女子美術大学では学園祭の女子美祭2015を2015年10月23日(金)から25日(日)まで開催していた。この学園祭では24日(土)に卒業生のシナモン担当デザイナ奥村心雪お姉さんを招いて講演会を開いていた。

心雪お姉さんの生の声を聞ける貴重な機会であった。生の声だとインタビュー記事では伝わらないニュアンスが伝わる。就職を控えた学生さんにとっても職業デザイナとはどのようなものであるのかが伝わったことだろう。企画をしてくれた大学側と、講演をしてくれた心雪お姉さんに多謝。

講演会の概要

  • 2015年10月24日 開場13時20分 開演14時 終演予定15時30分 終演15時
  • 相模原キャンパス 2号館 224教室

講演会の前半30分は、司会の学生2人が事前に用意した質問を心雪お姉さんにし、心雪お姉さんがそれに答えるという形式で進められていた。教室内の教壇には白と青の風船が飾られ、上手側に心雪お姉さんとシナモンパネル、下手側に司会2名が座る。後半30分では、色紙へのライブペインティングを3枚行い、その3枚と事前に描いてあった3枚の計6枚の色紙を抽選でプレゼントした。

講演会への参加に参加料は必要ないが整理券が必要となる。在学生には事前配布し、一般には当日配布となっていた。事前配布では70番くらいまでの番号が使われ、一般配布はそれ以降の数字となっている。一般配布は140番以上にまで配布されていたのを確認している。配られなかった整理券の厚さや教室の広さやのちの抽選結果から考えると全部で300枚の整理券があったと思われる。教室にいた人数は100人を超えない程度であった。

前半の対談

女子美を選んだ理由

女子美術大学の杉並キャンパス6号館2階には卒業生の就職後の作品が飾られており、そこではキティ、シナモン、ぐでたまが確認できる。 (2015年10月24日現在)

2015年7月の女子美大オープンキャンパスでは “「ぐでたま」も女子美OGがデザイン” とのことなので相模原キャンパスでも確認できるのかもしれない。相模原キャンパスは杉並キャンパスに比べて広いので、自分は相模原キャンパスでは確認していない。

在学中の思い出

  • 司会: 大学にいたときに一番思い出に残っていることは何があるか。
  • 奥村: 私はここの相模原キャンパスではなく杉並キャンパスで2年間過ごした。今は小さくなってしまったが当時は図書館がとても大きく、奥のほうにある書架が気に入っていた。古い本のにおいが好きで、神話や西洋の服の歴史の本を読み漁っていた。その時に得た知識は今でも役に立っている。

女子美祭2015のパンフレットには2ページにもわたって心雪お姉さんのインタビュー記事が載っている。そのインタビューでもこれと同じ質問があるが、講演会とは別の回答をしており、短大2年生での女子美祭のグループ展示であると答えている。展示の仕方が “今で言う中二病全開” だったのとのこと。

パンフレットでの質問は以下の通り。詳しく知りたい人はパンフレットを手に入れてください。

  1. 今年の女子美祭のテーマは「結び目」。奥村さんとサンリオを結ぶきっかけは何であるか。
  2. 幼少の頃はどのように過ごしたか。
  3. 女子美術大学の思い出。
  4. 影響を受けた作家。
  5. キャラクターデザインをするときのアイデアの生まれ方。
  6. 仕事をするうえで大切にしていること。
  7. アイデアに行き詰った時のリフレッシュ方法。
  8. 今後の夢や目標。

一日のスケジュールその1

  • 司会: サンリオで仕事をなさっている1日のスケジュールを書いていただいた。
  • (円グラフで24時間の様子をまとめた図がスクリーンに映し出される。円グラフの周囲にはその時間帯での精神状態をシナモンのイラストで表現している。AM1がメールチェックとデザイン監修、AM2が会議、ランチ、PM1が会議、PM2がデザイン作業、PM3が会議、PM4がメールチェックとデザイン監修、19-23時が飲み会。就寝時刻は25時。仕事中の割合は5割が会議、3割がメールチェックとデザイン監修、2割がデザイン作業)
  • 奥村: これは今まで世の中に出したことがない図。
  • 司会: ミーティングが多い。
  • 奥村: そうですね。サンリオは9時半が出社時刻で、世間一般より30分ほど遅く、朝は若干余裕がある。定時は18時だが、たいていはそこまでには終わらないので、19時くらいになる。
  • 司会: デザイナというと一日中絵を描いてデザインをしているというイメージがあるが、そうではないということだろうか。
  • 奥村: デザイナである以前にサラリーマンなので会議は避けられない。またメールで仕事を進めることがほとんど。
  • 司会: 寝る時間も遅い。
  • 奥村: それでも遅くとも1時には寝るようにしている。2時までに寝ないと肌に響く。
  • 司会: 乙女ですね。

