私が理事をしている「JIPI社団法人移民政策研究所」が構想している『日本型移民国家』とは、具体的にどのようなものか、お話ししたいと思います。


そもそも、人口とは国家と経済と社会を構成する基本的要素ですね。その人口が減少に向かえば、国は衰え、経済は縮み、社会が成り立たなくなりますね。


これからの日本は、誰も経験したことのない人口減少社会が始まるのです。

国家の人口推移は4つの要素で決まりますね。一つ目は“その国に生まれること”、二つ目は“その国で死ぬこと”、三つ目は、“その国から出て行くこと”、そして四つ目が、“その国に入ってくること”なのです。


この人口減少リスクに対してこれから日本が行うべき対策とは、もちろん、一つ目の日本の出世率を上げることが第一義的に重要な要件ですが、現状即座にこれを進めていくことは難しく、四つ目にある「日本に夢や希望を持ってやってくる人を増やし、彼らと共に活力ある日本の経済社会を創ること」を組み合わせて推進すべきと考えています。


では、ここで『日本型移民政策』の骨子についてお話しましょう。


1.その前提として、日本には移民が快適に暮らせる制度や精神風土がかなり整っていることがあります。

●高度な技術やサービス力を有する中小企業や、卓越した世界的企業が存在する。

●昔から「人の和」や「寛容の心」を重んじる精神的基盤を持っている。

●豊かな自然環境や豊穣な文化、伝統がある。

●古代から近代にかけて朝鮮半島などから移民を受け入れてきた歴史がある。

●この日本で幸せに生活している私のような「移民の先駆者」の存在がある。

●ヨーロッパの事例を参考にできる移民の受入後発国としての利点がある。


2.『日本型移民政策』は、基本的に次のような人材を、今後50年間で1000万人、日本の人口の概ね10%を受け入れます受け入れ移民のカテゴリーは次の通りです。

●高度人材(大学卒業レベル)

●熟練労働者(日本で職業訓練を受けた人材)

●移民の家族(家族統合の権利を保障)

●人道的配慮を要する移民(難民など)

●投資移民(富裕層)

基本的に単純労働者の受け入れには反対しています。


3.日本語教育、職業訓練を重視する政策を推進することを絶対的条件とします。

教育過程は次のようなプログラムとなります。

●日本語・日本文化センターを創設する

 ☆世界の主要都市に日本語・日本文化センターを欧米先進国並みに拡充する。

 ☆外国人材育成のためのODAプログラムを策定する。

 ☆日本語教員を養成する。

●外国人職業訓練制度を新設する。

☆全国の高等学校、職業訓練学校を活用する。

☆外国人職業訓練過程(2年制・3年制)を設置する。

☆1年間実技訓練を受けてプログラムを終了する。

☆正社員として雇用し、安定した法的地位を付与する。

●「外国人看護士・外国人介護福祉士育成プラン」を推進する。

 ☆全国の看護学校、介護福祉学校を活用する。

 ☆外国人人材養成過程(2年制・3年制)を設置する。

 ☆1年間の実技研修を受けて、プログラムを終了する。

 ☆正規職員で雇用し安定した法的地位を付与する。

●「農業移民特区」を構想する。

 ☆耕作放棄地や山林の未管理地などを特区に指定する。

 ☆農業大学や高校を活用する。

 ☆農業移民で耕作放棄地を元に戻す。

●「外国人人材育成基金」「社会福祉外国人材育成基金」「農業移民育成基金」などを創設する。


4.法律などの基盤整備が最も重要な要件となりますね。そこで、現行の法改正や新たな法律制定について考えて見ましょう。

●「出入国管理法」と「国籍法」の見直しが必要である。

●永住期間を設け、永住者に対しては、原則「日本国籍」を付与する。

●「移民法」や「社会統合基本法」を制定する。

●「経済連携協定」に基づく移民の受け入れを推進する。

●「移民庁」を創設する。


本当にやるべき事がたくさんあるんですよ。


具体的な施策を押し進めることで、多民族共生社会が実現できます。もちろん様々な試練や障害があるでしょうが、日本がこれからも豊かで強い国として存続していくためには、それ相応の覚悟が必要なのです。


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