最近、家にいる時間を利用してパソコンの整理をしています。

 

家にいても仕事はあるのですが、毎日外を駆け回っていた以前に比べたらずっと時間の余裕はあるので

その時間を有効利用しようと、仕事の合間に今までの資料のまとめや写真の整理をしています。

写真を整理し始めるとその頃のことを思い出し
手が止まってしまい、なかなか進まない…
そんなことはありませんか??

わたしはもう、その繰り返しばかりで
ここ数日、本当に全く写真の整理は進んでいません(笑)

でも、その代わり忘れていた記憶や思い出が蘇り
ああ、そうだったなあ、そんなことがあったなあ、と
自分が歩んできた人生の様々なシーンがフラッシュバックして
仕事に追われる日々の中では味わえない
まさに、今だからこそ過ごせる時間を過ごしています。

中でも、中学時代からずっと姉妹のように歩んできた親友との写真の数は膨大で、学生時代の写真から劇団時代、何気ない日常の写真から旅行の写真まで本当に沢山あって。
その写真を見返していたら、なんだかんだ半生に想いを馳せてしまっていて。


その親友とは、中学一年生の時に席が前後になって仲良くなってから、本当に人生の半分以上を分かち合ってきました。


生徒会長を務めたり、いきなり髪型をアフロにしちゃったり、お笑いのライブにも出場してしまうような
活発で独特の世界観があるとても魅力的な子なのですが


多感な学生時代、一緒に東京ドームでアルバイトをしながら将来の夢を語り合ったこと、
高校を卒業して、彼女は看護の専門学校に、わたしは劇団に入所してからも、彼女の寮のそばにあるラーメン屋で悩みを打ち明けあってたこと、(その時のわたしたちの定番メニューは「豚バラ明太マヨネーズ」という炒め物定食でした…懐かしい!)


お互い全く違う世界で働いていたけど、いつもなんでも相談し合える本当に貴重な存在で、
結婚して、バングラデシュに住んでいる今も、わたしの心の一番近くにいてくれる友人です。

 



これはふたりでお金をためて、シルク・ド・ソレイユの日本公演を観に行ったときの写真。

 

まだバングラデシュへ行く前で、この頃わたしは自分の生き方に思い悩んでしまっていました。

小学校の時に見た演劇に憧れて、絶対に自分はあれになると決めて、高校を卒業してから演劇の世界に飛び込んだけれど…

舞台に立てる喜びややり甲斐と共に、夢を追う生活の大変さは想像以上で、お金を稼げるようにならなければと、

劇団を続けながらいろんな仕事をすればするほど
理想からは遠ざかり、なんのために演劇をやっているのかも分からなくなってゆく、
その繰り返しで。


今考えれば、やりたい仕事だけやれている人なんてどこの世界にも少なくて
みんなやりたいことをやるために、実はやりたくないことも頑張っていたりして
あの時の自分は、子どもだったなあと思います。


親友の仕事は看護師なのですが、性格はわたしよりもずっと芸術肌な子なので、わたしは仕事のことや役作りで悩んだ時も彼女によく打ち明けたり台本の相手役をしてもらっていました。

そんな時に、ラスベガスで観て以来すっかりファンになった
世界最高峰のパフォーマンス集団であるシルク・ド・ソレイユの専用劇場が日本にできたと聞き、もう一度純粋に

舞台に立つということ、何かを表現するということ
ちゃんと向き合いたいと思いなんとかチケットを購入しました。

そして観に行った公演は…本当に本当に素晴らしく。

主役である「ZED」が“天と地”を旅し、そこで神々や愚かな者たちに出会い、やがて彼の成長とともに“天と地”がひとつに結ばれ……という壮大な物語。
台詞はないので、パフォーマーやアーティストたちの動きと音楽で全てが表現されるのですが
これも、シルク・ド・ソレイユが言葉の壁を越えて世界中で愛されている理由のひとつでもあるのだと思います。

 

何よりもこの時に感じたのは、生命の躍動。
物語のテーマと、演者が生き生きと人間の限界に挑戦しながらパフォーマンスする姿が重なり、まさに感動…
心が感じて、動きました。

この、劇場前で撮った一枚の写真のおかげであの日のシルク・ド・ソレイユのパフォーマンスの感動までもがわたしの胸に蘇り、
その前の友人との会話、その後の興奮も、、、こうして書いていても止まらなくなるほど、鮮明に思い出されてきて
やっぱり写真て大事だな、思い出に浸るにもたまにはいいな、
というかこうした思い出や感情をこんなに何年も保管できる人間ってすごいな!
と色んなことを思いました。


そして先日、シルク・ド・ソレイユもこの今の状況の中で存続が危ぶまれているという悲しいニュースを目にしました。
確かにあの大掛かりな劇場を世界中に持ち、多くのパフォーマーを抱え興行をしている形態を考えたら、世界中で自粛の今の打撃は相当なものだと思います。


これからしばらくは、密集してしまうライブやイベントが行えないエンターテイメントの世界自体も、飲食業や他の業種と同じく、長期的に厳しい状況に置かれてしまうのでしょう。

仕方がないとはいえ、この世界に存在した素晴らしいものが、この感染のためにどんどん淘汰されてしまうのは、本当に残念で悲しいことです。

 

また、このわたしの親友は今日本で看護師として病院勤務をしているのですが
子どもを抱えながら、いつも以上に忙殺されているようで、本当に過酷な現場で大変な思いで仕事をしていて
一方で職を失ってしまう方々がたくさんいる傍ら、医療従事者の方々には何倍もの負担がかかっていく…

どうにかならないのかと、考えてみても
こればかりはどうにもならずで
職業や生き方は急に変えられるはずもなく、
医療に関する資格がない私たちにできることは、せめて医療を崩壊させないよう、感染しないように気を付けて過ごすことのみなんですよね。
 

家に引きこもって仕事ができているわたしは、日々最前線で奮闘している親友にもなんだか申し訳なさすら感じますが
今はみんながそれぞれの場所で気を付けて過ごすことが、誰かや世界を守ることに繋がる、と思うので…

油断せず、毎日手洗いと、うがいと、緑茶を飲んで
勝ってきたものは消毒して、必要な仕事や買い物以外はなるべく家で過ごして、、、

また、この写真のような日がいつか来ることを願って。

それにしても、
一枚の写真から、こんなに思い出が溢れたりするから
本当に全く写真の整理は進みません。。。