3月26日はこの国の独立記念日でした。

本来ならば、国中でお祝いをするバングラデシュにとって大切な記念日ですが、お知らせしたとおりこちらでも新型コロナ対策のため大きなイベントは自粛となっており、今年は皆外出せず
家の中、胸の中で独立記念日を祝しました。


万が一でも小さな子どもたちに感染してしまわないよう
今はエクマットラの活動内でも、
行き来をできるだけ少なくするようにしていて
アカデミーは外部からの訪問者をお断りし、
ダッカのセンターも必要な買い出し以外は外出禁止、
日本と同じような状況となっております。

実は、この3月末に私たちの音楽ユニットでもこの国で大きなイベントを開催する予定でした。
昨年からずっと企画・準備を続けてきた日本とバングラデシュの友好の歴史を伝えるコンサートです。
3月26日をシャディノタディボーシュ(独立記念日)というのですが、私たちのコンサートの名前も
「স্বাধীনতা(シャディノタ)」、ベンガル語で独立、自立を意味します。


このライブはバングラデシュの独立を真ん中に置き、

独立前ベンガル地方で出会った日本人とベンガル人の人間同士の…

当時の文化人であった岡倉天心と詩人タゴールの友情、

独立後は日本とバングラデシュという両国の友好の歴史を描き、

歌やダンスや詩や映像を散りばめた、外国人の私たちがオールベンガル語で挑戦する新しい形のパフォーマンスです。


このライブの台本を1年前から書き始め
仕事を終えて家事を終えて寝かしつけを終わらせた後…
何度も何度も書いては直し、書いては直しをしながら

真の友好とは何か、ライブを通じて何を伝えたいか、

ということを私たちはずっと考えてきました。


「独立/自立」というテーマを主軸に置いたのは

依存するのではなくお互いが自立し自分の足で立ち、

そんなお互いを尊重し支え合う中でこそ
本物の絆が生まれるのではないかと…
それは友人同士、恋人同士、兄弟、夫婦でも、そして国と国の関係においてもきっと同じで


そうした素敵な関係性が、バングラデシュが独立するずっと昔から

文化を通じて日本人とベンガル人の間には存在したこと。


そしてこの国を代表する詩人であるタゴールの
「 真の友情とは蛍の光のようもの 

  暗闇に包まれたときにより一層輝く」
という詩が表す意味。


世界の情勢が変わりゆく中で、本当の絆とはどんなものか
人間同士の関係において大切なものとは何か
日本とバングラデシュが紡いできたものを今一度伝えていきたいと思いました。


皆が目に見えない不安という暗闇に心を覆われそうな今だからこそ、ネガティブな言葉や気持ちに支配されず
積み重ねてきた関係に自信を持ち、他者への思いやりを大切にしたいと思います。

こうしたライブに限らず、卒業式、結婚式…
人生に一度きりの一大イベントも自粛となり
沢山の方が無念を抱え、経済的な深刻な打撃も世界中に溢れている中で、今は皆が一丸となりこの状況を乗り切るために自粛をすべき時。
命や健康が最優先なのは明らかで、
今回ライブ配信のアイディアもあったのですが
配信するとしても出演者、音響さん、照明さん、撮影チーム…と
最低20人くらいにはなってしまうのでスタッフさんたちの安全を考えても中止といたしました。


こんな素敵なポスターも作っていただき、もう印刷屋さんにもお願いしていたところだったのですが…(^^;)
こればかりは、仕方ないです。
元気なら、またいつの日かやれることがあると信じて。
届けたかった想いをコンサートとしてこの国の方々へお披露目するのは少し先になりそうですが、
いつか実現するまで何度でも挑戦していく心つもりです。


今は、この危機を乗り越えるために、耐え忍ぶ心をみんなが持てますように。