2024.5.7

東京都済生会中央病院10時30分到着〜手続きを済ませ入院。

個室は、シャワー無し、あり、

の部屋のどちらかになると聞いていたが、シヤワー、トイレ有りの広い12階の個室が与えられた。

案内した看護師さんから色々説明が有ったが、覚えきれないので、適当に頷く。

直ぐに昼ご飯が出た。

それなりに美味しかったね。

お米がいいね。オカズはそれなり。


この病院は、国会議員や大企業の経営者や役員等が多く利用するらしく、行き来する車もそれらしく、待合室に座る老男女達の身なりにもそれらしい品格が有った。

下手な食事を出せば、文句もダイレクトに来るのだろう。


落ち着いた頃、薄いレースのカーテンを開けると、眼の前に思いがけず、東京タワーが鎮座していた。



流石の立地に、安心と優越、そしてこの病院を手術場として指定紹介した声のクリニック赤坂医院長、駒澤医師に感謝した。

しかし昨夜からの鼻水、咳、そしてタンが絡む風邪らしきものが、ズット治らず引きずっていて、明日の手術への大不安を、正直に看護師に伝えた。
途端に顔を曇らせた看護師はすぐに立ち去り、全面コロナ、インフル対応の戦闘服に着替えて再来、
そして熱を測り、先ず平熱を確認、それから鼻の奥深くに綿棒をつっ込み、検体を採取。そして言った。
部屋からは決して出ないでください!
あらら。。隔離決定。
夕方結果を告げに来た。
陰性でした。
ても、だめです!あすの朝五時過ぎにもう一度検査します。
それまでは部屋から決して出ないで下さい!
それで明日陽性だったら。。
手術は中止となります。
えっ!
後は先生が判断説明をすると思います。
ガーーン!
何度も流れ出る鼻水をかみ、咳込みながらタンを出して、考える。
これはダメかなぁ〜、どうして肝心な時にこうなるのよォー!
せっかくここまで来たのにー!

専門性の高い名医と運命的に出会い、そして最短でこの手術場へとこぎつけ、此処まで夢のように順調に来たのに、どうして、どうしてーー!
どうなるヨォ〜〜〜!

夜ご飯を食べた。
熱いシャワーを浴びた。
ジワ〜〜〜〜〜と。
出て椅子に座る。
東京タワーを、眺める。
汗がドンドン吹き出る。どんどん〜。
鼻水も、タンの絡んだ咳もガンガンでる。
やばいなあ〜〜。
咳は、シャワー室に閉じこもり、直ぐ近くにある看護師の詰め所に、聞こえない様にやった。隠蔽。
それにしても、ナンデ改善の為の薬を出さないのか?
ここは病院じゃないなか?

私は密かに高価なノンカフェインの栄養ドリンクを、そっと3本鞄の隅に忍ばせていた。

一本は、夕方疲れて仮眠する前に飲んだ。
後2本しかない。
計算してその内の一本を飲んだ。
汗よデロデロでろーー!!
咳も出ろ、みんな出て失せろ!この体から、明日の朝までに!
消え去れーーーー!このバカモノどもガーー!

時計は10時を回った。
睡眠導入剤をのみ、最後の一本を飲み干し、3本の瓶を鞄の中に仕舞い込み、掛け布団を2枚にしてもらい、寝た。

神様、仏様、ご先祖様、どうかこの身を、お守りお助け下さい。善き所へお導きクダサイ!
切に願い、寝た。。。

じっとり汗を掻きながら、夢を見ながら、淋しさを噛み締めながら、そして夜中に何度も目を覚ましながら、寝た。。。

幾つになっても、ヤッパリ
一人は淋しい〜。

2024.5.8
目が覚めると五時だった。
ぐっすり寝た気がする。
熱を測る。平熱た。鼻水も随分止まった感じ、咳も出てない!
おう、いい感じだ!

検体を採取に約束通り看護師が来た。
無事に通過すれば9時から手術だという。
そしてもう一眠り〜で7時。
看護師が再び来て言った。
陰性でした。。
私は確信して起きた✨!

征くぞ!!

熱いシャワーを浴びて、体中の汗を、要らぬ雑念を全て洗い流した。
なるようにしか成らない。
後は運を、天に任す!!

汗を拭き新しい下着を付ける。

それから巡回の担当医師が、何度目かの様子伺いに来た。
そして私の元気そうな顔を見て言った。
行けそうですね!?
行けそうです!やりましょう!!

少しづつ戦闘態勢に入り、手術着に着替え、椅子に腰掛け、出陣の時を待った。

9時きっかり。
迎えの看護師が来た。
では行きましょう!

エレベーターに乗り、二階の手術室フロアーへと向かう。
到着してドアーが開く。
広いなあ〜〜!ビックリ。

その日午前中に行われる様々なオペの為の手術室が、ズラーーと、横一列に並んでいる。
一体何部屋あるのだろうか。。凄い!

私は始めから2つ目のオペ室に案内され、ベッドに横になるように言われた。
そこには、頼りにする主刃医の駒澤医師、担当の女医先生、その他巡回に顔を見せた医師、他1〜2名程の医師たちが皆オペ着姿で立って待っていた。
執刃医の駒澤医師が、声をかけてくれた。
大丈夫ですよ!

