韓国の文字のことを「ハングル」と言います。ハングルは14世紀に李氏朝鮮第4代世宗大王によって作られたたいへん科学的で合理的な文字といわれていますね。
しかし、李氏時代には、あまり使われることはなかったようですね。実際にハングルが普及したのは、日本の植民地時代で、そのための民族運動が盛んとなり、朝鮮総督府もこれに協力してきたのです。
それまで、李氏朝鮮は「小中華」を自認していた国であるので、貴族階級である「両班」は、文字は漢字しか使わず、ハングルは平民が用いるものであり、その普及にはほとんど力を入れていなかったのですね。
また、現在の韓国や北朝鮮は、ほとんど漢字を使っていません。私たちの頃は、新聞や書物には、漢字とハングル両方が使われていたのですが。
韓国語には、その多くが「漢字語」です。「漢字語」というのは、中国から伝来してきた言葉ですね。
このあたりは、日本語と全く同じですね。明治維新以降、日本政府は英語をはじめ外国語を日本語で表現するのに、ほとんど漢字を当てましたが、日本の統治時代にそれがそのまま、朝鮮半島にも導入されてきたのですよ。
例えば、
『水は、酸素と水素で作ります。』
という言葉を、私の留学時代なら、
『ムルン、酸素(サンソ)ワ 水素(スソ)ロ マンドゥムニダ。』
と漢字を入れて表現していました。この酸素も水素も元来ハングルには単語がなく、日本からの輸入言葉ですね。
しかし、現在は、
『ムルン、サンソワ スソロ マンドゥムニダ。』
と、全く漢字を入れずに表現しています。
今、問題になっているのは、韓国が漢字を使用しないために、本来漢字が持っている意味を理解することが出来なくなったことです。
上記の「水素」という単語は、文字通り「水の素」ですね。
『そうか、水素とは水を構成する元素なんだなぁ。』と漢字を見て直ぐ理解できますね。日本では、こんなケースがひじょうに多いですね。つまり、漢字を使用すると創造力が身についてくるのですよ。
でも、ハングルなら「スソ」です。スソがどんな意味を持っているのかまずわかりません。創造力を働かせることが出来ないんですね。
韓国でも、現在漢字を復活させようとする運動が拡がってきたといわれていますが、絶対、漢字は使うべきです。
中国と日本との関係が、今後ますます深いものになっていく中で、漢字による「筆談」ができるというのは、東アジア漢字圏ならではの特権です。それを今まで韓国は放棄してきたのですから。
一日も早い漢字復活を願っています。
日本も、明治から戦前まで、国民の素養として漢文を教育の柱にしてきましたし、もう一方で、一般大衆に対して、漢字と平仮名・片仮名で平易に書物や新聞を読むことができるようにしました。
韓国は、植民地時代にハングルを普及させ、漢字とハングルで独自の文化を創りだし、朝鮮半島に対する日本の教育投資もさかんに行なわれた結果、当時の韓国人の文盲率が大幅に減少していったのです。
日本の植民地時代の功罪について、確かにいろいろな議論があります。
しかし、当時、日本が行なった韓国人に対する教育政策については、きちんと評価すべきでしょう。
李氏朝鮮時代なら、身分によって得ることができなかった様々な知識や技術を、植民地時代に取得することも可能になり、それらの人々の礎によって、今日の韓国があるのですから。
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