人間国宝の講談師 神田松鯉の

「赤穂仕外伝」を歌舞伎にした「荒川十太夫」

 

2022年の初演を見逃していたので

再演されてうれしかぎり

 

 

赤穂義士の堀部安兵衛が切腹する際

介錯人として選ばれた松山藩松平家の徒士侍・荒川十太夫

 

 

殿さまのお目見えさえ叶わない下級武士でしたが

切腹の祭、安兵衛から身分を問われると

思わず上級の役職を名乗ってしまいます

 

 

その後十太夫は自責の念に苦悩の日々を過ごし

命日には欠かさず菩提寺の泉岳寺を訪れ

線香を供え過分のお布施を寄進していました

 

 

 

あれから6年の時が流れ7回忌の日

 

 

 

今日も身分不相応な立派な身なりに

仲間の供を連れ泉岳寺を墓参した十太夫は

なんと家老の杉田五左衛門と偶然出くわします

 

 

当時は身分を偽ることは重罪に当たります

十太夫は即刻謹慎を言い渡されその夜

藩主直々の取り調べが始まりました

 

 

十太夫は身分を偽った訳を決して語ろうとせず

斬首刑を甘んじて受ける覚悟です

 

 

しかし藩主の度重なる問いかけに

とうとう全てを語りはじめるのでした

 

 

十太夫役の松緑さんの集中力

セリフだけでなく

表情のひとつひとつのすべてに

藩主に平服しているときの背中からも

十太夫の苦悩と自責の念がひしひしと伝わってきました

 

 

また、堀部安兵衛訳・中車さんの切腹の場面の情調、空気感

そして、先に切腹へと向かう16歳の大石主税に向かって

「私もすぐに参ります…」の一言に

万感胸に迫る思いがこみ上げてきました