12月16日はバングラデシュの戦勝記念日です。
母国語を守るために戦ってきたこの国は、1971年のこの日勝利を収め独立戦争が終わりました。
 

戦勝記念日には国中に国旗が掲げられ、勝利の喜びを皆で分かち合います。

エクマットラでも毎年子どもたちと戦勝記念日のプログラムを行っていますが、

今年はアカデミーが開校したためマイメイシンにあるアカデミーとダッカのチルドレンホームの2ヶ所でで行われました。

わたしは女の子が住んでいるダッカのチルドレンホーム担当だったので、その様子をお伝えしたいと思います。


 

12月に入った頃から、わたしたちもホームの飾り付けを始めました。
今のセンターに引っ越しをしてからは、まだデコレーションがなくとても殺風景だったので、折り紙で鶴や花を折り天井から吊るしたり、輪っかを作って壁にアーチを作ったり。
みんなのお気に入りの写真もプリントして壁に飾りました。

以前は男女合わせたホームでしたが、今は女の子のみが生活していることもあり

インテリアや小物もピンクやお花柄にあふれていて(笑)
家全体的な雰囲気も優しく可愛らしいかんじになった気がしています。
 

 

この日司会を務めたのはコリーとミーム。
バングラデシュカラーの緑と赤の衣装で気合が入っています!

始めに終戦するまでの独立戦争の歴史を小さい子にも分かるように伝えていたのがとても良かったです。
 

その後のカルチャープログラムでは、バングラデシュの戦争に関する詩の朗読や歌が歌われ…
最後はバングラデシュの勝利の歌でのダンスが披露され、小さい子から大きい子まで皆生き生きと発表していました。

 

 

その後、クイズ大会や絵画展での優秀者は皆の前で表彰されました。表彰される時は少し恥ずかしそうではにかんだ笑顔がとっても可愛い!

 

と、ここまでは例年行っていることばかりなのですが
今年は新しい試みとしてみんなで映画を鑑賞しました。

まだまだエンターテイメントが成熟しているとは言えないバングラデシュですが、この国にも名作と言われるような素晴らしい映画が存在します。
私自身も、小学校の時に鑑賞した「黒い雨」や「ひめゆりの塔」で見た映像がとても衝撃的で、心に残った経験があり、子どもたちにも現実にあった出来事として戦争のことを理解する心を持ってほしいと思い提案しました。

そしてスタッフと相談した結果「Amar Bondhu Rashed」という映画を鑑賞することにしました。

 

Morshedul Islamというこの国でも定評がある巨匠が撮った信頼できる映画であるということと、大人の都合で戦争に巻き込まれていく子どもたちが主人公なので子どもたちが見て共感しやすいのでは…という理由でこの映画を選んだのですが
下調べしていたとおり、残虐なシーンや戦争シーンはほとんどなく、戦争に翻弄される人々の日常の暮らしの変化にスポットが当てられていてこの映画を選んでよかった、と思いました。
特に前半は学校で子どもたちの友情が築かれていく様子が中心に描かれていて、その分彼らが戦争が起こってから危険な目にあったり引き離されていく様に感情移入できました。
子どもたちの集中力が一時間半もつか心配していたのですが、なんと6歳の小さい子も最後まできちんと座って、見終わった後には熱い拍手をするくらいのめり込んで鑑賞していました。

 

劇中、子どもたちが銃弾を身体に巻き付け、パキスタン兵の目をかいくぐって運ぶシーンがあるのですが、これは監督自身が戦時中に実際に体験したことなのだと、監督の友人から聞きました。
ラストシーンをどう受け止めるかは個々によって解釈が分かれる映画でしたが、少なくとも戦争が子どもの人生すら変えてしまう悲惨なものであるということを伝えられたのは、いつも喜びに溢れた記念日を過ごす戦勝国のバングラデシュの子どもたちにとって、とても良い機会になったのではないかと思います。

所々に…国のために命を捧げることのヒロイズムが色濃く描かれていて、無邪気だった子どもたちが国のためにと目の色を変えて戦士となっていく姿がとても切ないのですが

私個人的には国を愛する気持ちと共に、命の尊さこそ、この日子どもたちに伝えたかったので

改めて鑑賞後に見てどう思ったか、今わたしたちは命を捧げた人たちのために何が出来るだろう、ということをみんなで話しました。

 

どの国にもたくさんの血が流れて今の平和があること

そのたくさんの血の上にわたしたちは立っていること

そして今も 世界には血が流れている国もあること

 

人生を捧げた人々が願った国はどんなものだったのだろう
今のわたしたちにできることはなんだろう

 

楽しいことや幸せなこともたくさん経験させてあげつつ、

この国を担うこの子どもたちこそが、そうした真摯な思いを持ちながら生きる人間になってほしい


そう願って、これからもこうした機会を大切に
私たちも心して育てていきたいと思います。