20年も前に亡くなった義父の本棚には、以下の本が並んでいた。

 

イスラエルとパレスチナ

和平への接点をさぐる

立山良司

中公新書

1989年

 

30年前の本だが、関係性や論点はそれほど今も変わっていないように思われる。

 

大きく変わったのは日本の両者へのかかわりかもしれない。

 

というのは、1970年代にハイジャック事件や襲撃テロなどを起こし、PLOと深くかかわりのあった集団が日本にいたことが、今ではすっかりと忘れ去れていることである。

 

また、当然のことながら、現在世界で起こっている出来事(特にガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの紛争)を俯瞰してとらえるきっかけを与えてくれる。

 

ラディカル・ヒストリー

ロシア史とイスラム史のフロンティア

山内昌之

中公新書

1991年

 

ロシアにおけるギリシア正教(ビザンツ)的なものと、モンゴル的なものとの併存、さらには、イスラムに対する共存を前提とした尊重観など、現在のロシアの思惑の根底にあるものを理解するうえで必須。

 

また、私たちが一般的に理解する「東西文明」は「西欧ー東洋

」であり、東洋とは、ルーツとしてはインドや中国を念頭に置いていると思うが、ルーツではないものの、ここのところ1000年以上の経緯を考えるうえで「アジア」と言えば、むしろ、「イスラム」「ロシア」という2つのキーワードこそ、無視できないものであることを思い出させてくれた。

 

マホメット 

ユダヤ人との抗争

藤本勝次

中公新書

1971年

 

50年以上前の本であるが、コーランの原点に立ち返り、その聖典におけるユダヤ教との確執を丁寧にたどっている。

 

しかし、イスラム教とユダヤ教とのあいだには、根源的な相違はないはずであるが、唯一、難題はユダヤ教が「選民思想」を持っており、マホメッドを預言者とは認めていないことが気になるところではあるが、しかし、イスラム教にとっては、ユダヤ教よりもキリスト教のほうが相いれない。