哲学者の今道友信氏が亡くなった。

大腸癌で、享年89歳。

古いタイプに属する学者であるが、見識は広く、独自の言葉で世界に向けて発言をしていた。

とりわけ、「エコエティカ」は、有名な言葉の一つである。

私も最初、勘違いしていたが、この「エコ」は「エコロジー」の「エコ」ではなく、「オイコス」から来ており、生活や生命の圏域にかかわるエチカということ。

奇しくも、今道氏は、このエコエティカのテーマの中心には、エネルギーを考えることがあり、「電気と倫理」にういて、今後考えねばならないと主張されていた。

そして、このテーマと密接につながっている「安全」と「危機管理」こそが、このエコエティカの課題であると、明言されている。

もちろんこうした主張は、「3.11」よりも前のものである。にもかかわらず、まるで、今の私たちに問いかけているかのようだ。

「エコエティカからの切なる要求として「危機管理省」と「エネルギー省」を絶対に作るべきです。エネルギーは今、電気になっていますが、その電気を原子力でつくるのが良いのかどうかや、太陽発電について政府が真面目に考えなければならないのではないでしょうか。」(今道友信「エコエティカと文明」千葉大学 公共研究 第4巻第2号(2007 年9月)18ページ)

今道氏の意思を私たちは、引き継いで、これからの時代を生きる者として、エコエティカの探究を進めてゆかねばなるまい。

――ご冥福をお祈りします。

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