言われたベッドに横になると、周りにはびっくりする数の看護師達が集まって来て、あらゆる全身麻酔手術の為の準備を始めていった。
これがこの二階手術フロアーの何室かで、同時にこのスタッフ数を抱えて行われているか〜〜。
矢張りここは凄い病院だと思わざるを得なかった。

点滴針の埋込、心電図センサー、血圧測定器接続〜全ての所作が素早い、みんなプロの仕業だった。

麻酔科の医師が声を掛ける。
大丈夫ですか?
何か不都合なところは有りますか?
次々の質問に、私は首を横に振り続ける。
やがて、その意識は、いつの間にか、スーー〜と遠のいていった。。。


南川さん!南川さん!
大丈夫ですか!?
次に声が聞こえて来て目が覚める。

我に返る。
ああ、終わったのか。。。
どうだったのかナア〜。。

今何時?!
ゼスチャーで尋ねる。
10時半ですよ〜。
無事に終わりましたよ!

反対側から執刀医の駒沢医師が声をかけてくれた。
全部キレイに取れましたよ!
安心してください、成功ですョ!

部屋に戻され、わたしは安心して眠った。
昼過ぎ、熱くて目を覚ました。
ナースコールを押す。
どうしました。
声は出せない。
熱いんだ、上に掛けてる電気布団を退けて下さい。
そして手術様に履いた長く白い靴下を脱がして欲しいと頼んだ。
それはダメ出です。
何でダメなのだ?!
聞きたいが声を出せない。
仕方がないので、看護師が去ったあとに、くるぶしまで自分で下げた。
ホントは全部脱ぎたかったが、何だかうるさそうな看護師だったので、2時間待つように言われたので、くるぶしまで下ろして我慢して、又寝た。

ようやく看護師が来て、靴下を脱がして欲しいと伝えると、
では、立って歩いて見せてください、と言う。
靴下を脱ぐ事と、立って自力で歩ける事の因果関係が全く解らないが、仕方なく、ワタシは少し意地になって、元気に歩いた。
ようやく、希望が叶って手術用の白く長い靴下が無くなった。
嬉しい。スッキリだ!

夕方、テンテキも終わり、針が抜かれた。

もう5歳若ければ、日帰り出来たんですけどね〜。
ううう〜〜!

しかし入院して良かった〜。
正直、これは一泊しないと帰れない状態だった。😅

夜、おかゆご飯か出た。
朝から何も食べておらず腹が減っていたから、美味かった。

手術も終わって、喉も乾いて階下にあるセブンイレブンまで行きたいと伝えると、コロナ、インフル患者疑惑から全面開放された私は、晴れて無罪自由の身として扱われた。

付き添いの看護師が案内してくれて、院内のセブンイレブンで、私はビタミンcレモン水、ウィンダーインゼリー、そしてアリナミンA栄養ドリンクを買った。
隣にはユニクロまであった。

原則、入院中は、看護師薬剤師の指示意外の薬は飲めない。
特に手術前は。。
でも風邪を何とか鎮静化するために、私は自主的に持ち込んだんだ、秘策の栄養ドリンク。
それを全部飲んだ。
12時間後に、それらが体内から排泄されることを前提にして。。
その御蔭か、何とか風邪も回復に向かい、無事手術を受けることが出来た、と思っている。
神がかり。。
深い安堵が広がる。。

夜になってオレンジに灯る東京タワーが、慰めてくれた。



寂しいか〜でもなぁ、お前は
一人なる定めなんだよ。
誰も恨めやしないのさ〜。
わかってマンがなぁ〜あんた!

ても良かったジャないないか!
無事に終って。
何より、社長のお前がいなくなったって、会社はチヤンと回って、何より命に別状なく、文句あるのか?
ありません。。

しかしね、どうしょうもなく浮かび上がる老愁。。。
味わいたくはないけれど、この先、何度か別の病気で又抱くんだろうなぁ〜。
ああ嫌だ嫌だ。。
そして最後は、誰も知らないうちに、ボッチであの世へとオサラバするのか。。。

熱いシヤワーを浴びて、もう一度無事を感謝した。

2024.5.9
早朝、巡回の医師に続き、担当女医先生が元気を確かめに来てくれた。

8時30分、耳鼻咽喉科処置室で、術後の様子を診断される。
南川さん、キレイになってますよ。全く問題なし。退院です。

10時、会計を、済ませる。
三日間シャワー、トイレ付きの誠に静かな個室に入れてくもらい、素晴らしい手術を施され、16万3千円は、健康保険が使えたとはいえ、ヤッパリお安い。
有り難うございました。
お世話になりました。
神様、仏様、ご先祖様、そして皆様、誠に有り難うございました🙇
私は無事退院した。


振り返れば、聳える病院の中に、嘘のような三日間が、既に過去になっている。
さぁ、これからが、先の過ごし方が全てなのだそうな。。
先ず二週間を、大切に過ごしてゆこう!

JR田町駅へと薄曇りの空の下を歩き始める。。
満足と、不安と、切なさと、清々しさが、静かに交差していた。。