読んだ本
機械の神話 技術と人類の発達
ルイス・マンフォード

樋口清 訳

河出書房新社
1971.07

 

The Myth of the Machine: Technicsd & Human Development
Lewis Mumford
1966,67 (Vol.1)
1970 (Vol.2)

 

ひとこと感想

技術文明史の古典。正直に言えば、翻訳が硬く、読むのに苦労した。しかし後半の「メガマシン」というコンセプトはそれを凌駕してインパクトがある。人類が考案してきたなかでも「メガマシン」は特異なもので、現代社会学ではそれを「制度(化)」もしくは「言説の編制体」と呼ぶかもしれない。

 

「この機械の構成要素は、完全に総合された全体として働くときでも、必然的に空間に分離されているため、私は、それをある目的のために「見えない機械」と呼び」(278ページ)

 

・労働機械

・軍事機械

 

のような個別の例を挙げることもできるが、政治、経済、軍事、官僚、王など、「あらゆる要素を含まなければならないとき、一般に私はそれを「巨大機械」(メガマシン)と呼ぶことにしよう。」(278ページ)

 

このマンフォードの記述は、意外とドゥルーズに継承されているようにも思える。

 

リゾーム、器官なき身体、大地機械、…

 

***

 

「核エネルギー」は19世紀に数学と物理学が切り拓いた「工学技術」による莫大な物質的変化の一つとしてとらえられている。簡単に言えば、技術と人間との関係が、根本から変わったのである。単に「自然を征服するだけでなく、有機的な住環境からできるだけ遠く自己を引き離す」(46ページ)もの、これを「巨大技術」(megatechnics)と呼ぶ。マンフォードの認識図式においては、こうした巨大技術は手段が目的化し、人間を疎外に追い込むものである。

 

 

▼これまでの記事

 

ルイス・マンフォードの地域主義思想

http://ameblo.jp/ohjing/entry-12146390237.html

 

戦後直ちに米国の原爆投下を非難したL・マンフォードの「現代文明を考える」を読む

http://ameblo.jp/ohjing/entry-12135221143.html