デザイン作業よりもデザイン監修のほうが多くなってしまっており、偉くなるとそのようになってしまうのであろう。会社員の宿命がデザイナでも当てはまるようだ。

飲み会が4時間もあることはスルーされていた。4時間もあるのは日本の平均より長い気がする。

一日のスケジュールその2

  • 奥村: 先ほどの例はいい一日のものである。対比として凹む日はこのようなスケジュールになる。
  • (再び円グラフが表示され、会議が5本ほど入っていて面積では7割以上となっている。円グラフの周囲に描かれているシナモンの表情が、最初の頃は余裕の表情だったものが、最後には「ちーん」となってしまっている。)
  • 奥村: こんな日も結構ある。
  • 司会: デザイン作業に割く時間が全然ない。
  • 奥村: こういう日は1時間くらいしか絵を描いていない。
  • 司会: シナモンが「ちーん」となっている。
  • 奥村: 会議が耐えられなくて。
  • 司会: 会議が多い日は奥村さんもあんなシナモンのような状態になるのか。
  • 奥村: 最終的にはそうなる。人間の集中力は、特に自分の場合は、2時間しか続かない。会議が重なりすぎると何を言っているのか分からなくなる。それでも帰るのが遅くなっても1時には寝るようにしている。
  • 司会: 乙女だから肌は大事。サンリオというとデザイナはデザインをしているというイメージがあったのだが、実際にはこのグラフのように会議がメインとなっていることが意外であった。
  • 奥村: デザイナでも会社員であることが大前提なので、出なければならない会議には出席をして、他の時間でデザインなどの作業をすることになる。
  • 司会: サンリオはふわふわしているイメージがあったが、結構きっちりしている。
  • 奥村: そうなのである。シナモンのことを考えているのは30分くらいしかない。
  • 司会: 女子美のサンリオ志望の人は考えておいたほうが良いだろう。
  • 奥村: それでもサンリオを目指してくれる方がいれば、お待ちしています。

会社勤めのデザイナはどういう仕事内容なのかを美大生に伝えるよい内容。これらの円グラフは表現の仕方も面白いし、ぜひとも他のところでも使ってほしい。

キャラクターのデビューの仕方

  • 司会: サンリオでは最近ぐでたまKIRIMIちゃんがデビューしたが、キャラクターはどのようにデビューさせるのか。
  • 奥村: デビューの仕方はケースバイケース。ぐでたまやKIRIMIちゃんは2年前の食べキャラ総選挙でお客さんに投票してもらいデビューするキャラクターを決めた。KIRIMIちゃんが1位、ぐでたまが2位となり、デビューすることとなった。SHOW BY ROCK では音ゲーから始まりテレビアニメにもなった。これは、サンリオショップに来ない層のお客さんにもキャラクターを提供するというミッションで、4年前からゲーム会社と協力して企画から立ち上がった。そしてゲームにふさわしいキャラクターとはどういうものかを詰めていった。
  • 司会: SHOW BY ROCK は今までのサンリオキャラクターとはイメージが違っているが、どのキャラクターもデザインがかわいい。女子美生も SHOW BY ROCK が好きな人が多い。SHOW BY ROCK に楽曲提供している Silhouette from the Skylit が明日は美大祭に来るので、明日も美大祭にお越しいただいて演奏を聞いてくれたらと思う。
  • 奥村: SHOW BY ROCK は基本的に男性のクリエーターがデザインをしている。一方でデモンズベノムというバンドは、ぐでたまデザイナーの Amy さんがデザインしている。
  • 司会: デモンズベノムはかっこよくてイケイケのイメージがある。ぐでたまのイメージとは断然異なり驚いている。
  • 奥村: 表向きはぐでたまの担当をしていると言っているが、他のキャラクターも担当している。

