先日、クリーニング事業者で作られた「全国クリーニング生活衛生同業者組合連合会(全ク連)」の中の、環境部門の団体で私が理事を務めている「日本クリーニング環境保全センター」の総会がありました。


この会のメンバーは、理事長が全ク連の会長で、クリーニングに関係するあらゆる団体や協会の代表によって構成されています。


つまり、洗濯用機械や機材、洗剤、リネンサプライ、病院寝具、おしぼり、ダストコントロールなどの団体や協会なのです。


クリーニング事業者にとって、土壌や地下水汚染問題は、単に自社内や周辺に対する環境への影響だけでなく、資産へ大きな影響を与える問題であるため、難しいのですね。


クリーニングで揮発性有機化合物である「テトラクロロエチレン(別名パークレン)」を最初に使ったのは、今から75年前の昭和9年で、それ以降、洗浄力が高く、火災の危険性もなく、しかも安価なこの物質を、行政もむしろ奨励する形でどのクリーニング屋さんもけっこうたくさん使ってきたのですね。


毒性もリスクもわからない昔、土壌や地下水汚染のことなどを全く考慮せず、管理してきました。その時点で完全なリスク管理なんかできやしないですよ。私たちは、まずこのことをしっかり理解すべきですね。


WHO(世界保健機構)が、80年代に物質の毒性やリスクについて見解を発表し、先進国が制度を作り対応する中で、パークレンの使用量も激減し、現在では全体の12%ほどの事業者しか使わなくなったのです。


クリーニング事業者は、経済不況によってクリーニングに出す衣類などの数も減り、また、たいへん小規模経営が多いためコスト削減に限界があり、しかも後継者問題を抱え、事業者数が毎年どんどん減っていっているのが実情です。


これを少しでも食い止めようと「全ク連」や私たち「環境保全センター」が、日夜、智慧を絞り、鋭意努力しているのです。


総会の最後にセンターの副会長が仰った言葉に、

『私がクリーニングを生業(なりわい)としてから60数年たった。終戦当時、銀座の街にまず食べ者店や立ち、その次にクリーニング店ができた。人々は、汚れた自分の衣服を少しでもきれいにして明るい生活を営もうとしてきたのだ。

パークレンは、大気から地下へ浸透していった。そんなことをずーと見てきたが、環境への意識がほとんどなかった。しかし今は違う。

今、たいへん厳しい時代を迎えているが、クリーニングは絶対なくならない。この不況と環境問題をみんなの力を併せて乗り切っていこう」とありましたね。


『クリーニング事業者に対する助成が出来ないものだろうか。』と、いつも強く思いっています。

“パークレンの使用を行政が推奨していた”という歴史的経緯から見て、国が何らかの施策を考え実践することが必要で、私も精一杯尽力していきたいと思います。


株式会社淡海環境デザインホームページ

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