケなミラノとはだいぶ雰囲気が違う。
いるだけで、なんだか自分たちも貴族の仲間入りをしたような気分(笑)。

今日は二人とも、気合を入れてモンサンミッシェルに行った時にも着たここぞとばかりのおめかしワンピを着る(*^_^*)。



 

 

 

朝食も、クロワッサンが外はパリパリ…だけど中はふわっふわで絶品。
朝食会場はお庭のテラスで、木漏れ日が差し込む中小鳥のさえずりと遠くから水の流れる音が聞こえ…
本当の桃源郷のようだ。
 

広い一軒家のような…お屋敷ホテルっていうんだろうか。
今日と明日は、ここでお嬢様気分をたっぷり味わおう♡



 

 

昨夜到着した時はもう暗くなっていて街全体がとてもロマンチックだったけれど、昼間は空と水のブルーのコントラストが爽やかでこれまた感動的な眺め。
初めて列車から見たあの光景が再び…!




 

ヴェネツィアには自動車がなく、皆さん移動のためにと普通にゴンドラに乗っている。
なんて優雅な日常生活…
リアルなディズニーシーというかんじ…。




 

細い路地もこんなかんじで全部が水路になっていて“カナル・グランデ”と呼ばれる運河に繋がっている。
だいたい一家に一台自家用ボートがあるらしい。
確かに…毎日のことなら、毎回お金を払ってゴンドラに乗らずに自分で漕いだほうが経済的だし、夜や早朝に急用で必要な時もあるだろうし。

 

 

 

 

少し寂れた独特の色合いの街や、その中を優雅に運行するゴンドラ、そのすべてが異次元へいざなってくれる。

路地に迷い込んでしまっても、どの景色も魅力的だし、何より自動車がないから安全だ。


そして…ここには排気ガスの匂いもないからか、いろんな路地からいろんな美味しそうな匂いが鮮明に漂ってくる( *´艸`)。

 

 

 

 

 

 

 

普通のお店も、まるでどこかのテーマパークみたい♡
少し開けた広場に出ると、お花が可愛いレストランを発見。
ランチはこのpizzeriaですることに!

・・・今日こそは、塩分控えめの美味しいヴェネツィアパスタが食べられますように(;^_^A。

 

 

 

 

昨日のロッコさんのパスタに懲りたというか、怒りに近い感情を抱いていた私たち(笑)。
なのでパスタを頼むか迷っていると、
お店のママンが来て
「迷っているならシーフードパスタがお勧めだよ!ヴェネツィアは水の都。アドリア海の魚介が新鮮で美味しいよ(^^)。」
と優しく声をかけてくれる。
そう思って昨日もシーフードパスタを頼んだのだけれど。。。

ママンの笑顔を信じて、「塩、控えめでお願いしますm(__)m。」と一言添えてお勧めのパスタとピザをひとつずつ頼むことに。
メニューを見ると本当にどれも美味しそうで、全種類制覇したくなっちゃう。
 

そしてメニューにあるお料理を想像している間に…
絶品のピザとパスタが目の前に!

 

 

 

 

ピザはチーズとトマトのシンプルなマルゲリータ。
でもこれが…本当に美味しくて。
真っ赤なトマトの甘くて濃厚な旨味ととろけるフレッシュなチーズが最高にマッチしている。

そして…恐る恐る頼んだ魚介のタリアッテ。
これも…ほっぺたが落ちてしまうくらい、美味しい~…♡

 

 



 

…やっぱり昨夜のパスタが失敗作だったのかな(^^;)。
これがヴェネツィアの味だ!みたいに言ってたけど…
比べ物にならないくらい、素材の味が染み出ていて、もうお口の中で新鮮な魚貝のエキスが溢れるかんじ。
ああ…ここに入って本当に良かった。

お店選びが、その地での一回の貴重な食事を天国にも地獄にもする。(ロッコさん、ごめんなさい(笑))
今日はたまたまラッキーだったけど、昨夜のようにアンラッキーにならないように現地の人に美味しいお店を聞くのが、一番良いのかな。

 

本物のヴェネツィアイタリアンにありつけて、美味しさを噛み締めていると雨がぱらぱらと降ってきた。
雨のヴェネツィアも、風情があって素敵だなあ。
美しい街で、美食を味わいながら、雨をぼーっと感じる時間。
食後には美味しいカプチーノ。
私たちを急かすものは、何もない。
雨が上がるまでここにいよう。


ああ、旅って
波乱万丈なアドベンチャーだけが魅力なのではなくて、
こういう同じような日常でも普段慌ただしくてできないことを普通にできることが贅沢なんだな、とふと思う。
思えば東京では、いつも時間との戦いで慌ただしく食事を済ませていた気がする。


食事も、雨も、その余韻も…何事も味わうって大事なことだ。
そんな当たり前のことを、旅は教えてくれる。

 

 

 

 

 

雨が上がって、街歩き再開。
こういう知らない街をあてもなくふらふら歩いている時間が好き。

こんなに素敵な街にいるのだから!と、ふたりでお互いに記念撮影会をする。
お互い向こう岸まで走って、また交代して…
その様子は滑稽だけど、なんだか本当に絵葉書の世界に迷い込んだような気分になる。
どこで撮っても、街自体が本当に絵になるのだ。
 



 

 




歩いていると、ヴェネツィアにはたくさんの仮面店がある。
毎年二月に、盛大なカーニバルが行われそこでは皆仮面をかぶり、仮装をするらしい。
パレードやオペラが行われ、世界中から人が集まるのだとか…。

 

 

 

 



