以前、『第二次世界大戦で何故日本が敗れたのか』を命題とし、その本質をとことん研究・分析して描いた「失敗の本質」という本があり読みました。そして、その続編でもあり、同じ著者チームが書いた「戦略の本質」という本が発刊されました。2年ほど前に買って一読したのですが、最近、そのポイントの部分を読み直してみました。
内容は、中国の共産党と国民党との戦い、第二次世界対戦のイギリスとドイツとの戦い、同じくソ連とドイツとの戦い、朝鮮戦争、中東戦争(第4次)、そしてベトナム戦争の6つの戦いを題材にしています。
この6つの戦いは全て追い詰められた側が逆転勝利を収めたケースで、そこから逆転の戦略を読み解こうとする試みですね。
かつて日本軍はアメリカとの戦いで、ついに逆転することができませんでした。その理由は、物質面で絶対的に劣っていたからだというものでした。しかし、物量は逆転の必要条件であるが、十分条件ではありませんね。物質面で劣勢であっても、日露戦争の日本、中国の国共内戦での共産党軍、ベトナム戦争での北ベトナムなどが歴史的に少なからず存在するのです。
日本軍は、結果的に物質的な劣勢を相殺する戦い方が出来ず、それを挽回する、或いは少しでも進行を遅らせる手段として「特攻」しか思い浮かばず、それしか実行されなかったことをこの本は主張しています。
『逆転するためには、「戦略の本質」を理解しなければならない。それは誠実な努力や周到な準備、また幸運を願い待つ事や相手の好意だけに頼っていてはだめなのだ。』ということになります。
「戦略は、人である。戦争に勝つか負けるかはリーダーの資質がどれだけ優れているか。リーダーシップの本質は人事であり、人に関する感性だ。」と論じています。そして、
「戦略は、信頼である。」
「戦略は、言葉である。」
「戦略は、本質の洞察力である。」
「戦略は、賢愚である。」
などを掲げています。
この本で命題として提示されているものは、戦いのすべては、リーダーの人間的側面と資質に帰結することですね。つまり、戦況を逆転するためには、物質などのハードパワーを必要条件とするならば、リーダーシップというソフトパワーが十分条件となり、始めて可能となるのですね。
つまり、戦略的思考できるリーダーがいれば、9敗していても最後の1勝によって逆転できるということなのです。肝に銘じたいですね。
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