カイロの空港に朝5時に到着。

ここに到着したての時は、インドでの疲れと体調不良から来る不安&不信感でいっぱいで、二人とも周りに疑心暗鬼の眼を向けていたなあ。


無事さくらに着いて、エザットさんに会って、本当に安心して楽しんで旅行できる自分に戻れた。
これは感謝してもしきれない。
そういうオープンマインドでいたから、古代エジプト文明の数々も砂漠の旅も心いっぱいに感じることができたのだと思う。


ありがとうエジプト、ありがとうエザットさん。
エジプトで会った人は偶然にもみんな優しい人ばかりだったから、良い思い出ばかりが刻まれ、大好きな国になった。
そう思うと、その国のイメージはその国の人でつくられる。
 

また、アジアで人間の纏う生々しいものを、いいものも悪いものも含めて見たからこそ、砂漠で自分たち以外の生命がいない世界がとても魅力的に見えて、ただただ自然のあるがままの姿の美しさに感じ入ることができた気がする。


あの、周りに何も明かりがないからこそ、暗闇の中の星の光を感じられて、いつも見えない輝きが見られたように。


私たちの小さなハートはすぐに悩みや心配でいっぱいになり、そのこと以外考えられなくなってしまうけれど、砂漠の夜空の煌めきはそんな心を優しく大きく包んでくれた。
よくありがちな言葉だけれど、
「この宇宙に比べたら、私の存在や悩みなどなんてちっぽけなもの」
と心から思えて肩の力が抜けたような感じ。


そして、旅をしていろんな方々から親切にされると、知らず知らずそれに慣れて傲慢になってしまいがちだけど、良い意味で自分自身は何の責任もないちっぽけな通りすがりだということを深く心に刻んで、感謝を忘れないで旅をしていこう。

世界は美しいことばかりではない。でも、汚いことばかりでもない。
汚いことも真っ直ぐに見つめれば、より真実の美しさも感じることができる…

そんなことを学んだ、2週間だった。

色んな事をちよみんと二人で振り返りながら、搭乗までの間またコシャリを食す。
飲み物が欲しいなあと買いに行ったら、25ピアストル足りない…そのために両替するのも面倒だし、機内で水は飲めるからいいやと去ろうとすると、「OK、OK!!」と売店の女性がウィンクしてくれる。
…最後の最後までほんといい人ばっかりの国で泣けてくる。

飛行機はロンドンヒュースロー空港行きということで、ほぼ西洋人の乗客で埋め尽くされていた。
初めてエジプトに着いた時、アジアに比べると彫りや顔立ちがやはりダイナミックで、大陸によってDNAって本当に違うんだなあとしみじみ思ったけれど、改めてヨーロッパの方々の透き通るような瞳を見ると綺麗だなあと思う。

アジアでは、自立した女性(?)と自負をして旅をしてきたのに、身長も目鼻立ちも大きいヨーロッパの方々の中に囲まれると、一気に自分たちがちんまりした子どものように見えるような、そんな気がしてしまった。。。

飛行機に乗ってからは、アジアからヨーロッパ入りまでの日々を振り返る。
始まりの興奮に包まれた香港、マカオ、価値観をひっくり返されたインド、今までのハイライトともいえる素晴らしいエジプトでの日々…。
特に昨日までいた砂漠での時間がやはり強烈で、生きることの有難さを改めて学んだ。
水もなく、生命系を全く感じられない砂だけの空間にいると、常に死が隣り合わせと言う感覚があり、水を飲むこと、食べることがいかに重要か、感じずにいられなかった。


もしタンクの水がこぼれたら、、、もし食料が尽きたら、、、そこに待つのは、飢えである。
日本では遠くに感じるこの言葉も、あそこでは他人事ではなかった。
何もない暗がりの中で火を起こすところから始まり、お肉を焼いた時に、いつも見慣れているはずの鶏肉がとても神々しいものに思えた。
そして、「いただきます。」という言葉の意味が、本当の意味で自分の中で落とし込まれた瞬間でもあった。


わたしはこの鶏の命をいただいているんだ。貴重な命を。
この砂漠で、わたしはこの鶏により生かされている。
自分が大いなる生態系の一部であることを感じ、そして今まで幾多の命を「いただいてきた」こと、そうして生きてきたことの業と感謝と…いろんな思いが溢れた瞬間だった。

わたしはお肉もお魚も大好きだから、これからもきっと食べて生きていくだろう。
でも、この地球に奇跡のように命が存在すること、それを食して人間は生きていること、忘れてはいけないことだと思った。

いろんなことがぐるぐる頭を巡って眠れず、せっかくだから映画をみることにした。
ウィルスミスの「アイアムレジェンド」をなんとなーく見始めたら、最後は意外とヒューマンドラマがありスミスさんの演技に涙してしまった。
しかし、その後見た「魔法にかけられて」というディズニー制作の実写映画が最高に面白くて可愛くて、となりでちよみんが寝ているのにひとりで大爆笑してしまった!とんちんかんな王子様、最高!!お姫様可愛すぎです!!
イギリスに着くまで、泣いて笑って、充実した空の時間を過ごす。