補足をしておくと、突然に Amy さんの名前を出してきたのは Amy さんも女子美大の出身だからだと思われる。前述の杉並キャンパス6号館2階を参照。

商品化の道筋

  • 司会: キャラクター商品が完成するまでには、どのくらいの期間やどのような道筋があるのか。
  • 奥村: SHOW BY ROCK のようにモノを作らずにコンテンツを作ることもあるが、商品を出すシナモンのような典型的なキャラクターの場合には発売の7-8カ月前から動きだしている。最初はターゲットを決める。たとえば20代女性などとし、4月発売ならばサマーっぽいものが欲しくなる時期。そうやってターゲットにあった商品を考えていく。街中ではやっているものを見に行ったり、アンケート会社に依頼してマーケティングを行ったりする。
  • 司会: お客様の立場に立って考えることが大事。
  • 奥村: お客様がどういうものを欲しがっているのかの情報は常に集めている。欲しがっているものに向けてデザインを決めていく。今はちょうど来年の4月に向けて企画をしている。

4月にグッズが出るというのは新情報ですね。ひょっとしたら例えで出していた4月発売の内容が例えではないのかもしれない。

好きなキャラクター

  • 司会: 高校時代からサンリオ入社を希望していたと聞いた。好きなサンリオキャラクターは誰か。
  • 奥村: 年代によって変化している。幼稚園の頃はキキララ。小学校からは親が与えるピンク色のかわいいものに嫌気がさすピンク離れをして、けろっぴ、もんきち、ねずみ小僧などの面白系のキャラクターに変えていった。新しいグッズを見つけるのがクラス内での競争だった。缶ペンが流行っていて、どれだけの頻度で新しいキャラクターの缶ペンに更新していくかの缶ペン競争をしていた。小学校高学年ではハローキティの黒いデザインの商品 (1987年のモノトーンシリーズか) が出て、かっこいいと思うようになった。キャラクターをシンボル的にして、大人が持っていても恥ずかしくないようにしてあった。
  • 司会: キティはかわいい系なのにかっこいいデザインで大人に向けてきたと。
  • 奥村: そのかっこいいキティを見てキティが好きになった。
  • 司会: 小さいころからサンリオキャラクターに囲まれていたということなのですね。

今では女児向けに水色を使うことは一般化してきているけれども、当時では珍しかったのではなかろうか。時代の先を行っている。

シナモンの生い立ち

  • 司会: 奥村さんが作られたシナモロールの性格を教えてほしい。
  • 奥村: まずは基本的なことなのだが、ウサギの女の子と間違われる。実際には子犬の男の子。今後の参考に聞きたいので、ご存じなかった方は挙手をお願いします。
  • (5分の1くらいの人が手を上げる)
  • 司会: 子犬の男の子であることを知らなかった人が結構いる。
  • 奥村: シナモンは周知がまだまだだった。シナモンは遠いお空の雲の上でぽこっと生まれた。あまり大っぴらには公表していない設定として、お父さんが太陽でお母さんが青空となっている。シナモンはずっと空を見ているので目が青い。
  • 司会: 目の色にそんなこだわりがあったとは素敵である。
  • 奥村: シナモンのお友達には目の青いキャラクターがいることがある。そのキャラクターは空に関係があると考えてくれると面白い。
  • 司会: 今の話はこの講演会で明かされた衝撃の事実。シナモングッズでお友達の目が青い場合には注目すべき。
  • 奥村: 雲の上で生まれて生活していたところ、雲の下から甘い匂いがしてきて地上に降りていった。においの元はカフェシナモンで焼いていたシナモンロールであった。シナモンロールを食べてカフェに居ついてしまう。
  • 司会: そこでシナモンがカフェシナモンの看板犬になって、他のワンちゃんとお友達を作っていった。

シナモンを最初見たときはシナモンがウサギの女の子だと思ったことを白状しておきます。すみません。

誕生のきっかけ

  • 司会: そんなシナモンが誕生したきっかけは何か。イマジネーションを受けたものはあるか。
  • 奥村: デザインに着手したのは入社2年目の2000年ごろ。当時は癒し系のキャラクターのたれぱんだお茶犬が流行っていた。そのようにほんわりとしていて癒されるキャラクターを作りたいという思いがあった。また前に述べたように小学生の頃にピンクが嫌になった時期があって、女の子向けだが水色のキャラクターを作りたいという思いもあった。それらを頭に思い浮かべながら鉛筆を走らせたらシナモンの顔ができた。ひらめきというよりかは夢であった。
  • 司会: それが今のシナモンにつながっていると思うとすごいことである。自分も小学生の頃は赤やピンクのかわいらしいものが好きではなく、水色が好きな小学生であった。サンリオはキティやメロディのように赤やピンクのイメージが強い。シナモンがデビューした時は水色だったので心を奪われたのを今でも覚えている。

