わたしが長年、続けていることがあります。
朗読の勉強です。
勉強、といっても、シャカリキになってやっているわけではなくて、
楽しみながら、続けています。
もう16年ほどになりますでしょうか。
という割には、朗読の技術はなかなか上達していませんし、
途中、朗読そのものが嫌になったわけではないのですが、
体調のせいで、中断していた時期もありました。
でも、ボチボチとでも続けてこられて、よかったな。
過去を振り返って、本当にそう、思います。
先日、今まで教材としていただいたものを整理していて、
次のようなものを見つけました。
いろんなひとに次のような質問を投げかけて、
その人の話を聴いてみたいな...なんて、ふと思いました。
まずは、詩のご紹介。
今日、あなたは空を見上げましたか?
-------------------------
最初の質問 長田 弘
今日 、あなたは空を見上げましたか。
空は遠かったですか、近かったですか。
雲はどんな形をしていましたか。
風はどんなにおいがしましたか。
あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。
「ありがとう」という言葉を今日、口にしましたか。
窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。
雨の滴をいっぱい溜めたクモの巣を見たことがありますか。
樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ち止まったことがありますか。
街路樹の木の名前を知っていますか。
樹木を友人だと考えたことがありますか。
この前、川を見つめたのはいつでしたか。
砂の上に座ったのは、草の上に座ったのはいつでしたか。
「美しい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。
好きな花を七つ、挙げられますか。
あなたにとって「わたしたち」というのは、だれですか。
夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。
ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。
何歳の時の自分が好きですか。
上手に年を取ることができると思いますか。
世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。
今あなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聞こえますか。
沈黙はどんな音がしますか。
じっと目をつぶる。すると何が見えてきますか。
問いと答えと、今あなたにとって必要なのはどっちですか。
これだけはしないと心に決めていることがありますか。
いちばんしたいことは何ですか。
人生の材料は何だと思いますか。
あなたにとって、あるいはあなたの知らない人々にとって、
幸福って何だと思いますか。
時代は言葉をないがしろにしている。
あなたは言葉を信じていますか。