手術が終わり
私は集中治療室(ICU )に
運ばれました。

実は、私自身は
そこがどこなのか?
よく分かっていませんでした。

記憶も非常に曖昧ですが

硬膜外麻酔が効いていたのか
術後の痛みというものは、
その時はあまり感じていなかった
ことを覚えています。


先生からの許可を得て
家族と面会の時が来ました。

ここからは、家族の記憶を元に
お話させて頂きます。



麻酔でトロトロしている私に
妻がそっと話しかけたそうです。
私の頭を撫でながら。

「パパ、無事終わったよ。
先生が大成功だって言ってくれたよ。
よく頑張ったね。」

私は、しっかりと目を開き
妻の言葉に「うん、うん」と
返事をし、しっかりと握手を
したそうです。


そして、長男と握手し。

続いて、次男とも握手。


その握手する私の力は
とても力強く
息子たちは安心したそうです。


そして、私が最も不安だった
人工肛門についてですが、
「腸を上手く繋ぎ合わせることが
できたから大丈夫よ。」
と妻に聞くと、私は触って
確かめようとするものだから
皆に止められたそうです。

私は全く覚えていないのですが…。



この日の面会はここまでで
家族が退室しようとすると…

私が大きな声で
次男の名前を呼んで
こう言ったそうです。


マサト!
いい子にしているんだぞ!


そう言われた次男は
少し戸惑いながら
「分かったよ」
と返事をして、退室したそうです。



ICU を出て廊下を歩きながら
次男が

なんで俺なんだよ…

なんだよ
"いい子にしているんだぞ"
って…

意味が分かんないよ…

そう言いながら
涙を流したそうです。



2016年11月15日
手術日の夜のことでした。