琵琶湖の周辺で生まれ育った私にとって、水が不足するとか枯渇するとか、そんな心配をしたことはありません。しかし、21世紀の世界は、この水の取り合が間違いなく起こっていくと思います。


日本は河川や湖沼など上水が普及しているので、ふだん地下水について考えることは少ないかもしれませんが、実際、日本もそうですが多くの国々で飲用水や農業用水、工業用水などにほとんど地下水が利用されていますね。


日本地下水学会の統計では、地下水の飲み水としての依存率は、全体平均22%で、地域的にみると最も依存率が高いのが南九州の54%、中国山陰の52%、四国の42%、関東内陸の41%、北陸の40%となっています。


水道水の中で地下水への依存度が最も高いのは、鳥取県の99%、熊本の87%、福井の74%、三重の70%、岐阜の67%となっています。


また、地下水の使用量が抜きん出て多いのが静岡県で、これは富士山周辺の豊富な地下水を汲み上げている現れでしょう。


日本の水道利用者のうち、表流水だけを利用しているのは全体の20%ほどで、表流水と地下水双方を利用している人が67%で、地下水だけの人が8%で、その他は不明となっています。


日本は昔から「水と安全はただ」と言われてきましたね。しかし、その水にいろいろなリスクがつきまとうようになってきました。そのひとつに、私たちが事業として展開している地下水汚染があります。


製造業では製品や部品の洗浄剤として、クリーニング店などでは洗濯するときの溶剤としてトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン(パークレン)といいた有機塩素系の化学物質が今日までたくさん使用されてきました。これが地下水へ浸透して汚染を引き起こしてきたのです。


ただ、この物質の毒性が明らかになったのは1980年代の後半からで、それまでは法律の規制もなく環境リスクもわからなかったので、管理不充分として地下浸透させた企業の責任だけを問うというのは、理不尽でしょうね。


それ以外、重金属や油などもそうですね。それに、肥料や家畜の糞尿などによって生じる硝酸性窒素による汚染なんかも問題になっています。


比較的浅いところの帯水層(地下水が通るところ)にあるものや、地下深くまで浸透するものなどいろいろですが、地下水利用する際に、決して看過できないリスクとなってきていますね。しかし、技術が日進月歩で、この問題解決も決して難しくなくなってきました。


私は、日本の地下水をもっと有効に利用すべきと考えています。もちろん地盤沈下など別のリスクが発生しないようきちんとマネジメントしていく必要がありますが、様々な用途に使っていける可能性を日本の地下水は持っているのですね。


日本の魅力のひとつに、豊かな水(温泉も入る)と自然があります。他のアジアの国々にはないものです。私は、この魅力をもっとPRして、世界の富裕層たちを呼び寄せる戦略を構築すべきと思っています。

つまり、世界の金持ち達に日本の環境資源を保存していくための投資をしてもらうのです。そうすれば、森林も里山も田園も荒れることなく整備されていくでしょう。


株式会社淡海環境デザインホームページ

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