四月二日

 

今日はギザのピラミッドへ行く日!!


なんでもピラミッドは老朽化が進み、もうすぐ復旧工事をするかもでしばらく入れなくなるかもしれないらしい。
だから絶対、今回中にも入りたい!


そんなに混んでいなければ入場券を購入して入れるとのこと。

万が一でも売り切れにならぬようにと、早朝に起きなければ…と話していたのに、結局起きたのは7時前。
8時から限定入場券が配られるらしいので、急がなければ!!

10分で支度をして、街へ飛び出す。
自分たちで言うのもなんだけど、私たちは女子なのに異様にフットワークが軽く、支度がふたりとも早いのは本当によかった。
同じ速度で、バタバタできるから(笑)。
すごい勢いでいってきまーす!と出ていくわたしたちに、宿のマザーがパンをもたせてくれる。
優しさが、身に染みる。
脱水症状にならないようにと水をたくさん購入して、いざピラミッドへ!

カイロの朝は早い。
7時なのにもうターミナルには人がいっぱい。街は動き出している。
中央のバスターミナルにはいろんなバスが密集していて、どれがどこにいくのやら分からない…表示もアラビア語で読めない(泣)。


そんな時は人に尋ねるに限ると、軍人風のお兄さんに「ピラミッドに行くにはどのバスに行けばよいですか??」と聞く。
するとそのお兄さんは、「ここで待ってなさい!」と言って、颯爽と走っていって結構遠くの出発しかかっているバスに飛び乗り、そのバスの乗車口の手すりに掴まり身体を斜めに外に放り出した態勢のまま、を私たちの目の前までバスを連れてきて、ストン!とまた飛び降りた。
これがエジプト流のバスの止め方なのか、はたまた。。。


わたしたちは驚いて唖然としつつも、乗客の皆さんが早く乗って!!という視線を送っていることに気付き、サーカスのような身のこなしのジェントルマンなお兄さんにお礼を伝えてバスに乗った。
なんだか朝から、ディズニーのプリンセスになったような気分だったなあ。。。( *´艸`)



バスから川が見えた時に、隣の乗客さんが「これが有名なナイル河だよ」と教えてくれる。

都会で見るナイル河は、ビルの合間を流れていてとても世界最長級の河には見えなかったけれど、この河がエジプト文明を育んだ、古代の歴史と遺跡で有名なあのナイル河かあ…と思うとなんだか感慨深いものがあった。

 


 

そして…バスに揺られること40分くらい。


それは突如、視界に現れた。



 

ピ…ピラミッド!?

乗客の中で、観光客は私たちだけなのかみんなシーンとしている。
けれど、私たちはアレだよね!?と興奮状態!!


なんというか、停留所から砂漠みたいな場所を歩いてやっと見えてくる、、、みたいな情景を想像していたので、期待を見事に裏切られる登場の仕方だった。
こんな街中の景色に混ざっているとは…驚きである。

 

運転手さんはそんな私たちの様子を察して、前に来て見てごらん、と前に座らせてくれる。
エジプトの方々、いちいち優しいなあ。
 

 

そして、ピラミッドから最短の停留所で降りていよいよピラミッドへ。
街中から見えるものの、やはり近くにくるとピラミッドまでの距離はそれなりに遠く、周りは様々な遺跡に囲まれている。
この壮大なスケールの遺跡に対して、チケット売り場はなんだかこじんまりしていて可愛らしい。


セキュリティチェックを受けてから、更に進むとピラミッドへの限定入場券のチケット売り場があった。
そこにはもう、誰も並んでいなく
(まさかもう売り切れ…(>_<)!?)
と内心絶望したら、意外に「まだあるヨ!」という言葉が!
よかったぁぁぁ。
時計を見たらもうすでに8時半だったので、正直あきらめかけていた。その分、余計に嬉しい!!
今日はたまたま人が少なかったのか、ラッキーだったなあ。

 

 

 

こちらが三大ピラミッドの中でも最大の、クフ王のピラミッド。
高さは約147M、なんと約40階建てのビルに相当するとか。。。

 

 

 

いざ近付いてみると、その巨大さにただただ驚かされる。
だってひとつの石がわたしの身長くらいまであったりするのだ。
こんな大きくて重い巨石を、どうやってこんなに積み上げたのだろう。。。

 

