2月21日・・・ベンガル語で エクシェフェブラリー。 


この日はバングラデシュにとって1216日の戦勝記念日と同じくらい
大切な言語運動の記念日です。
この日、独立戦争の全てが始まりました。


1952年の2月21日、当時東パキスタンとして存在していた

ベンガル地方の人々の言語はベンガル語であったにもかかわらず、

政府はウルドゥー語のみを公用語に認めようとしました。


この事に抗議のデモを行ったダッカ大学の学生のうち

数名が警官隊の発砲により命を落とし、

その事件から民衆に火がつき

やがては独立運動へと発展していきました。


 毎年この日にバングラデシュ国民は、

独立戦争で死んだ戦士たちへの追悼を込めてショヒッド・ミナール

(言語運動の犠牲者のための記念塔)へお花を捧げに行きます。


今年はエクマットラの子供達も、わたしも、

パンジャビとサリーの正装をしてみんなでお花を捧げに行きました。




大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba



記念塔までは「エクシェフェブラリー(2月21日)」の

歌を歌いながら歩きます。

 
「わたしの仲間達の血で血塗られた この2月21日

 わたしは忘れることができようか…




 息子を失った母親の涙でつくられた この2月21日 

 わたしは忘れることができようか…」


このような歌を、バングラデシュでは子供もみんな

この日のために練習しています。


独立戦争のこと、ベンガル語のこと、バングラデシュの歴史を記念日を通じて幼い頃からきちんと学んでいく中で

自国への想いがきちんと育っていっているのだと思います。


 この日はいつもやんちゃな小さな男の子たちも何かを感じているようで、ふざけたりせずにきちんとお花を捧げていました。




大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba



「独立戦争の時に亡くなった人達のおかげで今の僕達がある。


バングラデシュがある。 ベンガル語がある。

そのことに感謝して忘れてはいけない。

 と、言っていた大きい子の言葉が印象的でした。


 このようにバングラデシュにはとても熱く

自分の国を誇りに思う気持ち、歴史を尊重する姿勢が

子供達の中にも生きています。

それはとても素晴らしいことだと思います。


わたしも戦争に行ったおじいちゃんのことを思うと
まさに同じことを思います。

そうした自分達の前の世代のおかげで今
自分はこんなにも恩恵を受けている。

そう思うと、絶対、頑張って生きないと、と思います。
こんなに恵まれた環境なんだから。 。 。

少なくとも、いつ命を奪われるかわからない
そんな状況ではないんだから…
明日っていう日のために頑張らなくてどうする!って


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


そして、今。

バングラデシュでは日々情勢が変わり
国内のあちこちで戦犯裁判によるデモや暴動が起き
安全とは言えない状況が続いています。

独立戦争時にパキスタン側についたとされている人物たちの裁判が
戦後40年経った今、ようやく行われているのです。
その死刑判決を巡って、ジャマティ・イスラムという政党(死刑反対派)と
公正な判決を求める多くの民衆とが今戦っています。


いつも温厚なバングラ人が、こんなにも激しくぶつかり合うなんて・・・と
改めて、宗教の力の大きさや重さ そして独立戦争の傷跡を感じています。

でもこの戦後裁判がいつかは行わなければならなかったとしたら
いつかは通らなければならない道だったのかもしれません。

この国が前に進むために・・・。


わたしたちに今できることは、自分の身をちゃんと守ること。
そして子供達の安全を一番に確保すること。

大丈夫ですか??と何人かからメールをいただいたのですが
幸いなことに、子ども達のセンターがある付近は
デモなど起こる地域からは遠く離れているので、
子供達もスタッフもみんな元気にやっています!

それにネガティブなニュースばかりが報道されがちですが
民衆のデモ中では秩序が保たれていたり
みんながひとつになってこの国のために乗り越えようといった
前向きなパワーも確かに存在しています。


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


大好きなバングラデシュが、こうした暴動などのニュースで日本に伝わるのは
とても悲しいし、そういったイメージだけを植え付けてしまうのではないかと心配です。

同じことは宗教にも言えて、バングラデシュにいるイスラム教徒の大多数は
他の宗教に対しても寛容で、敬意を持って接してくれるし、
もともと大らかな人が多い国なのですが

一部の過激派、原理主義のせいで 
イスラム全体が危険だ、と見られがちなことです。

暴動を起こしているのは、本当に一部の過激派だということ、
ぜひご理解していただけたらと思います。


あくまで今の状態は、ひとつの国が大きく変化するためのものであり
普段はバングラデシュは、本当に温かく笑顔に溢れた国なのです…

そんな今までのバングラデシュに少しでも早く戻れるよう、
この動乱の時期を国民みんなが乗り越えていってほしいなと思います。


わたしもこれからバングラに住み続けていくひとりとして

この国にとってとても大事な歴史の1ページに
立ち合っているんだと感じています。

きちんとこの裁判の決着を、見届けたいと思います。