森林セラピーが盛んなのは何も日本だけではありません。実は森林占有率がアジアでは日本で次いで2番目に高い韓国でも、国のプロジェクトとしてたいへん力を入れています。

韓国は、日本と同じように高齢社会に突入していて、医療費は年々増加し、これを抑えるために「健康長寿」を推進していく取り組みが盛んに行われているのです。

そのひとつが森林セラピーで、韓国では「山林治癒(サンリムチユ)」、森林セラピストのことを「山林治癒指導者」とよんでいます。
また、リハビリテーションにも森林が活用されるケースが増えています。


先日東亜日報という韓国の新聞に記事が掲載されていたので、これを抜粋します。


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「脳梗塞で倒れ、うつ病にかかっていた母親が、森で病気を治しました。自然を通じて、日常生活が可能になりました」


4月2日、大田(テジョン)で行われた「山林の癒し体験手記公募展」の授賞式で、計114本の応募作品中グランプリを受賞したチョ・ビョンウクさん(43)のエピソードだ。

授賞式では、乳がん手術で疲れきった体や心を、山村での生活を通じて克服したファン・ゲスクさん(52)、アトピーや小児うつ病などを抱えている子供を森で回復させたユ・ビョンナムさん(56)、詐欺結婚によるうつ病と対人恐怖症を、同様に森で克服したイ某さん(47)などのエピソードも紹介された。森が人間の病を治す名医だったのだ。


森はメスのない総合病院

「森は総合病院です。医師も、メスも、薬も無い自然が与えた総合病院です」

申元燮(シン・ウォンソブ)山林庁長は、忠北(チュンブク)大学・山林治癒学科教授時代にこのようなことをよく口にした。校内暴力の加害者や被害者を対象に森林治癒プログラムを実施し、具体的な成果を挙げたこともあった。


3月27日午前10時、京畿楊平郡丹月面(キョンギ・ヤンピョングン・タンウォルミョン)のサンウム自然休養林。海洋警察庁所属の警察官28人が、山林治癒士に習って、体操をしていた。彼らは10年、延坪島(ヨンピョンド)砲撃や中国漁船の密漁取締りなどで不眠や悪夢、うつ病など、精神的苦痛に苦しんでいたところ、海洋警察庁と山林庁との協約でできた「心理治癒プログラム」に参加したのだ。一人の海洋警察は、「森の中で心理及び瞑想治療などに参加した後、2泊3日の間、心も身体も楽になった」と満足した。


見て楽しむ森から癒す森へと

今や、森は「体や心を癒すところ」へと変わっている。山林庁をはじめ、林学・医学・心理・教育専門家らの努力で上げた成果だ。特に、朴槿恵(パク・グンへ)政権発足後、山林福祉の必要性が強調され、さまざまな試みが行われている。

山林庁は2017年までに、山林治癒サービスの恩恵者を、100万人へと拡大する計画だ。それに向け、山林治癒のアイデンティティ確立や癒しスペースの拡大、癒しプログラムの標準化及び専門人材の育成、研究開発の強化、関連法令整備などをまとめている。

山林治癒指導者の育成のため、従来の4校(カトリック大学、翰林聖心(ハンリムソンシム)大学、光州(クァンジュ)保健大学、順天(スンチョン)大学)のほか、忠北大学、東洋(トンヤン)大学、全南(チョンナム)大学を、育成機関に追加指定した。山林治癒指導者は、昨年9月に初めて38人が養成され、2017年までに500人を育成する計画だ。

彼らは、癒しの森、自然休養林、森林浴場、森の道などで、国民に対して、良質の森林癒しのサービスを提供することになる。


山林庁の林尙燮(イム・サンソブ)山林休養治癒課長は、「山林治癒指導者が提供するサービスは、国民の健康増進に貢献し、幸せなグリーン福祉国家の実現にも役立つことになるだろう」と話した

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日本と韓国の人口や経済規模からみると、韓国で100万人ならば日本だとおおよそ250万人の人々が森林セラピーの恩恵を受ける勘定になりますよ。

森林セラピーの取り組み方については韓国に学ぶ必要がありそうですね。