あらすじ

 

『黒縁メガネの女』

27歳、地味で存在感のない事務員・松本貴子。
杉田工務店の片隅で、誰にも気づかれずに生きてきた。
自分に自信がなく、恋も夢も、諦めることが当たり前だった——。

そんな彼女には、
夜、誰にも言えない秘密がある。

それは、
ボクシングジムで、ひとり黙々と拳を振るっていること。

“強くなりたい”
“自分を変えたい”

その想いだけで、血を流しながら立ち上がる日々。

そして迎えた デビュー戦。
相手は、過去に婚約破棄をした高田の元婚約者で、
天才ボクサー・高橋佐知子。

会社からは誰も応援に来ない。
控室で震える拳。
鳴り響くゴング——。

結果は惨敗。
顔は腫れ、心は折れ、
翌日の会社、誰もいない裏の小川沿いのベンチで弁当を食べる貴子。

そこに現れたのは、
唯一、彼女の変化に気づいた男・高田正。

震える声で、
貴子は生まれて初めて、誰かに本音をぶつける。

「自分を変えたいから」

この瞬間から、
彼女の人生の歯車は静かに回り始める——。

負け続けた女が、世界を目指す物語。
そして、
恋と戦いが絡み合う、成長と再生のドラマ。