小学生の頃。
家の近所に一軒のボウリング場があった。
今ではほとんど全く見なくなった、空欄のスコア表に手書きでスコアを書いていくタイプのボウリング場だった。
思い出すとやっぱり時代を感じる。
いろんな初体験をする小学生の頃。
ある時、父に連れていってもらって初めて訪れたボウリング場という場所はすごく刺激的だった。
小学生の男の子はボール遊びが好きな子が多い。
僕もボール遊びが好きだった。
そんな中でのボウリング。
球を転がして遠くの棒を倒す遊びにすぐに夢中になった。
日曜日はよく父に「ボウリングしたい!」と言って、連れて行ってもらって2人でボウリングをした。
せっかくのお休みに嫌な顔をせず、ボウリングに付き合ってくれた父の優しさを思い出すと感謝の想いがこみ上げる。
ボウリング場にはUSENがかかっていた。
ちょうどリリースされた時期だったのか、『私の夏』もよくかかった。
「『私の夏』がかかっている間はたくさんピンを倒せる」。
という変な思い込みを持っていたこともあり、この曲のことをよく覚えていた。
同じ時期に、友達同士でそのボウリング場を訪れた。
父のいない、初めてのボウリング。
何故か「用紙にスコアを書き込まなければお金はかからない」と思い込み、練習と称して何球も球を投げた。
何球も何球も。
しこたま投げた後、1ゲームだけスコアを記入して帰ることにした。
お会計を見た僕らは仰天した。
目の前の予想外の数字に、何が起きているのか理解するまで少し時間がかかった。
何も知らなかった小学生の僕たちは、お会計を支払えるほどのお金なんて持ってなくて、ただただ怯え、親に来てもらい払ってもらった。
『私の夏』を聴いていたら思い出した、子供の頃のボウリングの思い出。