ぽつんと投げた石の波紋。
だんだんと弱まりながらも、消えることなく伝わっていく波紋。
自分がぼとりと投げた石の波紋が、この世界にゆっくりとひそかに伝わっていく。
自分の投げた石の波紋を見ている自分。
かつては、そんなふうに世界を見ていた。
今は
自分自身がそのぽとりと投げ入れられた石であり、
自分の存在という波紋が、この世界を揺らしている。
そして、誰かの波紋に揺れている自分。
いくつもの波紋が重なり合って、世界が揺れる。
揺れて、変わっていく刹那の世界を経験し続ける。
揺れる世界を感じ、
その中に漂う自分。
世界に溶け合って
一部でもあり、全部でもあり。
水面に浮かび
水中にもぐり、泳ぎ、
時に水底にとどまる。
溶けて溶けて溶け合って
世界の全部を、すみずみまでを
この全身で、この指の先の先までも
感じている。