四月十三日
なんて素敵な朝!!
だって、今日はこの旅始まって初めて?の寝坊ができたから。
惜しむべきは…
昨夜、チキンのグリルを買ってきてお部屋で食べながらヨーロッパ史のあれこれをちよみんと語りつつ、チェコでの疲れも出たのかどっと疲弊してシャワーを浴びずにメイクをしたまま寝てしまった。。。
食生活や水の変化のせいか、最近お肌も荒れ気味だし
昔メイクさんから、
「化粧したまま寝るのはお肌が一週間老化する!」とか
「老廃物や皮膚上のメイクはばい菌みたいなものなんだから、ぞうきんを顔にかけたまま寝るようなもの!」とか恐ろしい情報を聞いたことを思い出すけど…
過ぎてしまったことはどうしようもないね(;^ω^)
朝、はっ!と起きて、何かに乗り遅れないか、寝坊したのではないかと、いつもの習性で焦ってしまうけれど
ああ、今日は寝坊できるんだ…
と思い出してシャワーを浴び、またベッドにもぐりこんだ。
寝床でごろごろできるって、休日のようななんて幸せな一日の始まり…!
私たちはあいかわらず、50ドル以下の安宿ばかり泊まっていたけれど、相変わらずヨーロッパのホテルはパフォーマンスが良く、ベッドはふかふかだし、ついてくる朝食のパンとお紅茶は美味しいし…
久しぶりに、ホテルでゆっくり移動もなく過ごせることを存分に味わうことにする。
それに…いつも元気なちよみんが少し弱っているように見える。
昨夜から少し体調が悪いらしく、軽い咳が出ている。
私に心配をかけないように、と大丈夫だよ~と言ってくれているけど…
そんなわけで、午前中はわたしは動画の更新、ちよみんはお部屋でゆっくりして様子を見ることに。
海外保険にはふたりとも入ってきたけど、やっぱり海外の病院にかかるってなかなか敷居が高い。
言葉が通じなかったらどうしよう、治療費を高額に請求されたらどうしよう、保健の手続きをちゃんとできなかったら…
いろんなことが浮かんできてしまう。
でも、万が一状態が悪化した時のことを考えて、ホテルから近くのウィーンの病院をいくつかリストアップしておいた。
最後まで、病院のお世話になることなく帰れたらよいけど、もしも彼女が病に倒れた時には、自分がしっかりしなければ。
何よりも大事なのは健康だから…旅においても、人生においても。
お昼過ぎに様子を見に行くと、朝より笑顔になったちよみんがいた。元気そうで安心する。
今日は無理せず、ウィーンの街中を様子を見ながら歩こうという事に。
アジアではジーパンにTシャツや常に楽な格好だったわたしたちだけど、ヨーロッパでは日本から持ってきたとっておきのお洋服や、旅の途中で買った可愛らしいワンピースを着る楽しみもあった。
その日歩く街の雰囲気に合わせて服やメイクを考えたりするのも、2人だとプチファッションショーのようでわくわくした。
これは女子旅の、醍醐味かな。
ふたりとも、ゆっくり支度をしてホテルを2時過ぎに出る。
なんと優雅なウィーンの過ごし方…。
地下鉄に乗ってカールシュタット駅へ。
駅から出ると街には「opera」の文字が!
…オペラ♡
ふたりでテンションが上がってしまい、そうだオペラを見よう!!というムードに突入。
以前、いつも劇団の舞台を応援に観に来てくださる方から「お芝居の勉強になるでしょうから」と、オペラのチケットを頂いたことがあった。
その時初めて本格的にオペラを見に行って、身体を楽器にしたような声量と技巧と、ストレートプレイとはまた違う歌唱を通じた表現力にただただ圧倒されたのを覚えている。
もちろん、外国でオペラを見たことはない…
パリでも忙しく値段も高くチケットはとれず…
予定もない今夜、オペラが見たい!
ふたりでオペラに関する情報を収集し、一番ポピュラーでお値段もお手頃というウィーンの国立劇場のナイトオペラを鑑賞することに…
しかし、カウンターに行ってみるとその劇場の当日券は全て売り切れてしまっていた…ガーン(;_;)。
落ち込んでいる私たちに、モーツァルト風の格好をしたオペラのお客引きのお兄さんが、シェーンブルン宮殿のオペラを勧めてきた。
シェーンブルン宮殿と言えば、代々ハプスブルグ家の皇帝たちの夏のバカンスに使われていたという…ユネスコ世界文化遺産でもある宮殿である。モーツァルトやマリー・アントワネットともゆかりのある宮殿で、美しいロココ様式の内装やバロック庭園も気になる。。。
チケットはひとり39ユーロ。
芸術を学ぶにあたっての自己投資…と考えれば安いかもしれないけれど、ほぼわたしたちの一日の旅費である(笑)
でも、これも何かのご縁かも…と予算は少しオーバーするけれどシェーンブルン宮殿のナイトオペラを鑑賞することに決定!
楽しみだあ(#^.^#)
無事、今日の一大イベントも決定し
わたしたちは心置きなくCAFE SACHERへ。
それは…ウィーンに来たら絶対食べたかったスィーツがある場所。
しかしウィーンもザルツブルグ同様、道を歩いているだけでコテコテの銅像があって面白い。
CAFE SACHERはウィーンの数あるカフェの中でも歴史と由緒ある一流の存在。
5つ星ホテルの中にあり、入り口からして、高級ブランド店のような品のあるエントランス。
ドレスコードがあるわけではないけれど、カジュアルな服装禁止、との情報を得て今日はふたりでおめかしをしてきたほど。
ここは…そう、あのザッハトルテの本家と呼ばれている。
甘いものが大好きな私は、絶対にウィーンに来たらこのオリジナルザッハトルテを食したかったのだ。
ホテルのカフェという事もあり、店内は格式高く本当に品がよろしく…
まるでもう宮殿入りしてしまったかのよう。
ヨーロッパのカフェには、どこもシャンデリアが飾ってあって
わたしのインテリア好き心をくすぐる。
ケーキが運ばれてくる間から、デートで好きなひとを待っている時のようなそわそわ感…。
この女性が好きそうなセレブリティな雰囲気も含めた「本家」なのだろう。
そして運ばれてきたザッハトルテは…お、大きい!!
