フランスのサルコジ大統領の側近で、経済学者で思想家でもある“ジャック・アタリ”の「21世紀の歴史」という本を読みました。350ページほどのかなり分厚い本でしたが、一部間引きしながらも読んでみるとかなりおもしろかったですね。
これまで、アメリカの経済学者の本はけっこうありましたが、ヨーロッパから見た日本に関する書籍は、あまり多くないと思いますが、この日本語版の冒頭に、「21世紀、はたして日本は生き残れるのか?」という問いに対して、日本の将来についていろいろ指摘しています。
「日本は20世紀の後半に世界の中心勢力になるチャンスがあったのに、なりえていない」と言い、次のように「現在多くの危機が日本を脅かしている」と論じています。
1.人口の高齢化に直面しているが、未だ解決策を見出していない。
2.近隣のアジア諸国が日本に対して抱いている敵意に対して有効な解決策を見出していない。
3.収益性の高い産業を再興できていない。
4.金融システムを近代化することができていない。
5.合法・非合法の巨大複合企業体からの影響を遮断できていない。
同時に、彼は、「日本は、アジア、アメリカ、オセアニア地域の交差点であることをうまく組織化すれば、潜在的成長力を持ちうるだろう。」と主張しています。
その中で、「21世紀の日本の課題」について次の10項目を掲げていますね。
1.東アジア地域に、調和を重視した環境を作る。
2.国内の共同体意識を呼び起こす。
3.自由な独創性を育成する。
4.巨大な港湾や金融市場を整備する。
5.企業の収益性を改善する。
6.労働市場の柔軟性を促す。
7.高齢化を補うため移民を受け入れる。
8.市民に新しい知識を公平に与える。
9.未来のテクノロジーをさらに取得する。
10.地政学思考を念入りに構築し、同盟関係を構築する。
ひじょうに、抽象的な表現ですが、ひとつひとつもっともな話ですね。
日本が、これからも成長し、魅力的な国になっていくためには確かにこれらの課題を克服していく必要があるのでしょう。
将来の豊かな生活をおくるために、私たちは未来の前提となる歴史を理解していく必要があるのでしょうね。
ジャック・アタリは、21世紀を人口の大変動と大移動の世紀と位置づけていますね。人が増え、人が動くのだと。日本も、もちろんその例外ではありません。
さきほどの日本の課題の7番目は、まさしくそれを指摘しているのですね。
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