あれは、退院した翌日
だったと思います。
妻が愛してやまない
(私たち家族全員も)
SMAPさんの「スマスマ」最終回
を家族全員で見守りました。
誰も声を発することなく
番組に見入りました。
そして
妻は大号泣しながら
最後まで見届けたのでした。
番組が終わると
家族それぞれが部屋に戻り
私も寝室で眠りにつきました。
この頃はまだ、眠っていても
トイレに行きたくなり
深夜に起きることも頻繁な
時期でした。
この時もトイレに行こうと
目を覚まし、ついでに
水を飲んでタバコを一服して
寝ようと階段を上ると…
音楽がなっているリビングで
妻が声をあげて泣いていました。
驚いて「どうした?」と
声をかけると…
「お願いがあるの。
この曲を一緒に、今一緒に
聞いて欲しいの」
と、妻が言いました。
その時、かかっていた曲が
SMAPさんの「STAY 」という
曲でした。
「ねぇ、私たち
まだ30年しか一緒にいない
んだからね。
50年一緒にいるんだからね」と
妻は泣きながら言いました。
「50年って…あと20年だろ?
俺はその頃、90になるぞ(笑)
それはちょっと厳しくないか?」
私は少し困って
そんな風に応えました。
私の退院がなかなか決まらず
私の前では明るい顔を見せても
本当はどれだけ心配して
毎日を過ごしていたのか…
きっと緊張の糸が切れた
その瞬間に、偶然にも
私は遭遇してしまったのだろう
そう解釈しました。
「泣きたい時は
この歌を聞いて泣かせてもらうの。
それで救われてるの。
大丈夫だからね」
ひとしきり泣いた後
そう言った妻の頭を撫で撫でして
私は再び眠りについたのでした。
しかし!
ことはそれだけで終わらなかった
のです。
この後、妻は
発熱してしまったのでした。
息子たちとも話をしたのですが
「あれは…スマロスから来た
知恵熱じゃなかったのか?
もしかしたら…あの涙も?」
と、私は思っています(笑)
照れ臭いので
そう言わせておいて下さい。
こうして
大腸癌が発覚してから
手術そして初の抗がん剤治療
という怒涛の2ヶ月が過ぎ
2016年を
終えようとしていました。
追伸
STAYの歌詞の一部です。
♪この先どうしようもなく
すれ違ったり言い争いが
あったりしても
どうか道の途中で
手を離そうとしないでよ
ちゃんと繋いでてよ
ぼくらずっと共に歩こう
永遠なんて言わないからさ
5、60年それだけでいい♪