この街が幻想的に人々によって装飾され、より美しくなるんだろうなあ。
ああ…仮面祭りの時に、また訪れてみたい。

今までさんざん素敵なところに行ったけど、その中でももう一度来てみたい街一位は私の中でヴェネツィアかも。。。


この美しさと瑞々しさと妖しさと。

まさにこの仮面たちのようだ。
美しすぎて、少し怖さもあるかんじ…
シルクドソレイユの世界観にも似ている。
そういう感じが好きな人はもう、みんな虜になってしまうだろう。
罪な街、です。

お店の脇や裏には、工房があり制作風景を見学もできる。
むしろこういう裏側の仕事の方が劇団時代から大好きな私は大興奮してしまった。


仮面の型の取り方や、色の塗り方…
ああ一日中、ずっと見ていたい!!
というか、こんなに公開して見せていただいて、ありがとうございますm(__)m!!
こんなに凝視していていいのかな…と思いつつ、観光客用にオープンにしているせいか、作業している方も目が合うとにこっとしてくれる。

全っ然纏う雰囲気は違うけど…
小さいころから見てきた蒲田の町工場にも、少し似ている。
親方がいて、若いお弟子さんたちがいて、小さいスペースにいっぱいものがあって、その雑多な中から何かが生み出される空気が似ている。
 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、もう夕方になってしまっていた。
職人さんたちの手作業は見入ってしまうものがあり、わたしもちよみんも時間を忘れてしまったくらい。

しばらく色々見たものを頭で整理しながらぼーっと歩いていると、何やら若者たちが黒いチューブのような、タイヤのような…??ものをかじりながら歩いている。

生まれて初めて見るお菓子に、私たちは興味津々。
「それ、美味しいんですか…??」と聞くと「Super!!」という答えが返ってきたので、見た目は全然食べたくならないけど旅の思い出に食べておくか…と買ってみる。
近くで見ても、うーんやはりタイヤにしか見えない…。



 

 

どんな味なんだろうと、ワクワクしながら
他の皆さんがしているように、思いきってガブッ!!とかじってみると
。。。。。

ま、不味い~(泣)!!
なんというか…なんとも言えない味としか。。。(泣)。

海苔と糊を混ぜ合わせたような…??
とにかく、今まで食べたことがないくらいの美味しくなさ。
なんでこんなものが売られているのか…しかもみんな買っているのか…しかも人に勧めるのか(;´Д`)。
昨日のパスタといい、、、ヴェネツィアの方々は味覚の幅が広いのか!?

二人でひとしきり苦しんだ後、ふらふらになりながら歩いて海に辿り着く。
ああ…これがアドリア海。
口の中はまだ大混乱だけど、波の音を聞きながら気持ちは少しずつ落ち着きを取り戻す。



 

 

そういえば、まだここでお買い物をしていなかった!と気が付き、ひとしきり海を眺めて元気になりスーパーへ行くことに。
全面観光用のようなどこから見ても美しい街だけど、そんなヴェネツィアの人たちが普段どんなものを食べてどんな生活をしているのか、感じたい。
そして…スーパーに行ってびっくり!!
そこは、チーズ祭り!!






ああ~美味しそうなチーズたちが大特価で売られている。

 


 

 

ハムも、切り売りなどすごい迫力!!
スーパー内はパスタ・ピザに使う材料がメインというかんじ。
ラビオリやマカロニやニョッキも美味しそう~。





チーズやハムなど今夜のおつまみになりそうなものをちよみんと選び買う。
日本のスーパーも恋しくて早く行きたいけど、異国の初めてのスーパーってすごく楽しい。

日本ではこれらのチーズが2~3倍するらしいから、太っても今のうちに一杯食べておこう(笑)。

 

私たちの愛しのお屋敷ホテル、アバッツィオに戻り一日のことを振り返る。
しかし、車の音や存在がないだけでこんなにも心身が平和になるのか…と改めて感じた。
今日一日聞いたのは人々の声と水の音。
きっと吸っている空気もいつもよりも新鮮で。
たくさん歩いたし、途中変なものまで食べてしまったけど、なんというか全然心も体も疲れていないのだ。

ただ…今日、あの海の水位を見て
このまま温暖化が進んだらどうなるんだろうな…と思ってしまった。
一度考えだすと止まらずで、つい先ほど動画更新中に調べたらやはりこのまま地球温暖化が進むとヴェネツィアは…いつかなくなってしまうそうだ。
そんな。。。
たかが旅人の身分の自分だけど、なんだか泣きたいような気持になった。
このままだと、この街がいつか地球の地図からなくなってしまう日が来る。
でもそれを阻止するためにイタリア政府も政策を2003年から打ち出していて、モーゼ計画というらしい。


モーゼ…??
あの海を割ったというモーゼ??

更に調べたところ、「Modulo Sperimentale Elettromeccanico」の頭文字を取ってモーゼで
簡単にいうと、可動式ゲートを設置し海水をせき止めて水流をコントロールするということらしい。
2011年には完成予定ということらしいから、それがうまくいくように祈るしかない。。。


一日しか、まだいないけれど
こんなに奇跡のように美しいこの街が、ヴェネツィアの文化と共に世界から水の中に消えてしまうのは悲しすぎる。
祈るばかりではなく、日本に帰ってからは地球温暖化も他人事と思わずに自分にできることをしよう。
使わない電機は消す。テレビのつけっぱなしもやめる。クーラーも必要最小限。
いや、帰ってからじゃなく明日からやろう!

この、水の都であるヴェネツィアが地上と水の狭間でずっと美しい夢を人々に見せてくれますように。
今日見た工房の方々が、ずっと笑顔でものつくりができますように。
心からそう願わずにはいられない。