沢木耕太郎さんの深夜特急を読んでいて、かなり終わりの方…
確かヨーロッパのローマのサン・ピエトロ寺院で
かの有名な「ピエタ」という絵画を見た時に

沢木さんがミケランジェロに対して

『それにしても天才という奴は…』

『…まったく 困ったものだ』

と呟くくだりがあり
そこを読んだ時に、そのよく分からないけど率直でシンプルすぎる感想に
思わず吹き出してしまったことがあったけれど

それと同じことを
わたし的に


「天才だなァ…キラキラ


と思う人や作品に出会った時に
胸の奥で呟いていることが多々アリ


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


以前キャパシティについての話をしましたが
凄すぎるものに直面した時って、素直に感動する気持ちと
自分の想像範囲を超えてしまってることへのとまどいもあったりして

「困ったものだ…」
って困っちゃうのも一つの真理なのかもしれません。



天才って、自分だけの完璧な世界観を持ってる人
それはもう、とっておきの。



そしてそれを何らかの方法で表現するパワーを持っている場合

音楽や絵や文章や映像や歌や踊りや料理やスポーツや…様々なかたちで

「天から授かった才」

は、世界に散らばって広まって
わたしたちの心を時に困らせながらも
豊かな気持ちにさせてくれるのです…

 


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


わたしは天野喜孝さんの絵が大好きなのですが
それは天野さんの作品が
色づかい、筆づかい、構図、キャラクター、世界観…すべてにおいて
一目瞭然ぶっちぎりの「唯一無二」を体現しているからというのがあります。

名乗らずとも、作品を見れば
(ああこれは天野喜孝さんのものだ…キラキラ)
と分かるあの贅沢なかんじ。強烈な個性。

そういう絶対性にわたしは昔から強い憧れがありました。

 

わたしも、自分だけが放てるような 何かを表現したい ・・・って

 


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


わたしも自分で絵を描くのでわかりますが

オリジナリティ溢れて描いているつもりでも
だんだん誰かの作品に似てきてしまったり
意図せず既存のものと同じになってしまったりするものです。

もちろん、私達の脳は今まで見てきたものの記憶の蓄積だから

それはしょうがないのですが


見てきたものの中からいかに想像力を広げて
誰も見たことのない世界を創造するか…

それが大事で難しくて尊くて。

他者の侵入を許さないような完全な天野ワールドの
その孤高な精神を思って
ピアノの月の光なんて聞きながら画集を見入っていると涙が出てきちゃいます…

ファンタジーの中にある冷たさや残酷さを
この人はなんて美しく描き出すのだろうってキラキラ

まさに

まったく天才ってやつは…

です!!

大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba


同じ台詞を、押井守監督の「イノセンス」を見た時にも思いました。

『攻殻機動隊』はハリウッドの名だたる監督を唸らせ、熱中させ、

真似させるにまで到ったとあまりにも有名な作品ですが

それでも満足することない押井ワールドは、あらゆる名声をひっくり返すくらいに更に突き抜けた狂気の世界を見せてくれました・・・!

誰も見たことのないような世界キラキラ



でも、イノセンスに出てくる風景はどこかノスタルジーを感じるのは

なんでだろう。



擬態化された肉体(サイボーグ)と魂(ゴースト)の物語。

人はなぜ自分と同じ形のもの…「人形」をつくるのか

「自」と「他」を分けるものってなんだろう

「自分」てなんだろう・・・


その問いを直視した時

生あたたかいものとヒヤッとするものが同時に襲ってきて
ちょっと…ゾクリとします。

全然ホラーではないけど
もしかして・・・夏にオススメな映画、なのかもしれません・・・


攻殻機動隊はドラマシリーズもあるけれど
わたしは断然、映画のあのどっしりとした重苦しい雰囲気と

ごっつい少佐が好きなのです!

つまりは押井さんの描く世界観が好きなのだと思いますキラキラ


それにしてもあんな映像が存在するなんて…

実写が追いつかないじゃないですかっ

まったく・・・困ったものだ!

 


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba

 

 

↑こちらに掲載した絵は「天野喜孝全版画集」より

わたしの特にお気に入りの五枚ですキラキラ

 

上から、「歓喜」「蒼い月」「サーカス」「ドラゴン」「めざめ」です。

 

見ているだけで涼しくなりますよね。

 

ですがもうすぐ投票日!!

日本の暑い夏はまだまだ続きそうですね・・・。