この司会者のようにシナモンで育った世代がちょうどいま高校生や大学生になっているので、大学での講演会はいいタイミング。もう何回かは続けてくれるといい。

デザイナとして心がけていること

  • 司会: デザイナとして心がけていることはあるか。
  • 奥村: お客様のニーズを取り入れることが重要だと思っている。自分が作りたいものへのこだわりよりも、グッズになった時にどうかわいく見えるかを優先している。また流行も取り入れていっているつもりである。シナモンも10何年にもなるので古くさくない今っぽい要素も入れるようにしている。

心雪お姉さんに限らずサンリオのデザイナさんは流行を取り入れることについてよく言及している。ニーズのためでもあり、職業デザイナとしての宿命でもあり。

シナモンの原型

  • 司会: シナモロールの歴史を振り返ってみたいと思う。
  • (スクリーンにウサギのキャラクターが映し出される。「おねがいみみたん」というロゴが付いており、ウサギのキャラクターは天使の輪っかと羽と服を身に付けており、雲の上に立っている。)
  • 司会: これは奥村さんがサンリオに入社して2年目に作られたキャラクターとのことである。
  • 奥村: これは癒し系のキャラクターを作りたいと思った時に描いたウサギのキャラクター。この時は採用には至らなかった。
  • 司会: 目や口はシナモンと同じ感じになっている。
  • 奥村: 顔はシナモンと同じ。ボツになってから1年後にいちご新聞でキャラクターをお客様に選んでもらってデビューさせる企画があった。あのウサギをもう一遍出そうと思って手直しをした。当時はミニチュアダックスフンドに人気であって、ウサギよりも犬と言い張ったほうが「うちの子に似ている」とお客様が考えてくれるだろうと思い、とがっていた耳を丸くして犬に変えた。
  • 司会: ここでも流行をチェックするということを心掛けていたのですね。
  • 奥村: ウサギが天使の服を着ていたことに自分でも不思議であったので、とりあえず脱がしてすっぽんぽんにしてみた。すると何か物足りなかったので、尻尾に特徴を付けることにした。
  • 司会: チャームポイントのくるくる尻尾。
  • 奥村: あれも当時やや下火になりつつあったが流行のシナモンロールを採用した。尻尾がシナモンロールだからシナモンということでこの子が生まれた。

「おねがいみみたん」の絵を公にしたのは2010年2月10日のいちご新聞505号18ページが最初と思われる。新聞中には “初公開だから恥ずかしい” と書かれている。この時の「おねがいみみたん」の絵にはロゴも背景もなく、名称は分からない。

2012年3月1日に発売となった『Cinnamoroll 10th Anniversary Book ぴあMOOK』(ISBN 978-4-8356-2097-8)の30ページにも「おねがいみみたん」が確認できる。ロゴは入っていないのでキャラクター名は分からない。背景が残されたままで、シナモンの最初の商品シリーズである「くもシリーズ」とキャラクターや雲の配置の仕方が似ていることが分かる。

2012年3月のシナモンバースデーパーティでは黒須さんが持っているパネルにはロゴがかかれており「おねがいみみたん」の名前が確認できる。ロゴの左右にある羽マークものちのシナモロールのデザインで使われている。

講演会で使われた絵は、2012年シナモンバースデーパーティと同じくロゴと背景が残されたままのものであった。

私の記憶では、この「おねがいみみたん」よりもさらに前の原型となったキャラクターを本か冊子で見たことがある。それは白黒のイラストでシナモンと同じ顔で尻尾が横にまっすぐ伸びたウサギであった。記憶があいまいなのだが、高校生の時にノートに描いたものだっただろうか。そのソースを探しているのだがどの本だったのか思い出せない。確か本を見開いたときに右側のページの下部にあった囲み記事で、シナモンは昔ウサギだったという内容であった。「おねがいみみたん」が初出と思われる2010年2月よりも前に出版されたものだと思われ、2006年2月10日のいちご新聞457号、2005年11月の『シナモン公式ファンブック シナモンがいっぱい!』(ISBN 4-09-106261-X)、2003年12月の『シナモン公式ファンブック だいすき♥シナモン』(ISBN 4-09-106137-0)のあたりがシナモンについて情報が詰め込まれた資料なのだが、これらを見返しても見つけられなかった。分かる方がいらっしゃったら教えてください。

