放たれた男たち
1982年 監督/ マーク・L・レスター
本作が製作された1980年代初頭は、校内暴力や非行少年の問題が世界中で取り沙汰されている時代でした。それは日本も同様で、その社会問題に対しての関心・興味の高さを象徴していたのが、昭和世代であれば知らぬものはいないTBSのテレビドラマ『積木くずし』だったように思います。
そんな非行少年モノが社会を席巻した時代に公開されたのが、1982年製作のカナダ映画『処刑教室』です。
非行少年たちを処刑する高校教師という、社会の鬱憤を晴らすような展開と、その凄惨なビジュアルはまさに時代の申し子であったように思えました。なによりその『処刑教室』という(当時としては)斬新でショッキングな邦題にも心を掴まれたものでした。
そんなお膳立てがあった為、当然ながら本作『処刑教室』への期待値は並々ならぬものがありましたが、『積木くずし』のような陰鬱で凄惨なドラマを期待したボクは完全に打ち砕かれたのです。
なにコレ、全然面白くないじゃん!!
しかし、それからの数十年間で、本作の鑑賞に浸ること2回。なぜ定期的に観直したかというと本作の監督がマーク・L・レスターだからです。
レスター監督は本作以外にドリュー・バリモア主演『炎の少女チャーリー』、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『コマンドー』、ドルフ・ラングレン、ブランドン・リー主演『リトルトウキョー殺人課』などのイカしたB級作品をたくさん撮った素晴らしい映画作家だからです!
レスター作品ならきっといつかハマる…かもしれない!そう信じて繰り返すこと今回3度目の鑑賞でついにその時が来たのです!
キレた男たちによる、キレた罵り合いとキレた報復合戦!!エスカレートする止まらない男たちの咆哮はまさに魂のエンターテインメント!
『処刑教室』は、レスターによる、レスターファンの為の暴走エンターテインメントだったのです!
【この映画の好きなとこ】
◾️ラロ・シフリンの音楽
音楽は『スパイ大作戦』『燃えよドラゴン』『ダーティハリー』のラロ・シフリン。傑作スコア目白押しだが、『燃えよドラゴン』鏡の間の決闘を彷彿させる↓のスコアが最高!
◾️ステッグマン (ティモシー・ヴァン・パタン)
不良グループのボスでいながらアイドル級のルックスを持つ。上流階級のおぼっちゃまで家ではいい子を装っていたり、ピアノが抜群に上手かったりと二面性のギャップが魅力。
◾️面接
ステッグマンのグループ加入希望者が列を成し、クラブのパックヤードで行われる面接。チープながらもワクワク感が堪らない。直前の音楽ライブで弾けるステッグマンもいい。
◾️サイコパス
暴力的なだけでなくサイコパス的知能を持つステッグマンは、担任教師を陥れる為自傷行為に及び第三者に訴える。『ダーティハリー』のサソリを彷彿とさせる魅力。
◾️ステッグマン宅訪問
担任教師のノリスをママに追い返してもらったステッグマンだが、インターフォン越しに本性剥き出しで挑発。怒り心頭のノリスがステッグマンの愛車を廃車に!
◾️コリガン先生魂の授業
ウサギを惨殺され逆上した生物学教師のコリガンが、生徒に銃を突きつけて授業を行う。命がけの授業を強いられた不良生徒。常軌を逸したコリガンのサイコぶりが強烈!
◾️発狂
不良グループを車で轢き殺し、一掃しようとするコリガン先生。ヒートアップするコリガンをロディ・マクドウォールが怪演!激しく熱い生き様に観ている側もヒートアップ!
◾️地獄の扉
ノリスを挑発しグループメンバーの元へおびき寄せるパッツィ。演じるリサ・ラングロワの淫靡な魅力と原色の照明が異次元に誘い、邪悪で魅力的なシークエンスになった。
◾️切る!
電動マルノコがついた作業台で粛清される不良グループメンバー。公開当時からこの場面は強烈だった。腕を切り、背中をカッターでえぐり絶命させる執拗な描写も鮮烈!
◾️一掃
火のついたノリスは、不良グループメンバーを残虐な手段でひとりひとり粛清していく。まさに復讐の鬼となったノリスを演じるペリー・キングの鬼気迫る怪演!
◾️教職者ノリスの審判
宙吊りになったステッグマンが得意のいい子作戦で命乞いをする。ノリスは復讐の鬼として突き落とすか?それとも教職者として救うのか?イカす結末を目撃せよ!
ボクが高校時代を過ごした学校も不良が蔓延り、生徒間の暴力沙汰もあれば、先生を殴り停学処分になる輩もいました(まあ、生徒を殴る蹴る先生もいましたけどね)。
町にはヤバい先輩もいたし、隣町に踏み込めば必ず地元の不良が絡んでくる。そんな時代でした。
数年前にそんな母校を訪ね、教頭先生が校舎を案内してくださりたくさん話を聞かせてくださいましたが、時代は変わり不良は絶滅したそうです。
しかし、今の世の中はSNSを通じてのイジメが横行。誰もが匿名で、見知らぬ第三者を徹底的に追い込む(時には死に至らしめることも)陰鬱な社会になりました。それを思えば、ひと昔前はまだ平和でいい時代だったんだなあとすら思わせてくれます。
本作は陰鬱なテーマを主軸としたドラマですが、『処刑教室』は紛れもなくエンターテインメントの快作ですので、ぜひ敬遠されていた方にも楽しんで頂きたいと思います!
監督のマーク・L・レスターは、2013年公開の『ポセイドン・レックス』以来新作を発表していないようですが、まだまだ期待したいB級映画の帝王であります!!
まだまだやってくれるよね!?
マーク・L・レスター監督作品こちらも



























