土壌汚染リスクのコンサルティングビジネスをやっていると、中小企業の経営者に出会いお話しする機会がけっこうあります。


クリーニング業を営んでいる事業者が集まって作った『全国クリーニング生活衛生同業者連合会』という会がありますが、その下部組織に、クリーニング業界が直面する環境問題の解決に向けた研究や協議を行う機関として「日本クリーニング環境保全センター」がありますが、実は、私は4年前からその理事の役目を担っているんです。


クリーニング業を営んでいる方々は、ほとんどが中小事業者です。お父さんと奥さん2人でやっている方もけっこういますね。


クリーニング業界では、昭和9年にはじめて、油などの汚れを落とす薬品として“テトラクロロエチレン(別名パークレン)”という化学物質が使われました。それ以来、洗浄剤として優れた効果があり、安価で、石油系溶剤のように火災になる危険性がないこの有機溶剤が定番となったのです。昔は、行政も奨励していましたしね。


しかし、1980年代になって発ガン性物質だということが明らかになり、規制が加わってから、使用する業者が大幅に減り、現在ではクリーニング屋さん全体の12%程しか使っていませんが。


だけど、毒性なんかぜんぜんわからなかった昔、当たり前のように使ったテトラクロロエチレンが地下浸透することでリスクが生じることなんか、誰も想像することができなかったのですよ。


今、クリーニング業を営んでいる方々で、たいへん悩ましい事例がたくさん起きているのです。

●自社工場をマンションにするので、修復費用を見積もったら全量掘削除去による法外な費用が提示された。

●クリーニング工業に隣接する店舗の売却のために土壌汚染調査したら、修復するよう要求された。

●クリーニング工場は事業継続中であるが、他人の都合で費用が発生し困っている。

●集合住宅に店を構えている場合、クリーニング店だけでは処理できない。

こんな声があがっているんです。


クリーニング業やメッキ業などは土壌汚染の象徴的な業種と言われています。その分、その地域に土壌汚染による環境問題が起きると、こういった業種の事業者が矢面に立たされ、スケープゴートにされるケースが増えていますね。そんな実例をわが社も幾度となく見てきました。


私は、土壌汚染に係る人たちは、仕事をする上で必要な化学物質を使ってきた事業者、特に中小の事業者に対して、管理が行き届かず汚染物質を地下へ漏洩させ土壌汚染を引き起こしたとしても、全ての責任を押し付けることや「悪者」として厳しく批判することが、絶対あってはならないと思っています。


そして、中小事業者の負担が少しでも軽減され、解消されるよう、行政は必要な救済措置を取る必要があるでしょうね。


中小企業を守ることは国益を守ることですよ。
これら中小事業者のリスクマネジメントをしっかりサポートしていくためのプログラムを準備しています。


株式会社淡海環境デザインホームページ
http://www.ohmi-k.jp