読んだ本

いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話
菊池誠、小峰公子、おかざき真里(絵とマンガ)
筑摩書房
2014.03

 

ひとこと感想

失礼ながら、一見おちゃらけた本に見えた。ミュージシャンが共著者であることや、漫画が入っていることも、その理由である。だが意外なことに本書は、かなり丁寧に「放射線」について説明を行っている。私としてはかなり納得できる内容であり、お勧めしたい本である。

 

菊池は、大阪大学サイバーメディアセンター教授。物理学者。専門は計算物理学、統計物理学。ニセ科学問題に関する著述・講演や電子楽器テルミンの演奏も行っている。著書に「信じぬ者は救われる」などがある。
小峰は、作詩家、ミュージシャン。1991年karakというユニットでデビュー。吉良知彦率いるzabadakとはデビュー当時から活動を共にし、約30作に及ぶアルバムの主な作詩とヴォーカルを担当。TVCMは200曲以上、アニメやゲーム、演劇作品、幼児番組への作品提供も多数。

 

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専門用語や専門的話法を避けて、それでいながら科学的な知見をふまえて、ていねいに、かつ、力強く語る。

 

共著者の一人小峰が素朴な質問をすると、それに物理学者の菊池が次のような説明を行う。

 

「放射性物質は、皮膚から染み込んだりしない。γ線はからだやモノの中までぴゅんぴゅん入ってくるけど、それがからだの中に残るわけじゃないし、もちろん、うつったりしない」(131ページ)

 

こうした説明がなされる。

 

こういう本に、「3.11」直後に出会えていれば、かなり冷静にもの後が考えられたと思う。

 

その後2,000件以上の核言説にふれて、ようやく自分なりに「核」への見通しがたったが、おそらく本書はそうした2,000件にふれなくても、十分に、自分が暮らしていく上での指針を提供してくれる。

 

菊池がもう少し詳しく放射線について知りたい人のために、次の本を勧めている。

 

 

 

 

 

 

放射線のリスクを今、どう考えればいいのか。そもそも放射線とは何か。放射線のしくみから、からだに与える影響まで、今こそ知っておくべき22の話題を、数式を使わずにわかりやすく解説する。