今回の韓国船「セウォル号」沈没事故で、米国在住のジャーナリスト、チョ・グァンドンさんが書いたコラムがあり、紹介します。


「船を守らなければならないという名誉や責任をかなぐり捨てた船長や船員らは重い罰則を受けなければならないが、この船長や船員らは特に突出した変人と言うわけではなく、韓国社会を支配している意識や文化の産物だ」と指摘しています。


その上で、「意見が異なる人には集団で言葉の暴力を加え、自己主張の為には相手の人格を傷つける行為もいとわない集団リンチ文化、ごり押し文化の狂気社会では、真っ当な人間形成、自分を犠牲にしてまで他人を救う崇高な人間精神が育まれるのは難しい。」


「法や規則を守らないのは、何も「セウォル号」だけではない。韓国社会のあちこちに不正腐敗が山積みしており、物事を適当に済ませて安逸に過ごす風潮や形式主義がはびこっている社会には、『もうひとつのセウォル号』が時限爆弾のように待ち構えている。」と警告しています。


「感情とごり押しが氾濫している。本質から外れ、枝葉末節に難癖をつけることもまた、韓国の姿だ。」

さらに犠牲者の遺族や行方不明者の家族にも苦言を呈しています。

「命がけで救助活動を行っている人々に対して、なぜ早く結果を出せないのかと絶叫するのは、せっかちな意識を反映するものだ。子供の死に直面する中でも、抑える姿勢を見せることで、家族の死はより崇高なものとなり、感情も深まるものだ」


「現地に行った首相に水をかけたり、大統領に罵声をあびせたり、大統領から弔花を片づけると言う行動は品格を落とすものだ。」


「事故の収拾をめぐる無能さや救助の遅れを指摘する前に、また船長や船員らに石を投げる前に、自分はこの場から開放されるのかということを考えるべきだ。国家の危機が訪れたとき、命がけで守ろうとする献身的な姿勢や愛国心があるのか、自ら問いかけなければならない。」


さらに、「国民の意識が変わらなければならない。国民の意識や文化に革命的な変化がなければ、もっと重大な大韓民国沈没まで起こりかねない。」


もっともな話です。これまでの歴史の中で培われてきた韓国人としての性格、国民性を革命的に変えていかないといっそう困難な状況に陥るのは確かでしょう。


しかし、歴史や経験に基づいた人間の心や行動はそう簡単に変えられません。脳の扁桃体に刻まれた無意識や前頭前野の働きはちょっとやそっとでは到底変えることができないのです。

「のど元過ぎれば熱さを忘れる」で、結局「元の木阿弥」に戻っていきます。脳の機能を変えていくには、本当に
長い長い時間を要します。

日本や欧米先進国から素直に真摯に学ぶことが大切です。単に語学やテクニックだけ学ぶのではなく、精神性や価値観を学びながら、自らの肝に銘じて血肉にしていかなければなりませんね。