この間、初めて美輪明宏さんの舞台を見に行ってきました。

皆さんは
「オーラの泉」
という番組を見たことありますか…?

昔から占いや手相など

興味はあるものの実際にやったことがないわたしは、
テレビを見る習慣がないこともあり、一度もその番組を見たこともなかったのですが

一緒に行ったお友達二人はその番組の大ファンで
「とにかくすごい人なんだよ!」
と、美輪さんの番組でのご活躍ぶりを一生懸命話してくれて

わたしも美輪明宏さんの存在はもちろん、

壮絶な人生や生き方も少しは存じ上げていたので
いち表現者の大先輩として唯一無二の存在感を誇る美輪さんの舞台をとにかくワクワクしながら見に行きました。

広告文句もなかなか強烈です。

「美輪明宏の愛と感動の舞台

この世のものとは思えないほどの
愛にあふれた神聖で清らかなラストに
涙と感動の嵐が巻き起こる!

寺山修司が美輪明宏のために書いた詩人の夢のような舞台!
三島由紀夫がこの美輪の超絶技巧の演技を観て。
あの『黒蜥蜴』出演を熱望した伝説的名舞台・・・! 」

 


大塚麻恵「まえを向いて歩こう!~涙がこぼれてもいいんじゃない♪~」by Ameba



…そして、観劇後。
確かに、これは伝説の舞台…!!

あれは…あのマリーという役は…

男も女も人間さえも超越した存在のように思える美輪さんにしかできない気がする…

どんなに上手な男の役者さんが演っても
どんなに綺麗な女の女優さんが演っても

演技力も美しさも、きっと誰もかなわないでしょうょ…。


そしてまさにラストは
この世?あの世?ってくらい
荘厳で神聖な雰囲気に劇場全体が包まれていて…

人間のドロドロした感情剥き出しの中盤からは打って変わった
静かで大きな光の中、幕が下り…

「最後美輪さん、神になっちゃってたねえ…」

と、その日は三人でほけーっと
狐につままれたような惚けた状態で劇場を後にしました…。

わたしは美輪さんファンではないけれど
なんだかとってもありがたいものを見たような気持ちになりました。
自然と「ありがたや」と手を合わせて拝みたくなるような。

常に麗人風に振る舞うあの方の
激しい内面の激情、心の葛藤、渦巻く愛憎…
そんなものが伝わってきて

このお方は実は誰よりも、めちゃくちゃ人間らしい人じゃないかあ…って

わたしはむしろ親近感を覚えてしまったくらい。

生涯アバンギャルドでありつづけた寺山修司の
本当に、「素敵な悪夢」のような…
夢と毒が混ざり合った印象的な舞台でした!

それにしても、愛と憎しみってやっぱり背中合わせなのか

この間赤坂で見た「中也が愛した女」という舞台も
文学史上有名な中原中也と小林秀雄と長谷川泰子の

 

「奇妙な三角関係」のお話で

前に一緒にお芝居をやっていた溝渕くんが出演していたので

見に行ってきたわけなのですが

中也と泰子と、そこに小林さんも入って
いがみ合い、殴り合い、傷付け合い…もうすごいんですよ!

そんなにお互いボロボロになって
観てる側だともう離れりゃいいのに…と思うけど

 

それは当人同士にしかわからない愛の形だったりして


また引き合ってしまう

吸い寄せられてしまう。

ただ、「傷つくことは、こんなにも素敵だ」
という作・演出の古城十忍さんの言葉通り

どちらの舞台にも共通して描かれていると感じたのは

「好きだから相手のことが許せない」
という段階から

傷つくまでを含めて精一杯に生きていくことで

そうしてお互いぶつかり合うことで

相手を理解していき
自分の弱さに向き合い

「愛しているから許す」

段階へ、素敵に関係が昇華し、円熟していくのです。

その目に見えないものだけど伝わってくる変化の形に
私は感動をいたしました。


ただ惰性で なんとなく相手を「受け入れる」ことと

意識的に「許す」ことは違くて

わたしは、愛についてなんてまだ全然語れる人間じゃありませんが・・・
 

許し合うこと


これは人間関係において最大級の愛の形であり、本当に大切なことだと思いました。

と、いうわけで長くなってしまいましたが
近しい家族や友人や恋人にこそ許し合う寛容さを持ち、
皆様、愛にあふれたゴールデンウィークを
どうぞお過ごしくださいませ ✨