昨日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が自殺したという衝撃的なニュースが韓国から飛び込んできましたね。


一国の最高権力者が、退任後政治的な理由で自らの命を絶つなんて、戦時中であればともかく、平和なこの時代にちょっと想像しにくいことですが、そんな考えられないことが韓国で起きましたね。


盧武鉉は、韓国の第二の都市釜山の出身で、名門釜山商業高校を卒業しています。家が貧しかったので、大学へ行けず、アルバイトをしながら苦学して司法試験に合格し、弁護士になったのです。

韓国の司法試験の競争率は日本以上といわれています。しかも、ソウル大学や高麗大学、延世大学といった名門大学で、専門教授の元、寸暇を惜しんで勉強してもなかなか合格するのは難しいのに、まして、独学で合格するなんて普通ありえないことですね。


人権派弁護士として、1965年から1987年まで続いた韓国の軍人政権に対して、異を唱え、抵抗し、名を馳せてきました。2003年に学生やどちらかというと下層の市民からの絶大な支持を受け、2003年に大統領になったのです。


韓国政治の不正や腐敗を根絶し、国民の経済格差をなくし、朝鮮半島の統一を果たすという「崇高な理想と理念」を掲げていました。まるで、その姿は、私が好きな中国戦国時代の哲学者“孟子”のようでしたね。孟子は、性善説を唱え、利よりも義を重んじることを優先すべきと主張しましたが、まさに盧武鉉は、「性善説国家」に向けて任期中の5年間、邁進してきたように感じましたね。


しかし、彼もまた、これまで脈々と続いてきた、国の根幹をなしている朝鮮民族の「家族主義」や「血族主義」の悪しき慣習を打ち破ることが出来なかったのですね。


大統領の妻や子ども、或いは兄弟姉妹に、何故、賄賂が送られるのでしょうか?


日本では、想像もつかないでしょうね。ここに私が常々言っている「日本と朝鮮は、全く似て非なる180度異なった国同士」の典型があります。

つまり、中国を中心として朝鮮半島などその周辺国家で形成される「中国文明」と比して、日本は、それとは全く異質で独自の「日本文明」を有する国だからなのです。


しかし、1960年から70年代にかけて大統領であった朴正煕(パクチョンヒ)は、その違いを何とか是正しようとしましたが、この方も、道半ばで、非業の死を遂げましたね。


せめて、日本で生まれ育ち、そのキャリアから現在韓国がおかれている経済社会状況をよく理解している李明博(イミョンバク)現大統領には、「中国文明」と「日本文明」の調和に尽力し、初代大統領李承晩から盧武鉉まで綿々と続く、大統領経験者の悲劇の連鎖を断ち切って欲しいと願うのみです。


朴正煕が尊敬してやまなかった明治の元勲西郷隆盛は、「子孫に美田を残さず」という言葉を残して、薩摩の城山で自らの命を絶つことによって、源頼朝から700年続いた武家政治を終わらせ、近代国家形成のための礎となったのです。

同様に、盧武鉉の死は、朝鮮半島の「前近代的な悪しき縁故主義政治」を終わらせ、韓国の新たな政治体系や価値観の形成に向けた義があり意味のあるものとして考えていきたいと私自身思っています。

盧武鉉前大統領のご冥福を祈ります。


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