このひとつの石の重さが、2.5トンといわれていて、その石を230万個以上積み上げたことになる。
今現代だって、これは大変な重労働にあたるはずなのに、4000年以上前の人間がこれをつくったなんて。。。


本当にもう、信じられない。
これは正気の沙汰じゃない。

 

 

 

こんな感じで真ん中に穴が空いていて、ここがピラミッドの入場口となる。
中は撮影禁止。
狭くて暗い通路を腰をかがめて中央の暗室まで進んでいく。
まるで自分がインディジョーンズになったようでワクワクした。
 

入ってみると、本当に体を折り曲げないと前に進めずで、これはお年寄りには大変かも…と思ったら、前も後ろも外国のおじいちゃんおばあちゃんだらけだった。

近年ピラミッドはパワースポットとして人気で、元気をもらうために世界中から老若男女が訪れるらしい。


無心になって進んでいると、つい前のおじいちゃんのおしりに頭がぶつかってしまう。
おじいちゃん、ごめんなさい。。。
適度に距離をとろうとすると、今度は後ろのひとの頭がわたしのおしりに激突する…という少々間抜けな行進が続く。

長い回廊を通って、一番奥の部屋までけっこう急な斜面を上がる。
砂の匂いが濃くなる。明らかに、入り口付近とは違う濃厚な空気の変化に胸が高鳴る。
そして、一番奥にある「玄室」と呼ばれる部屋へ到着する。
 

石を、三角形に積み上げた建物の中に、こんなに綺麗な四角形の部屋がある…
一生懸命頭で模型を考えながら、その構造をこの巨大なピラミッドとして現実に落とし込むことの大変さを考えるとぞっとするくらいだった。


四千年経って古くなった部分はあれど、崩れ落ちることなく今もそのトライアングルを誇るピラミッド。
ピラミッドパワーやその座標を巡り色々な謎を残しているが、実際に訪れてみると純粋にこれを人が造ったという事実さえ疑わしく感じるほどの偉業だ。

玄室の中は結構な広さで、わたしもちよみんも言葉を失いこの空間に宿る4000年以上の歴史に思いを馳せていた。
その膨大な時を超えて、私たちは古代エジプト文明の集大成に包まれている。
ふたりで、壁に触れてみたり中央の棺を眺めてみたり目を閉じて息を吸い込んだり…満ち足りた時を噛み締める。

ただ、この部屋にきた人々の反応は様々だった。
けっこう長い大冒険(大行進?)をしてきたにも関わらず、「え、これだけ?!」と言ってあっさり帰ってしまうひともいれば、大興奮を抑えきれず何故か大爆笑するひと、ふざけてファラオの棺に入ってしまうひと(怖いもの知らずすぎる!)。。。


そんな中でも忘れられないのが、「ここハイヒールモモコが言っとった部屋やわ~!!うわ!!せまっ!!ハイヒールモモコの言う通りや~!もうええわ~!!」とハイヒールモモコさんのお名前を連呼していた関西のおばちゃま(;^_^A。

関西+おばちゃまって、世界でも最強の組み合わせなんだなあと、実感。

 

 

ピラミッドを出たら、現地の若者たちが話しかけてくれた。
この旅をしていて思うのは、日本人という事で本当に世界の皆さんが親切にしてくれるということだ。
私は、本当に恵まれた国に生まれたと思う。
日本にいて不満を言ったりしたこともあったけれど、こうして世界に出てみるとなんて快適で安全で暮らしやすい国なのだろう。
距離を置くと自分が居た場所の良いところが見えてくる。

これも旅の収穫だと思う。

みんな日本に興味津々で、いろんな質問をされた。
日本のいいところは?
日本にいくなら何を見るべき?
日本ではどんなものが流行ってる??

私も英語ですらすら答えられるように、もっと日本のことを勉強しなきゃなと思う。
 

 

 

こちらはカフラー王のピラミッド。

クフ王の息子さんのピラミッドだそう。

 

 

 

こちらは有名なスフィンクス。
スフィンクスはエジプト神話やギリシャ神話にも出てくる人間の顔とライオンの身体を持つ神聖な存在。
ピラミッドの守り神としても有名。


これ、一枚岩から掘り出して作られたもので、世界最大の彫刻らしい。。。
今日は古代エジプト人のただただすごさを痛感している。
世界中で、宇宙人が作ったんじゃないか説が出ているのも、ちょっと納得(笑)。

 

 