デザインの振り返り

  • (講演会のポスターにも使われたユニコーンシリーズの絵がスクリーンに映される)
  • 司会: これが2004年のデザイン。
  • 奥村: ユニコーンのデザインで子供向けの文房具をたくさん出した年であった。記憶にある方も多いのではなかろうか。
  • 司会: 私も筆箱や下敷きを使っていた。お友達もこのデザインでお揃い状態だった。
  • (2015年10月のふんわりデザインシリーズの絵がスクリーンに映される。リンク先のグッズでいうとクリアファイルの青いものが最も近い)
  • 奥村: これは今月出た新しいデザイン。シナモンで育った子供たちが今では高校生や大学生になっていて、そのようなお姉さんたちでも使えるような持っていても恥ずかしくないデザインにしようとした。
  • 司会: 青とグレーで大人向けの色合い。
  • 奥村: 線を強調しないようにしてキャラクターを押し出さないようにした。ほっぺはハートでかわいくした。

ふんわりデザインシリーズが出たことを記念した10月10日のサイン会でお話をさせてもらったことによると、シナモンのほっぺはチークで塗ったものではなく、恥ずかしがり屋のシナモンの元々の色であるとのことであった。ほっぺがハートになっている理由について講演会よりも詳細なことを教わりはしたが、内容は約束により秘密。

女子美生からの質問1: 空の飛び方

  • 司会: ここからは女子美生の質問に答えていただく。シナモンはどのような原理で空を飛んでいるか。似た体型のお友達たちはなぜ空を飛べないのか。
  • 奥村: シナモンは長い耳を羽ばたかせて飛んでいる。それが動力ではあるが、シナモンが空で生まれたことから普通の犬ではないことになるので、察してほしい。他のお友達は地上で生まれているので、一般的な犬である。
  • 司会: 目が青いのも関係があるかもしれない。

この突拍子もない質問を選んだ進行役のセンスに拍手を送りたい。「似た体型のお友達」という表現も絶妙。

女子美生からの質問2: 名前の由来

  • 司会: お友達がたくさんいる。それぞれの名前の由来は。
  • 奥村: 最初商品が出たときはシナモン一人だけだった。その後仲間を増やして変化を出そうとした。また流行の話もしたと思うが、その時に流行っていた犬種を出すことで、「うちも飼っていて似ている」という理由で手に取ってもらいやすくなるだろうという思い込みから一気に6人に増やした。
  • 司会: 重視されていると言っていたお客様のニーズというものですね。お友達の名前が飲み物や食べ物なのは理由があるか。
  • 奥村: シナモンがカフェにいるという設定だったので、お友達もカフェの飲み物やスイーツの名前にして統一感を出した。当初からシナモンのカフェを実際にやりたいという思いもあった。

シナモンのカフェが2015年12月に渋谷パルコでオープンすることとなっているので、これにも期待で。

後半のライブペインティング

ライブペインティング

ステージ横にある書画カメラのところで心雪お姉さんが色紙にシナモンたちの絵を描いてくれる。

  • 司会: シナモンを描くときにはどのようが画材を使うか。
  • 奥村: 場合によるが今日はもっとも描きやすい太いペンで描く。

1枚目はシナモンで、顎、頭頂、耳、目、口、手、胴体、足、尻尾、ほっぺ、周囲の雲、の順で描いていった。アドバイスは、耳は極端に大きいくらいが良い、とのこと。

2枚目はモカで顎、頭頂、耳飾り、耳、目、口、手、胴、足、尻尾、耳飾りの着色、全身の着色、の順。モカはおしゃべりなので口を開けていることが多く、シフォンはおてんばなので座っている絵がほとんどない、とのことであった。

3枚目に描くキャラクターは客席からリクエストにこたえることになり、ふんわりデザインシリーズのルームワンピースを着ていた最前列の人が知的なエスプレッソをリクエストした。顎、頭頂、耳、目、口、手、胴、足、尻尾、シルクハット、蝶ネクタイ、全身の着色、の順。エスプレッソのカールする耳は大きく描かないと目立たないとのこと。心雪お姉さんの独自の調査によると、エスプレッソはお気に入りの毛布がないと寝られないというところにお姉さんがたが惹かれるとのことであった。