ずっしりした濃厚そうなチョコレートケーキに、たっぷりの生クリームがのっていて
なんとその生クリームが…甘くない。
日本の甘い生クリームに慣れていると、あれ!?っと違和感を感じてしまうけど
この甘くない生クリームが、深い味わいの甘めのコーティングチョコレートとほろ苦いココア風味のスポンジの味を柔和させてくれて…三つのハーモニーが最高に美味しい!!
はぁ…なんて幸せなカフェタイム…( *´艸`)。
これで6.5ユーロ(約900円)。
高価だけど、値段分の満足感は…ある。
大きなザッハトルテでお腹もすっかり満たされ、自分の身体の中の血液がチョコレート色になったような気分で街歩きへ♪
思わずROREXのお店があり、宝石のように飾られた本物のROREXを激写。。。
いや、アジアではニセモノのROREXを山ほど見てきたので。。。
RORIXとか、ROREKとかいろいろあったなあ(笑)
ウィーンで夜のオペラまでウィンドウショッピング色々みたいね♪
なんて二人で楽しみにしてたのに…
お店が日曜日で、全部閉まってるー!
再びががーん。。。
これすごく可愛いのに…
こっちも閉まってる。。。
このピンクの…すごく好みだなあ…
でも閉まってる(泣)。。。
仕方ないので、街をフラフラ歩いていると
街の中にもまるでアトラクションのようなゾーンがあり…
馬車にセレブとか
ストリートキッズのパフォーマンスゾーンとか
ひとりモーツァルトとか
マジシャンとか!
こんなアヤシイ方もいたりで…
アーティストや変な人の坩堝というかんじで。
なんだか色んな人の色んな表現を見ているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。
ウィーンにも、芸術の風が吹いている感じ。
みんなが「わたしを見て!!」という意思表示を堂々としていて、こういう部分は私たち日本人にはないかも…見習いたいなあと素直に思う。
そして…オペラを見に行く前にの夕食は
ウィーンに来たらこれまた絶対食べなければの一品、ウィンナーシュ二ッツェル!!
老舗というお店に行ったら、お皿からはみ出していてびっくり!
これぞ本場!!という迫力。。。
ちよみんとふたり、大盛り上がりしながら、もちろん食レポも行い、たいらげた。
本当にサクサクジュワ~ってかんじで、でも全然油っぽくなくて、すごく良質な油で揚げているのがわかる!
とっても薄いし、美味しいし、これなら本当に、いくらでも食べられてしまいそう…。
ああ、神様。
今日は寝坊して、本場でザッハトルテ食べて、ウィンナーシュウェッツェル食べて、オペラ見て…
こんなに幸福な時間ばかり、良いのでしょうか??
なんだか幸せすぎて、怖いくらいです。。。
そんな馬鹿なことを考えながら、シェーンブルン宮殿のオーランジェリーへ。
キラキラ煌めくシャンデリアや、ロココ調の内装がとっても素敵で、格式高く上品な空気が宮殿内には流れている。
あのハプスブルグ家の方々が、ここで時間を過ごしたんだなあ…と思うとなんだか信じられないくらい。
お姫さまに憧れる女の子なら誰でも、夢見るような世界を体現したような場所だった。
そしてドキドキしながらオペラを鑑賞…。
そのオペラはなんと…意外にも、喜劇だった!!
言葉はほぼわからなかったけれど仕草や歌の内容でストリーは伝わってきて
白いタイツを着たピョートルという男性が、ある歌姫に求愛するシーンなど
ピョーン!ピョーン!!と飛び回りながらコメディアンのような表情で
観客の皆さんもとても朗らかに笑っていたので、私たちも可笑しくてお腹を抱えて笑ってしまった。
撮影OKなら、日本の皆さんにもお届けしたいところだったけど、宮殿内は撮影はNGだった。
初めて見たジャンルのコメディー・オペラ、言葉にするのは難しいけれど
歌唱力や音楽をたっぷりと味わう本格的なタイプのものはもちろん、こういうコミカルで大衆的なジャンルがあってもいい!と思わせてくれる、斬新なオペラだった。もちろん、本来のロマンティックなシーンなどもあり、さすが本場ではいろんな形があるんだなあと。
しかし、蒲田の庶民のわたしが、シェーンブルン宮殿で大笑いする日が来るとは…。
人生っておもしろい。
帰り道、わたしもちよみんもピョートルさんの真似をして
ピョーン!ピョーン!と飛び跳ねながら、オペラ風に歌いしゃべりながらホテルまで帰った。
普通に見たら酔っ払いに見えただろうけど、街の人々はそんな私たちを見てもにこにこ、あらご機嫌でいいわね♪ってかんじで見てくれる。
さすがいろんな人が道で自己表現している街、懐が深い。
なんだか本当にお酒を飲んでいい感じにほろ酔いしているような、そんな幸せな気持ちで。。。
音楽に酔う、芸術に酔う、ってこういうかんじなんだなあ…と
そんなことを考えて幸せな眠りにつく、二十二日目の夜。。。