皆さんのジンクスの真似をして、お決まりのポーズ、スフィンクスをよしよしする。
そうすると良いことがあるらしい。

 

 

ピラミッドの周りには観光客目当ての物売りがたくさん。
そこには、インドのタージマハルの時に感じた、観光客と現地の人との温度差をやはり感じる。
現地の人にとっては、ピラミッドも日常であり、冷静にお金を落としてくれるお客さんを探している。
割と法外な値段だけど、ラクダに乗って遺跡をお散歩コースもなかなか人気のようだった。

 

 

 

次にいつ見に来られるだろう

もしかしたら、もう一生見ることはないかもしれない
そう思うと、後ろ髪をひかれてなかなか帰ることができなかった。

でも、ちよみんもわたしも、なんだか良いパワーをピラミッドからいただいた気がして、本当に来てよかった!と思った。
人間がこれを4000年前に造ったのだと思ったら、古代エジプト文明への興味が更に沸いて人間の可能性の宝庫だと感じるし、
もしも、もしも…誰かが言っていたように宇宙人が造ったとしたら…それはそれで、地球外生命体への浪漫が募るから(笑)。

 

 

 

まだピラミッドの興奮冷めやらず、ピラミッドやスフィンクスの謎を熱く語りながらマックへ入る。
アラビア語のマック!ちょっと嬉しい。
バーガーも、アラビアンバーガーとかこちらならではのメニューもあるけれど、胸がいっぱいすぎてお腹が空いてなかったので、アップルパイ的な軽食をいただく。
 

だけど…この店の前には、物乞いの子どもたちがいた。
何人か、あきらかに何日かお風呂に入っていないようないでたちの子たちが、ガラス越しにこちらを見ている。
一生懸命手を出していて、食べ物をちょうだい!というジェスチャーをしていた。
エジプトにも、格差社会や貧困があることを初めて感じた。
やっぱり心が柔い私たちは、インドの時のように完全無視もできず、話しかけることもできずで、こういう時どうしたらよいのか分からない。

その時に…はっと先ほどのピラミッドのことを思い出した。
あのピラミッドも…建築した人や、その中に眠る王家の人々は一握りの知識階級の方々で、実際の労働は炎天下の中多くの奴隷たちが働かされたのではないか…。
きっと事故や問題もあっただろう。
そんな風に考えたら、先程までの浮ついた興奮は冷めていき、なんだか言葉にいえない感情がこみ上げてきた。
世界の古今東西につきまとう格差問題。
それを踏まえた上で、いろんな視点から物事も考えるべきだと思った。

宿についても、もやもやした気持ちが晴れずで、ピラミッドどうだった!?と笑顔で聞いてくれるエザットさんに打ち明けてみる。


「ピラミッドすごかった…。本当にすごかった…。同じ人間が造ったものって、信じられなかった。でもあれを完成させるのにかかった年数と、あんなに重い石を当時の人がどうやって運んだんだろうって思うと、命令する側はよいけれど、実際に運んでいた人たちは奴隷のような立場で、すごく危険で大変だったんじゃないかと…」


すると、エザットさんは意外な答えをくれた。
「ピラミッドの建設のためにはすごく細かい計画が練られて、5000人規模のスタッフが常に稼働していたと言われているけど、たまにしか飲めない高級なお酒をピラミッド建設スタッフは毎日飲めるとかで、みんな喜んで仕事をしていたらしいと言われているよ!環境もすごく良かったらしい。まあ本当のことは分からないけどね。」

 

それを聞いて、私の胸は静かに感動していた。
すごい、もしそれが本当なら、古代エジプト文明は本当に最高だ。
日本だって、昔は殿様の城を作るためにたくさんの奴隷が否応なしに危険の中で働かされ、亡くなっていたと本で読んだ。

昔のことの真実は本当にわからないし、今現在のエジプトに物乞いの子がいるのは事実である。
でももしエザットさんの話が本当で、みんな昼間は汗を流しながら夜は酒盛りをして、そんな風にこの奇跡のピラミッドが出来上がる日を楽しみに過ごしていたのなら…いいなあ。素敵だなあ。

古代エジプト文明は、知れば知るほど魅力的なエピソードばかりだ。
もっともっと知りたい、もっともっとこの国にいたい
エザットさんとエジプトティーを深夜に飲みながら語って
 

そんな思いが溢れる、十一日目の夜。