色紙抽選その1

  • 司会: 今日は特別に奥村さんが事前に描いてきたイラストを3名にプレゼントする。
  • (司会が1枚目を見せる。水色で水玉のカボチャパンツを穿いたシナモンが後ろを振り向いているポーズ。)
  • 奥村: これは「穿いてますよ」の絵で、今まで描いたことがない絵。
  • (司会が2枚目を見せる。ふんわりデザインシリーズの絵で、シナモンが熊のぬいぐるみを持って座っている。)
  • 奥村: これは以前にも描いたことがある絵。ほっぺがハート。
  • (司会が3枚目を見せる。三輪車をこいでいるシナモン。)
  • 奥村: 最近シナモンは三輪車がマイブームで、エスプレッソとツーリングに行っている。
  • 司会: Twitter でこいでいましたね。
  • 奥村: それを模写してみた。
  • 司会: みなさんも Twitter をチェックしてください。

抽選は入場に必要となっていた整理券の番号を使う。心雪お姉さんが抽選箱から番号の書かれた紙を引いていく。

1枚目の抽選では、まず106番を引いたがその番号を持っている人がいなかったため再抽選。71番が引かれあすかさんに当たった。当選者のコメントは、いつもサイン会でサインをいただいているのに申し訳ない、であった。色紙に宛名と日付とサインを入れてプレゼント。日付はこの1枚目だけでなくすべてで間違っていたが気にしない。

2枚目は抽選は、277番を引く。あまりにも大きい数字のため「会場にはそんなにも人数がいないですよね」と言いながら引き直すと52番。小さい数字であるが誰も名乗り出なかったので、引き直すと271番や231番の大きすぎる番号が出る。これらの番号について心雪お姉さんは「絶対ないですね」。次に65番を引き在学生に当選した。当選者のコメントは、小学校の頃からシナモンが大好きだった、とのことであった。

3枚目は63番で再び在学生に当選した。当選者のコメントは、小さいころからシナモンの人形をもらったりしてシナモンのことが好きであった。

色紙抽選その2

続いて大サービスによりライブペインティングで描かれた3枚の色紙の抽選を行う。

1枚目は31番で在校生に。小学生の頃にシナモンに囲まれて育った、と当選者のコメント。

2枚目は76番。私の番号が77番だったので、私の前に整理券をもらった人のはず。整理券をもらったのに講演会に来ないとは許せん。引き直して11番の在校生に当選。当選者のコメントは声が小さくて聞き取れず。

3枚目は131番の奥様。かつて娘にシナモングッズをたくさん買ってあげた、とコメント。当選者の希望により、色紙は自身が受け取らずにエスプレッソをリクエストした人にプレゼントしてくれということになった。

最後にメッセージ

  • 司会: 最後にメッセージをお願いしたい。
  • 奥村: 講演会は今までの仕事を振り返るいい機会となった。シナモンのデザインの積み重ねがあって、シナモンの歴史となっていった。その歴史を客観的に振り返ることができた。小さいころにシナモンのグッズを持っていた人が、後になって自分の子供にグッズをプレゼントする流れができていくといい。キャラクターを通じてそのような流れを作れることが仕事の喜びである。今までシナモンのことを知らなかった人もいるが、この講演会が縁になってサンリオショップでシナモングッズを見にいき、講演会でどのような話があったかを思い出してくれれば幸せである。
  • 司会: シナモン、モカ、エスプレッソの絵を生で描いてもらえて、絵を描きながらお話も聞けて楽しい時間を過ごせた。奥村さんに大きな拍手を。

司会から花束をプレゼント。おそらくこの花束は事前の打ち合わせなしでのサプライズだったのか、心雪お姉さんは「このまま撤収という形でいいでしょうか」と司会に確認していた。なんとも粋なことをする司会であった。

スケッチブック

講演会以外にもシナモン関係の企画があり、シナモンデザインのスケッチブックが販売されていた。販売場所は講演会があった相模原キャンパスではなく杉並キャンパスであったため、両方のキャンパスを訪れる必要がある。自分も含め何人かの人は両方のキャンパスを訪れていたようだ。

スケッチブックの販売所はシナモン仕様のテントになっており販売員はシナモン耳カチューシャの花アレンジ番を着用していた。さすが美大だけあってクオリティが高い。