読んだ本
森、里、川、海をつなぐ自然再生 全国13事例が語るもの
自然再生を推進する市民団体連絡会 編
中央法規出版
2005.07

 

ひとこと感想
失われた、あるいは失われつつある自然環境を回復させるため、住民やNPO、専門家、行政などが連携して取り組んでいる「自然再生」の先駆的事例を13件紹介している。自然再生を推進する市民団体連絡会というのは、森づくりフォーラム、里地ネットワーク、全国水環境交流会、海辺づくり研究会が集まったもの。本書はそのため、森林、農山林、河川、海・港湾といったそれぞれのフィールドが含まれている点に特徴がある。もう一点の特徴は、各地のリーダーに焦点をあてている点である。言い換えれば、各地の活動団体の紹介本ともなっている。なお「自然再生」と書名にあるが、彼らが目指しているのは、もしくは実践しているのは「自然体験の再生」(山道、209ページ)だという。

 

目次      
第1章 森、里、川、海―四分野でめざしているもの


森とともに暮らす社会をめざして 森づくりフォーラム(木俣知大)

地域資源の見直しと自然再生 里地ネットワーク (竹田純一)

地域と川とのかかわりを取り戻す 全国水環境交流会(山道省三)

私たちの海辺づくり 海辺づくり研究会(木村尚)
 

第2章 自然再生13の取り組み事例

 

山とつながった暮らしを取り戻す 雑木山を共同所有 「杣の会」(滋賀県高島市朽木)

人とフィールドが生み出す多様性あふれる森づくり都会の住民が森林管理の国際認証取得をめざす 「緑のダム北相模」(神奈川県相模湖町)

75万人の流域共同体で原生の森づくり 愛知県豊川流域

自然と文化を学び、教えることで地域再生 山形県戸沢村(出川真也)

里山の魅力を再発見し、ふるさとづくり 愛知県美浜町

街なかに残された谷戸景観は大切な文化遺産 神奈川県鎌倉市

渡り鳥との共生から見出した近自然農業の未来 宮城県田尻町

コンクリ護岸から、渚やヨシ原に復元 長野県諏訪湖

よみがえった清流と河畔林 北海道帯広市

1000年前の氾濫のリズムを取り戻す 佐賀県松浦川

竹ポットでヨシ植栽、水環境復元にアイデア 島根県宍道湖

失われた干潟を再生し、渡り鳥のオアシスを復元 北海道鵡川

アマモ場再生による海辺づくり 東京湾

 

第3章 座談会「市民のネットワークがつなぐ自然再生」

木俣知大、竹田純一、木村尚、佐藤年緒(司会)

 

第4章 自然再生への招待 自然再生推進法の意義とこれから 佐藤寿延

第5章 未来世代につなぐために 佐藤寿延

 

***

 

最近悩んでいることがある。この本で書かれているような、フィールドノートについてである。

 

文章にはいろいろな形態がある。研究にもいろいろな形態がある。小説と短歌を「同じ」という人はいないのと同じように、物理学の研究論文と文学の研究論文とを同じやり方で評価することはできない。

 

これは言い換えれば、それぞれのフィールドにおいて「ディスクール」が異なる、ということなのかもしれない。

 

単純に、方法論や主題、目的が異なる、というだけでなく、何かが違う、と感じる。

 

ただし、そうはいっても、「有用性」や研究の水準といった場合、何らかの自分なりの「評価」をしてしまう。まったく別物、というのであれば、何も気にならないのだが、なぜか、そうした異質なものを自らのフィールドの基準でとらえようとしてしまう。


確かに、ある事象をとらえて、そのありようを、できるかぎり記録に残す、ということも、一つの重要な作業であろう。

 

だが問題はその「記録」の仕方である。

 

「ありのまま」などありえないし、「客観的」というのも限度がある。

では、「主観」的である以上、思うがままに書けばよい、そういうものでもないのであろう。

 

一体ここにはどのような「流儀」が隠されているのだろうか。それがよくわからない。

 

せいぜい理解できたことは、以下のことが共通しているということである。

 

・場所を理解するための地図

・主な関連連絡先の住所と電話番号、URL

・現地の様子

・会の主要人物

・会の発足の経緯

・活動の内容(主な取り組み)

・今後の課題、目標

 

***

 

地域活性化における「ヨソモノ」の役割について、竹田が語っている。

 

まず、地域の良さに気づくのが「ヨソモノ」の大事な役目である。

 

・驚く

・感動する

・ほめる

 

そしてさらにここから「地域づくり」の段階に進む「ヨソモノ」も求められているとする。

 

・民泊制度をつくる

・マップづくりをする

・産品開発ができる

 

「ヨソモノが入ることによって、客観的にみた、彼らの仮、その土地の価値がわかってくる。」(司会)



自然を守り再生するために何ができるのか。失われた、あるいは失われつつある自然環境を回復させるため、住民やNPO、専門家、行政などが連携して取り組んでいる「自然再生」の先駆的事例を紹介。