そして、ロンドン到着。
初のヨーロッパ大陸!!
降り立って、その空気の冷たさ、寒さにびっくりする。

気温は、まるで冬のよう。
エジプトではあんなに暑かったのに、夏の世界から一気に冬の世界にワープしてしまった。

空港にはいろーんな人種の人がいて、大陸を感じる。
アジア人は全然いないせいか、じろじろ見られている気がする。
しかも、それが今までの好奇な視線とは若干違う、何か無機質な視線のように感じた。
まずは作戦会議。
私たちが目指す憧れのユーロスターになるには、セントパンクラス駅にまず辿り着かねばならない。
それには調べたところ、地下鉄がいいらしい。
ピカデリー線という名前のメトロに乗って、St.パンクラスへ…一時間くらいだろうか。
 

相変わらず重い鬼のような荷物を引きずりながら、地下鉄の中は朝の満員電車みたいな状態で、足を踏まれたりギュウギュウで身体がよじれたり。

飛行機の時に眠らなかったせいか、そんな状態でも眠気が襲い掛かり、すし詰め状態の中ウトウトしてしまったら…
ええー!!起きてびっくり。
あまりの人の摩擦で、気が付いたらワンピースの袖がちぎれてしまっていた!
インドから着ていたお気に入りのワンピースで、日本でも着るのを楽しみにしていたのに…。
右袖だけが肩からちぎれてないという、なんともリアルびんぼっちゃまのような、情けない出で立ちになってしまった(泣)。
憧れのヨーロッパ一日目なのに。。。ががーん(/_;)

そんな中、ようやくロンドン市内の駅に到着。
駅の大きさと素敵さに驚き!!
なんだかハリーポッターの世界に来てしまったような。

 

 

素敵なカフェがあったので、スープとサラダでランチを済ませる。
ウエイトレスの店員さんが、みんなムービースターかっていうくらい美人さんばかりでもう本当につい見つめちゃう。
これは美意識が高まりそうな予感…。

そんな美しい人々の中、さすがに片方だけ袖がちぎれた時代劇のような格好でずっといるのは切ないので、憧れのユーロスターに乗る前に着替える(笑)。
駅内の検査をパスし、乗車口へ!!


ユーロスターは、英仏海峡トンネルを渡りイギリスと大陸ヨーロッパを結ぶ高速鉄道である。
最高時速は、なんと300km/h!
この鉄道に乗るのも、出発前から楽しみにしていたひとつだった。

 


 

 

わくわくドキドキしながら中に入ると…
す、す、すごい…!!
なんとラグジュアリーな車内!!
ちよみんと二人で、ワーワーキャーキャー大興奮してしまった( *´艸`)

座り心地も抜群で、椅子や床や壁などの素材からして最高級。
ドーバー海峡を渡るというこの高速鉄道、鉄道マニアの間でも人気のようで。。。
人生に一度は乗ってみたい、そんな列車だと聞く。

聞いた時は、そんなに!?…とも思ったけれど、実際に乗ってみて、それも納得のクオリティ!
色々快適すぎて、高級ホテルのよう。

 


 

 

そして…車内の優雅さと、その居心地の良さはもちろん、驚いたのは出された夕食。

 

知ってたら、お腹を空かせてのぞんだのに…(泣)
と、悲しくなるくらい豪華なフルコース料理!


リサーチ不足だった。。。


スープ、パン、ポークステーキ、野菜の盛り合わせ、そしてデザートには濃厚なチーズケーキ。
しかもどれも上品な素晴らしい味付け。

なのに食欲はないというヨルダンの悲劇、再び…。


隣の紳士は、なんと少しハムを食べただけで、こんなに豪華なセットを「もういらないから、下げて。」と余裕の笑みを浮かべて下げさせているではないか!


私たちもお腹がいっぱいでどうしても食べられなかったけど、でも残すには勿体なさすぎるし節約しながら旅している私たちにとっては豪華すぎるお食事である。
ちよみんとなんとかおかずは完食し、こそこそパンやケーキなど持ち帰れるものはマカオのお菓子ボックスに入れて夜食にすることに…。
いや、持ち帰っちゃいけないという規則はないと思うけれど、なんか一応…流れている空気が優雅すぎて、そういうのはマナー的にダメなのかなあと(^^;)。


恋人との旅行だったら、こんなオバタリアン的な行為はできなかったかもしれないけれど、ちよみんとふたりで「こんな美味しいもの残したらバチがあたる!!絶対残しちゃいけないよね!!」と食への正義を振りかざし、気兼ねない女子旅を満喫する…ちよみんとでよかった(笑)。

 

そんなこんなであっという間にパリに着いてしまった。
もっともっと乗っていたかったけど、2時間弱くらいかな?
飛行機で見た「魔法にかけられて」のように、まさに魔法にかけられたような素敵なひと時だった。


その魔法は、降りてからも続いた。
パリの北駅は駅も街もどこもかしこも美しい。

ああ…パリにいるんだ。パリに来たんだ。
親切なおじいさんがホテルを教えてくれたりして、それもなんだか物語の中の出来事のようで、無事今日の宿へ到着。

今、持ち帰ったパンやチーズ、ケーキを食べながら、日記を書いている。

ああ、美味しい。幸せ。
お部屋の窓から見える景色や街頭の灯りも綺麗すぎて…どうしよう。


夢みたいな街の夜景に包まれて眠りにつく

そんな、十四日目の夜。