鈴木一巧さん率いるレクラム舎のお芝居「若葉の季節の物語」を観た。

場所は、三茶から5分ほど、世田谷線に揺られて、松陰神社前で降りて5分ほどの
スタジオARというところであった。

星新一のショートショートをいくつか組み合わせており、
一つの物語というよりは、断片の集合体で、
小気味よかった
(オムニバス形式というやつ)

音楽は元ヒカシューの山下やすし
なかなか良い味が出ている

特筆すべきは、今回は小池博志という舞踏系(?)の方が
監修に入っていたこと

いつもはセリフが中心であるが、
今回は意外と身体を激しく使う場面が多かった
また、ふるまいが、なかなか無駄がなく、
引きしまったような感じがした

とりわけ、松坂わかこの妖気あふれる存在感が、
いつもより一層際立った

若手の役者と年配の役者が、ともに力いっぱい演じていた
心地よかった

文字で読む星新一の物語は、あまり汗とかほこりとかが
飛ばないが、
レクラム舎の星新一は、何か、すごい物理的な力があった

星新一を、石田純一が読むと、サラリとスマートに終わるが、
西部邁が読むと、こうなる、という違いだ

タイトルの「若葉の季節」は、とてもさわやかなであり、
実際に原作はその清涼感と結末の恐怖感がとても落差があって、
ハッとさせられるが、
レクラム舎の場合、正直言って清涼感よりも、最初から何か起こりそうな
そんな気配を感じ、実際に起こったときは、さらに想像以上に、
すさまじい結果、激しい感情のうねりが待っている、というような違いである

「空の死神」は演出が良かった
「ボッコちゃん」は悲しい物語だった
「海」はタコが思いのほか可愛かった
「手」は男なのか女なのか考えさせられた
「全快」はあっという間に終わった
「かぼちゃの馬車」はとにかく見事だった

ねらわれた星 (星新一ショートショートセレクション 1)/星 新一
¥1,260
Amazon.co.jp