多くの人に読んでほしい、役者を志す人に伝えたいこと。 | 大沼優記の"ぬまぶくろぐ"

大沼優記の"ぬまぶくろぐ"

大沼優記のブログ。沼袋に関する情報を発信する地域密着型ブログ、ではありませんのであしからず。

役者を志す君に伝えたいこと。

シアターキューブリックについて触れながら書くけど、シアターキューブリックだけには限らず、どこかの劇団に入団したいと考えている君に伝えたいこと。

そんなことを、キューブリックのオーディションについて触れながら書きたいと思う。


まず最初に断っておくと、先週もブログに書いた通り、僕は自分に自信というものを持たない。


いつでも挑戦者のような気持ちでいる。

だけど、19歳でこの世界に飛び込んだ僕もいつの間にか32歳になった。

当時は、外の劇団の人はみんな年上しかいなくて、「勉強させてください!」という姿勢ばかりでいたのに、ふと気付いたら周りは年上よりも年下の方が多くなった。


看板俳優と呼ばれたりもした19歳で旗揚げした小さな劇団は8年で解散し、その後転々とオーディションを受けながらアンサンブルばかりをする時期が3年ほど続いた。

ようやく研修生になることができた憧れだった劇団も、劇団員には選ばれず去ることとなった。

「事務所に入った方がいいのかな?」とWebを巡って申し込んだ事務所では、プロモーション費なるものを徴収され、事務所の人の関係者がやっているであろうバーに連れていかれて強面の大人に囲まれ、

「君はさ、経営の素質があるよ。」

と、何を根拠に言っているのか全く分からない誘い文句を並べ、運営資金なるお金を徴収されようとしていたところで、

「あかん…!これ、騙されてるやつや…!」

と、ようやく気付いたこともあった。

そして、シアターキューブリックに入団して4年目の今に至る。

人並み以上とは思わないけど、人並みには挫折と失敗を経験してきた。

そんな僕の伝えたいことが、ひょっとしたら誰かの道標になるかもしれない。

そんな想いで綴りたいと思う。

んー!前置きが長くなっちゃった!


10月5日。


シアターキューブリックでは、劇団員(役者)のオーディションを行う。
{1F52F987-235F-4121-9B14-7892A7BFC863:01}

http://qublic.net/recruit/

その締切が今月末ということで、いよいよとなった。

集団というものは、新しい風が入ることで循環してリフレッシュする。

同じ劇団なのに、新しい部分が生まれる。

その繰り返しが、集団を活性化させていくのだ、と思う。

だから、

「シアターキューブリックってこんな雰囲気の劇団だから、こんな人を求めているのかな」

などということばかりに固執することなく、君が考える君の魅力を全面に押し出して参加してほしい。

今ある"シアターキューブリック"という印象は、今いるメンバーの個性が集まって生まれたものだし、きっと5年前とも違うのだと思う。

だから、君の存在が間違いなく新しいシアターキューブリックを作るのだと思うのです。

同じタイプの役者や同じ雰囲気の人間ばかりが集まった集団なんて面白くない。

実際、僕はこの門を叩くまでシアターキューブリックの作品を一度も見たことがなかった。


ただ。


「合わなかったらすぐに辞めようかな」という軽い気持ちでは応募してほしくない。

ここはアルバイトじゃない。

これまでも、入団したけどすぐに辞めてしまった人はいる。

でも。

僕らは、入団する人には様々な期待をかけているのだ。

だから、その期待を一度噛み締めてから考えてみてほしい。

はっきり言えば大変なことの方が多い。

そして全くお金にはならない。

全くこれっぽっちもだ。

でも、石の上にも三年だ。

辛抱強い人を待っています。


そして。


劇団というものに決して華やかなイメージを抱いてはならない。

尊敬する先輩、少年社中の井俣太良さんがTwitterで以前こんなことを書いていた。

「劇団って豪華客船であろうが、ボロ船であろうが、“船底に穴の空いた船”なんだよ。力を合わせなきゃ沈没する、間違いなく。」

劇団に所属している人の多くは共感したフレーズだと思う。

どうか、"劇団"という客船の、船室から見える風景だけで劇団の中を捉えないで欲しい。

外見は何事もないかのように海を漂っている客船だったとしても、操舵席やブリッジでは、劇団員という名の操縦士が必死になって船を動かしている。

沈めないように必死に。

その必死さは、お世辞にも和やかには見えない。


それでも。


何物にも代え難い夢が、劇団にはある。


君も、そんな夢を持っているからお芝居をしているんだろう?

頑張れば、劇団という船に乗ってどこへだって行ける。

何だってできる。

そう信じているから、この途方もなく広い、見渡す限り水平線の大海原に足を踏み入れたんだろう?

目指すべき島がどこにあるかなんて、そうそう見つかるものじゃない。

辛抱強く、そしてこの船に新しい風を吹き込んでくれる君を、僕らは待っています。

例え応募者が僅かであっても、そんな輝くような人と出逢えたらいいなと、僕は思っています。